環境が変わる春。発達障害娘が抱える不安の原因は?発達外来の先生の一言にヒントが
ライター:古都 コト子(koto)
自閉スペクトラム症や発達に凸凹がある子どもにとって、環境の変化や季節の変わり目はとても不安定になりやすい時期です。娘にも当てはまることで、特に進級やクラス替えなどがあると、本人は何も言わないものの、家でいつもより荒れやすくなったり、内心は不安を抱えたりしているようです。
監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
発達障害のある娘と環境変化
娘はどちらかというと新しい環境が好きです。新しいお友達や先生たちに出会えると思うとワクワクするようで、環境が変わる前はむしろ楽しみにしている様子があります。本人も「楽しみだなぁ」と、ときどき口にしたり、張り切って準備をしたり、実際に新しい環境で楽しく過ごせたと、先生や本人からも報告があります。
それとは裏腹に、いつもは気にしないようなことにこだわり始めたり、うまく切り替えることができず怒りっぽくなったり…。内心は新しい環境や変化にたいして見通しが立たないことでうまく口に出せないような不安があるのだなと思います。
今まで通りと違うということは、娘にとって、ルーティーンが狂うということであり見通しが立たないということでもあります。今まで守られていたその一連の流れが変わってしまうのですから、大人でも不安になることでしょう。
特に春は、もともと新しい環境や変化が苦手な子どもにとっては本当に大変な時期ですよね。娘のように口では楽しみだと言っていたり、実際に楽しく過ごせているような場合でも、やはりいろいろなことに気を使ったり、変化に対応しようと本人なりに頑張っているので、想像以上に負担がかかっているようです。
それとは裏腹に、いつもは気にしないようなことにこだわり始めたり、うまく切り替えることができず怒りっぽくなったり…。内心は新しい環境や変化にたいして見通しが立たないことでうまく口に出せないような不安があるのだなと思います。
今まで通りと違うということは、娘にとって、ルーティーンが狂うということであり見通しが立たないということでもあります。今まで守られていたその一連の流れが変わってしまうのですから、大人でも不安になることでしょう。
特に春は、もともと新しい環境や変化が苦手な子どもにとっては本当に大変な時期ですよね。娘のように口では楽しみだと言っていたり、実際に楽しく過ごせているような場合でも、やはりいろいろなことに気を使ったり、変化に対応しようと本人なりに頑張っているので、想像以上に負担がかかっているようです。
発達外来で医師に相談してみると
当初は、このように環境の変化によって家の中で落ち着きがなくなったり荒れやすくなったりするのは、ADHDの特性からきているものだと思っていました。ですが、発達外来の先生に相談してみたところ、「自閉スペクトラム症からくる見通しの立たなさ故の不安からきているものではないか」と言われ、なるほどと思いました。
なので、部屋を片づけたり、おもちゃを減らしたりなど本人がイライラする要素を減らすよりも、明日の予定や新しい環境での過ごし方をシミュレーションしてみるなど、見通しを立たせて本人の不安を取り除くことを優先することに。結果、少しずつまた落ち着いてきました。
なので、部屋を片づけたり、おもちゃを減らしたりなど本人がイライラする要素を減らすよりも、明日の予定や新しい環境での過ごし方をシミュレーションしてみるなど、見通しを立たせて本人の不安を取り除くことを優先することに。結果、少しずつまた落ち着いてきました。
娘は幼児期から、このような傾向がありました。
例えば3歳くらいまで、行ったことのない建物には入るのが難しいほど場所見知りがありました。当時はすでに療育に通っていて、療育園そのものや安心できる人たちと行く場所はどこも楽しいものだと徐々に学習していき、入り口で泣き叫んで中に入れないといった場所見知りはしなくなりました。
病院や歯医者は未だに少し警戒しますが、以前のように中に入ることもできない、ということはなくなりました。事前にどういったことをするのか説明しておくと、スムーズに通えるようになってきています。
例えば3歳くらいまで、行ったことのない建物には入るのが難しいほど場所見知りがありました。当時はすでに療育に通っていて、療育園そのものや安心できる人たちと行く場所はどこも楽しいものだと徐々に学習していき、入り口で泣き叫んで中に入れないといった場所見知りはしなくなりました。
病院や歯医者は未だに少し警戒しますが、以前のように中に入ることもできない、ということはなくなりました。事前にどういったことをするのか説明しておくと、スムーズに通えるようになってきています。
声がけのポイントは
季節の変わり目や環境の変化以外に、園で発表会や運動会などの大きな行事があると、その練習と本番でのプレッシャーによって荒れやすい時期がやってきます。やる気はとてもあるのですが、それゆえに完璧にやらなければならない、失敗してはいけないという重圧が娘の中にかかるようです。
「失敗してもいいよ」「大丈夫だよ」と伝えても、娘が納得しなければ自分で勝手にプレッシャーを抱えてしまうのです。そこで、そういう時期は家ではあれこれ急かさないようにしたり注意を減らしたりするなど、安心して過ごせる場にしてあげるよう気をつけています。
進級や新しい環境でも、「分からないことがあっても大丈夫だよ」「先生やクラスの子に聞いてもいいんだよ」と、毎日本人が安心できるような声かけをしています。また、行事のときと同じように、家では伸び伸びと過ごして気力を充電することで、少しでも内心感じているプレッシャーを減らしてあげられれば良いなと思っています。
大人でも緊張する「新しい環境」というものは、きっと特性のある子どもたちにとってとんでもない出来事!外で頑張っているのに、家でもあれこれ怒られたり感情を出せなくなるのは負担が大きすぎるので、家庭でしっかりリラックスできる環境をつくったり、不安な気持ちを理解して受け止めたりしてあげたいです。
執筆/古都コト子
「失敗してもいいよ」「大丈夫だよ」と伝えても、娘が納得しなければ自分で勝手にプレッシャーを抱えてしまうのです。そこで、そういう時期は家ではあれこれ急かさないようにしたり注意を減らしたりするなど、安心して過ごせる場にしてあげるよう気をつけています。
進級や新しい環境でも、「分からないことがあっても大丈夫だよ」「先生やクラスの子に聞いてもいいんだよ」と、毎日本人が安心できるような声かけをしています。また、行事のときと同じように、家では伸び伸びと過ごして気力を充電することで、少しでも内心感じているプレッシャーを減らしてあげられれば良いなと思っています。
大人でも緊張する「新しい環境」というものは、きっと特性のある子どもたちにとってとんでもない出来事!外で頑張っているのに、家でもあれこれ怒られたり感情を出せなくなるのは負担が大きすぎるので、家庭でしっかりリラックスできる環境をつくったり、不安な気持ちを理解して受け止めたりしてあげたいです。
執筆/古都コト子
(監修:井上先生より)
進級や進学は環境の変化が起こることによる楽しみと同時に、変化に対する不安が加わりとても言葉で言い表せないような不安定さが現れるのかもしれませんね。さらに「うまくやらなければいけない」という完璧主義の傾向が強まると不安はさらに高まってしまいます。こういった不安に対して逃げ出さないで向き合っている娘さんは、すごいと思います。つらくなったときは、ハードルを周囲の人が少し下げてあげて、「やり過ごし体験」をしていくことで許容範囲を広げ、自信にもつながっていくと思います。
進級や進学は環境の変化が起こることによる楽しみと同時に、変化に対する不安が加わりとても言葉で言い表せないような不安定さが現れるのかもしれませんね。さらに「うまくやらなければいけない」という完璧主義の傾向が強まると不安はさらに高まってしまいます。こういった不安に対して逃げ出さないで向き合っている娘さんは、すごいと思います。つらくなったときは、ハードルを周囲の人が少し下げてあげて、「やり過ごし体験」をしていくことで許容範囲を広げ、自信にもつながっていくと思います。
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