「何言ってるか分からない」5歳息子の言葉を伸ばすには、親はどうやって関わればいい?【専門家のアドバイスも】

ライター:keiko
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しのくんは、発達障害グレーゾーンの男の子。
もうすぐ5歳で、おしゃべりをたくさんするようになりましたが、まだまだ同じ年ごろの子どもと比べるとおしゃべりが幼いしのくんです。
今回は、そんなしのくんのおしゃべりにまつわるお話です。

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監修: 初川久美子
臨床心理士・公認心理師
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
臨床心理士・公認心理師。早稲田大学大学院人間科学研究科修了。在学中よりスクールカウンセリングを学び、臨床心理士資格取得後よりスクールカウンセラーとして勤務。児童精神科医の三木崇弘とともに「発達研修ユニットみつばち」を結成し、教員向け・保護者向け・専門家向け研修・講演講師も行っている。都内公立教育相談室にて教育相談員兼務。

発語が遅かった発達グレー息子。まだまだお喋りがまだ幼くて…

しのくんは、発達障害グレーゾーンの男の子。
発語が遅かったしのくんですが、もうすぐ5歳で、おしゃべりをたくさんするようになりました。しかし、まだまだ同じ年ごろの子どもと比べるとおしゃべりが幼いしのくんです。
言葉の発達が実際の年齢の水準よりゆっくりなせいか、4歳になるまでは、「この子、何言ってるか分かんない」と、公園で一緒に遊んでくれるお兄ちゃんたちによく言われていました。
言葉の遅れがあり、公園でよく遊んでくれるお兄ちゃんたちに「この子何言ってるか分かんない」と言われてしまう発達グレーゾーンの息子。その言葉を聞いてショックを受ける母。
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しのくんが、このお兄ちゃんたちの言葉で傷ついたかどうかは分かりませんが…少なくとも私は傷つきました(笑)でも、しのくんが何を言っているのか分からないのは事実なので、早くおしゃべりが上手になればいいなぁと思っていました。
当時しのくんは、相手の発言や質問の理解が難しかったのと、意味が分かったとしても、答えるための言葉が見つからなかったため、簡単な質問にも答えることができませんでした。
なので、家では、簡単な質問に答えられるように「お名前は?」とか、「しのくん何歳?」など練習しました。

何度も同じ言葉を繰り返してしまう

もうすぐ5歳になるしのくんは、ようやく簡単な質問にも答えられるようになったし、何を言っているのかも相手に伝わるようになってきました。

ところが…

やっぱり、同じ年ごろの子どもと比べるとまだまだおしゃべりが幼くて…しのくんは、言いたい言葉が見つからないときは、同じ言葉を何度も言ってしまいます。
例えば、「しのくんは、うさぎさんが大好き」と言いたかったとします。ですが、「うさぎ」という言葉が出てこないときには、「しのくんなぁ、しのくんなぁ、あの、あの、あの…」と同じ言葉が続いてしまうのです。
言いたい言葉が出てこないときには、「しのくんなぁ、しのくんなぁ、あの、あの、あの…」と同じ言葉が続いてしまう発達グレーゾーンの息子。
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思い出せたらいいのですが、思い出せないときは、ジェスチャーや、「耳がこんな長くて、ぴょんぴょん飛ぶやつ」など、なんとか伝えようとしてくれます。
「耳がこんな長くて、ピョンピョンとぶやつ、好きねん」とジェスチャーを交えて説明する息子に「うんうん、うさぎさんやね」と返す母。
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これが、家だったら最後までしのくんのペースで話を聞いてあげられるのですが…家族以外の人と話しているときだと、つい私がしのくんの言葉をさえぎって、先に答えを言ってしまいます。
家族以外の人と会話しているときは「しのくんなぁ、きのうなぁ、あの、あの、あの」となかなか言葉が出てこない発達グレーゾーン息子。言葉が出てくるまで待てず、「昨日水族館行ってきたんですよ」とつい先回りして言いたいことを言ってしまう母。
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私の中でさまざまな感情が渦巻いているのが原因だと思われます(何言ってるか分からないと言われたくないし、相手の時間を気にしてしまったり…)。でも最近、それが良くないんじゃないか?と思い始めました。しのくんが、相手に一生懸命伝えようとしているのに私が邪魔をしている気がしますし、話す力も奪っている気がしました。
時と場合によりけりだと思いますが、できるだけしのくんのペースに合わせて、しのくんの邪魔にならないようサポートしていきたいなと思います。

執筆/keiko
(監修:初川先生より)
しのくんの言葉のサポートについての葛藤や逡巡のエピソードをありがとうございます。はじめに出てきた「子ども同士のコミュニケーション」。この難しさに関しては多くの保護者の方も分かる分かると感じるのではないでしょうか。子ども同士のコミュニケーションは大人が改めて聞いてみると、なかなか“残酷な言葉”が飛び交っています。「何言ってるか分かんない」もそうですが、「(あなたのこと)きらい」や「やだ(一緒に遊びたくない、遊びに入れてあげない)」など。大人が聞くとグサッと刺さったり、ハラハラしたりする言葉が飛び交っています。ただ、それは、相手の子が特別冷たいからということではなく、子どもはお互いいろいろと未熟だからなのだろうと私は理解しています。表現がストレートすぎる。ただ、だからこそ、相手の言いたいことが分かりやすい面はあります。成長すると、婉曲表現や笑顔で遠回しに嘘(建前)を言うといったことがありますが、その前には、まずは発言の意味をしっかりと受け取る練習は必要で、そういう意味でストレートな表現は発達段階的にお互いに有効な面があります。ただ、お子さんによっては、字義通りにすべて受け取れるタイプのお子さんや傷つきやすい・思い悩みやすいお子さんもいるので、そのあたりは良く見ていただければと思います。

後半に書かれたkeikoさんのサポートはどちらもとても良いと思いました。なかなか思い出せない言葉(例「うさぎ」)を、ほかの言葉で説明してもらって、それを何と呼ぶのか伝える。時間がかかるサポート法ですが、とても大事ですね。うさぎの特徴を相手に伝えて分かろうとしてもらう、いわばバイパスをかけるような方法をしのくんは練習しています。そして、この場合の主眼は「言葉を思い出す」にあると思います。家族以外との対話場面で、keikoさんがやや先回りして、しのくんが「きのうなぁ」と言った時点で相手に「水族館に行ってきたんです」と伝える。keikoさんは先回りしてよくないのではと感じられたようですが(その気づき自体、とても素敵です)、たしかに先回りして、言葉を思い出すまでの時間をショートカットしているとも見えます。ですが、私には、この場合はしのくんにとって「言葉を思い出す」よりも、「相手との会話を楽しむ」「会話の実践」に主眼がおかれる設定に変わったというように見えます。
言葉を思い出したり、言いたいことにしっくりくる言葉を探したり、そういうことは大事ですが時間がかかり、言いたいことがあるのにするする伝えられないじれったさを感じることもおそらく多くなります。「水族館に行った」ということをフォローしてあげることで、しのくんにとって大事な「水族館に行ってどうだったかを知らせる」にエネルギーを注ぎやすくなります。おそらく話の相手には、水族館に行って楽しかったんだよ!とか、面白かった、すごかったなどそうした興奮を伝えたいのではと思うのです。子どもの発言としては「水族館に行った」にそれも含まれると感じているお子さんは多いです。「水族館に行った(=おもしろかった!の意味)」、だからこそ、気の利く大人は「そう、よかったわねぇ」や「あら、楽しかった?」と返すことが多いのだと思います。そこを感覚的にkeikoさんも分かっているから、先回りして言いたいことを取ってしまったと感じるのでしょう。

でも、本来的には「楽しかった」「面白かった」などを(察してもらうのではなく)言えた方がいいです。そのあとの言葉がうまく出ずとも、「お母さんは楽しかったけど、しのくんはどうだった?」「魚がいっぱいいてびっくりしたね」「大きな魚がいたね」など、いくつか話しやすくするための呼び水となる言葉を伝えてもいいと思います。ときどきその中で「しのくんはどうだった?」とkeikoさんからインタビューすると、話しやすくなるのではと感じます。使う言葉のレパートリーを提示したうえで、話すことを実践してもらう、ということです。そういう意味で、keikoさんがご家庭でするサポート、実際の会話場面でのサポートそれぞれの目的を整理してみると、またそれぞれへの力点の置き方が明確になるように思います。
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コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如・多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。

SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。

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