ADHD息子の忘れ物対策を続けること20年!せっかくメモをしても活用できないのはなぜ?社会人2年目、ようやく自分でメモを取るようになって…!?
ライター:かなしろにゃんこ。
息子の忘れ物やウッカリを軽減するために「メモ」でフォローしてきましたが、せっかく母が書いている「メモ」を息子はうまく活用できていない感じがしていました。
そこで息子本人に聞いてみたところ、“自由な心の動きが働いて、注意喚起として「メモ」がうまくいっていなかなかった”ことが分かったのです。
監修: 三木崇弘
社会医療法人恵風会 高岡病院 児童精神科医
兵庫県姫路市出身。愛媛大学医学部卒・東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科博士課程修了。早稲田大学大学院経営管理研究科修士課程修了。
愛媛県内の病院で小児科後期研修を終え、国立成育医療研究センターこころの診療部で児童精神科医として6年間勤務。愛媛時代は母親との座談会や研修会などを行う。東京に転勤後は学校教員向けの研修などを通じて教育現場を覗く。子どもの暮らしを医療以外の側面からも見つめる重要性を実感し、病院を退職。
2019年4月よりフリーランスとしてクリニック、公立小中学校スクールカウンセラー、児童相談所、児童養護施設、保健所などでの現場体験を重視し、医療・教育・福祉・行政の各分野で臨床活動を行う。2022年7月より社会医療法人恵風会 高岡病院で児童精神科医として勤務。
ADHD息子、注意欠如の項目は「重度」
※以前は「注意欠陥」という診断名でしたが、2013年に刊行された「DSM-5」で「注意欠如」に変更されました
わが家のADHDで広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)がある息子リュウ太は発達障害の診断では注意欠如の項目が「重度」という診断でした。忘れ物、なくし物は数知れず…うっかり忘れるのは、特性であると受け入れ、家族がフォローするしかないと決意したのはいうまでもありません。
学童期では学校に持っていく物は玄関のドアノブにぶら下げておきました。それに加えて、週の始まりの月曜日は上履きや体操服など、持ち物が多いので玄関を出るときに一声かけることが通例でした。
学童期では学校に持っていく物は玄関のドアノブにぶら下げておきました。それに加えて、週の始まりの月曜日は上履きや体操服など、持ち物が多いので玄関を出るときに一声かけることが通例でした。
家庭内では口頭で伝えても息子が忘れてしまいそうなことは、息子の目線がいく場所に蛍光色などの大き目の付箋に短い文を書いてメモを貼るなどの対応をしていました。(「便座のフタしめる」や「リモコン戻す」など)
しかし、メモを見ても息子は忘れてしまったり、気をつけられないこともあります。
成人した息子に当時を振り返って、メモについて感じていたことを聞いてみたら、こんなことがあるそうです。
・メモを見て「あぁそうだった!注意しなきゃ」と思っても次の瞬間忘れちゃう
・再びメモを見れば思い出すけれど、メモを見ても考えごとをしていたらスルーしちゃう
・メモを見せてもらいながら、声かけも同時にしてくれないと何を伝えているのか分かりにくい
など。
中高生になると、物の管理を自分で行うことが多くなります。なかなか家族が全部フォローはできない上に、忘れ物をしてしまうと困った結果になることが多いため、自分でもメモするクセをつけて工夫するように息子に促していましたが、面倒くさがりの息子はなかなか自分からメモを取るなどの対策はしませんでした。
しかし、メモを見ても息子は忘れてしまったり、気をつけられないこともあります。
成人した息子に当時を振り返って、メモについて感じていたことを聞いてみたら、こんなことがあるそうです。
・メモを見て「あぁそうだった!注意しなきゃ」と思っても次の瞬間忘れちゃう
・再びメモを見れば思い出すけれど、メモを見ても考えごとをしていたらスルーしちゃう
・メモを見せてもらいながら、声かけも同時にしてくれないと何を伝えているのか分かりにくい
など。
中高生になると、物の管理を自分で行うことが多くなります。なかなか家族が全部フォローはできない上に、忘れ物をしてしまうと困った結果になることが多いため、自分でもメモするクセをつけて工夫するように息子に促していましたが、面倒くさがりの息子はなかなか自分からメモを取るなどの対策はしませんでした。
息子のスケジュール管理も母が担当⁉
息子はメモをしても忘れ物、なくし物は減らないからムダと思っていたそうです。
スマホのスケジュール機能やアラームを使うと便利だということも、分かってはいてもセットすることを忘れる息子。結局息子のスケジュールは私が管理していました。
「オレ自分で管理できないから助けて、オレが予定を言うからお母さんがメモしておいて」と学校の予定、アルバイトのシフトなど、まるっきり母の私を頼ってくるのです。
スマホのスケジュール機能やアラームを使うと便利だということも、分かってはいてもセットすることを忘れる息子。結局息子のスケジュールは私が管理していました。
「オレ自分で管理できないから助けて、オレが予定を言うからお母さんがメモしておいて」と学校の予定、アルバイトのシフトなど、まるっきり母の私を頼ってくるのです。
私だって自分のいろいろな仕事の管理が大変だというのに、息子はこんなんで社会に出たときに大丈夫なのかしら?と心配になりました。
このような感じで18歳くらいまでは親を頼っていた息子。そんな息子も徐々に自分で管理するようになっていき、カレンダーやメモ機能に予定や大事なことを入れたりできるようになりました。
20歳で就職すると、本格的に自分のことは自分で行うようになりました。たまに「忘れたらまずいからお母さん覚えておいて!」と頼まれることがありましたが、忘れずに親にSOSを出せた、それまで覚えていたことだけでもよしとしよう!なんて思いました。
このような感じで18歳くらいまでは親を頼っていた息子。そんな息子も徐々に自分で管理するようになっていき、カレンダーやメモ機能に予定や大事なことを入れたりできるようになりました。
20歳で就職すると、本格的に自分のことは自分で行うようになりました。たまに「忘れたらまずいからお母さん覚えておいて!」と頼まれることがありましたが、忘れずに親にSOSを出せた、それまで覚えていたことだけでもよしとしよう!なんて思いました。
そして、現在は
短期記憶が苦手な息子は、そのあと車の整備士として働き、今年建設関係の物品管理の仕事に転職。地上100m近い高所で働いています。大型建設工事の現場監督さんから発注された物を準備して管理する仕事です。そのためメモを取ることが必須となったようです。
作業中の人に2度3度と聞き直すことができないため、全てメモを取ることにしたんだとか。監督さんに「メモしないでも覚えられるだろう」と言われるようなのですが、「いえ、僕は忘れやすいのでメモ取らせてください!」と毎回言っているそうです。
「今は仕事を覚えたてだからデスクの周りはメモでいっぱいになってるよ」と教えてくれました。
心配しなくても仕事ではきちんとやれるようになったみたいです。母は安心しました。
執筆/かなしろにゃんこ。
作業中の人に2度3度と聞き直すことができないため、全てメモを取ることにしたんだとか。監督さんに「メモしないでも覚えられるだろう」と言われるようなのですが、「いえ、僕は忘れやすいのでメモ取らせてください!」と毎回言っているそうです。
「今は仕事を覚えたてだからデスクの周りはメモでいっぱいになってるよ」と教えてくれました。
心配しなくても仕事ではきちんとやれるようになったみたいです。母は安心しました。
執筆/かなしろにゃんこ。
(監修:三木先生より)
思春期から大人にかけて、注意力を司る前頭葉が発達します。また、大人になるといよいよ「抜け漏れがあると本格的にまずい」ことが増えてきます。このような生物学的な変化と意識の変化によって、自分でできることが増えていったのでしょうね。でもそのための方法論が小さいころから家庭で馴染んできた方法だからこそ、スムーズに自分のものにできたのかもしれません。今すぐに効果がなくてもサポートしてあげることの大切さが分かるエピソードです。
思春期から大人にかけて、注意力を司る前頭葉が発達します。また、大人になるといよいよ「抜け漏れがあると本格的にまずい」ことが増えてきます。このような生物学的な変化と意識の変化によって、自分でできることが増えていったのでしょうね。でもそのための方法論が小さいころから家庭で馴染んできた方法だからこそ、スムーズに自分のものにできたのかもしれません。今すぐに効果がなくてもサポートしてあげることの大切さが分かるエピソードです。
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