障害児の保活問題。加配枠は満員!?「まずは入れないと思って」にショック!働く母、仕事復帰はできる…?

ライター:星きのこ
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こんにちは。漫画家の星きのこです。
現在、ダウン症のある小学1年生の男の子、きいちゃんを育児中です。

きいちゃんは、今年の10月で7歳になります。
いやーー、早い!人の子が育つのも早いですが、自分の子が育つのもあっと言う間ですね!
「ダウン症がある」と告知を受けたあのときからもう約7年も経っているのかと思うと感慨深いものがあります。

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監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。 1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。

ダウン症を受け止めきれないまま、保育園の申し込み締め切りは迫り…!

告知を受けたときはショックを受けましたが、現実面でもとても大変でした。

きいちゃんが生まれたのが10月前半だったのですが、公立の認可保育園の申し込み締め切りが10月末だったからです。わが子に障害があるということを受け止めきれないまま、否応なくわが子の進路を決めなければいけない期日が迫っていました。
わが子のダウン症を受けとめきれないまま、否応なく進路を決めなければいけない期日が迫っていました。
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ちなみに、私は妊娠したときから、子どもは保育園に通わせて、自分は早く仕事復帰したいと望んでいました。ですので、妊娠中も積極的にいろいろな保育園に見学に行っていました。いわゆる「保活」です。

園庭が広い保育園、体育や英語に力を入れている保育園、ポーテージなどを取り入れている保育園などさまざまな保育園がありました。私は保育園を見学するたびに、ここに子どもを通わせたら…と夢を膨らまし、どう育ってほしいかを考え、きいちゃんが生まれる前からパパとあそこの保育園がいい、いや、あそこのほうが家から近いし…などと話していました。

ところが、生まれたわが子には障害が。

私が思い描いていた夢がガラガラと崩れてしまったのです。そして、あんなに頑張っていた保活も、ほとんど意味のないものになってしまいました。なぜなら、ダウン症など障害がある子どもの受け入れについては、受け入れ人数に制限があったり、加配枠がある保育園でのみ受け入れるなど、定型発達の子どもにくらべると選択肢が少なくなるからです。

ここで、ダウン症という障害がある幼児期の子どもが、大体どのような進路をたどるか書いておくと、
①保育園に行く
②幼稚園に行く
③療育園(障害がある子どもに特化した園)に行く
という、大体3パターンに分かれます。
中には保育園に通園しながらPTやOTのセラピーを受けるために療育園を利用するとか、幼稚園と療育園を併用している、という親子さんもいらっしゃるみたいです。

障害には知的や身体的な障害などさまざまありますが、やはり定型発達の子どもよりもどうしても手がかかってしまうので、その園に受け入れてもらえる体制(先生の数や園の大きさなど物理的な余裕)がないと通えないという実情があります。

さて、私自身のことに話を戻すと、私の住んでいる自治体だと希望していた保育園どころか、障害があるというだけで、保育園に入るのが難しいかもしれない…!!とちょっとしたパニックになりました。

しかも公立保育園の申し込みまであと1ヶ月切っています。ちょ、ちょっと待ってくれ、どーーしたらいいのお~~~!?!?(←私の心の声)
希望していた保育園どころか、ダウン症があるというだけで、入れる保育園がないかもしれない…!!とちょっとしたパニックになりました。
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つらかったダウン症のあるわが子の保育園探し

調べると、私の住んでいる地域の公立保育園では、ダウン症など障害がある子どもは、「加配枠」という加配の先生が障害のある子ども1人につき1人、もしくは2人に1人ついて見てもらえるという「枠」がある保育園で預かってもらえることを知りました。
※地域により制度はそれぞれ違います。

しかしながら受け入れは保育園によって1人、もしくは2人でとても狭き門でした。市役所の担当の方にも、「まずは入れないと思ってください」と言われてしまいました。

それならば公立ではなく、私立の保育園を…!と、ダウン症があっても入れるかどうか、ほとんど全ての私立保育園に電話をしましたが、私の住んでいる地域にある私立保育園は、ダウン症のある子どもを受け入れる体制が整っていないところが多く、結果は全滅でした。

中には「うちの保育園はそんな子を入れる施設ではありません」(言い方よ…涙)と言われてしまい、またいらぬショックを受ける始末。
まだまだ今の社会において、障害のあるわが子の保育園探しはつらい作業でした。
中には「うちの保育園はそんな子を入れる施設ではありません」(言い方よ…)と言われてしまい、またいらぬショックを受ける始末。
まだまだ今の社会において、ダウン症のあるわが子の保育園探しはつらい作業でした。
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園長先生の言葉に感謝の涙

それならばと、探す範囲を一駅先まで広げ、再度保育園を探すと、一ヶ所だけ「障害があってもなくても子どもはみんな同じです。うちはどんな子どもでも受け入れます!」と力強く私を励ますようにキッパリと言って下さった園長先生がいて下さって、「私ときいちゃんを受け入れてくれるところがあった……!!」と思わずその場で感謝の涙があふれてしまいました。

公立保育園は倍率の関係で落ちる可能性が高いし、遠いけど、この園長先生のいる保育園に頑張って通えれば…!と思いました。
そして、私立保育園の申し込みは、公立保育園の当落結果が出たあと(大体、2月の初め)にできるので、その日を待つことにしました。

そして2月のある日、市役所から手紙がー…

何の期待もなく開けたら、なんと保育園の加配枠に入れたとの通知がきたのでした。こうして選択を迫られた私が公立保育園の加配枠と私立保育園への申し込み、どちらを選んだのかはまた別のコラムで描ければと思います。
一ヶ所だけ「障害があってもなくても子どもはみんな同じです。うちはどんな子でも受け入れます!」と力強く私を励ますようにキッパリと言って下さった園長先生に感動する母
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執筆/星きのこ

このコラムを書いた人の著書

きいちゃんはダウン症(1)
星きのこ(著)
小学館
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(監修:鈴木先生より)
全国どの保育園も障害の差別なく、全ての子どもを受け入れてくれることが理想です。これが当たり前の世の中になってほしいと常日頃願っています。保育士は学校で小児の疾患についても習うのですが、教える先生によって差があるため保育士の知識にも当然差が出てしまいます。知識不足の場合は受け入れも難しくなるでしょう。また、保育士の数に余裕がない所では受け入れも難しくなるのではないでしょうか。

病院に通院しているお子さんは、主治医に診断書を書いてもらい加配を付けてもらえることも多いですが、それが難しく保育園に入園できずに地域の療育に通っている方も多いのではないでしょうか。また、療育に通ったとしてもスタッフの障害のあるお子さんに対しての知識や経験は人によって異なります。

そうなると障害のあるお子さんは保育園で定型発達児と触れ合うこともなく、逆に定型発達児のお子さんも障害児と保育園で触れ合うこともなく育っていきます。文科省の提唱しているインクルーシブ教育とは相反しているのです。地域のみんなで障害のあるお子さんをサポートしていけるコミュニティ作りが早急の課題だと思います。
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