2歳10ヶ月で無発語、3歳半で2語文、もうすぐ5歳の今は「思いついたらすぐ発語」…ST訓練で気づいた自閉症息子に必要なこと
ライター:まる
「言葉が出ない」と2歳に入ってからずっと悩んでいた発語の問題。初めて発した単語は2歳11ヶ月での「パフ(バス)」でした。あれから約2年が経ち現在どのくらいの言葉を話すまでに成長したかのお話です。
監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。
1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。
息子の現在の言葉の状況
息子の発達に不安を感じ始めてからずっと気になっている言葉の問題、一人ひとり成長だったり障害の状況だったりでみんな違うのは分かっているけど、発語ゼロのときは一生このまま言葉が出ないの?会話ができるようになるの?と不安で仕方なかった。以前も一度発語についてのコラムを書いていたかと思う。
「ママって言って!」1歳であった発語が消えた?3歳になった今は…「発達の後退と気にしなくていい」STさんの言葉に救われて
前回は初めての発語(2歳11ヶ月)~2語文が出たところ(3歳5ヶ月)までの状況だったが、現在4歳9ヶ月になり言葉の幅もだいぶ広がってきた。現在「今日保育園で何して遊んだの?」「今日はお友達と追いかけっこしたよ!」のようなスムーズな会話まではすることができない。だが単語はものすごく増えたので単語でのやりとりはだいぶできるようになってきた。例えばお茶が飲みたいとき「おちゃー、くーだーさい!」と言うなど2語文はそれなりに出るようになっていて、状況によっては3語文で「リューちゃん、ごはん、たべるー」などもちょこちょこ出ている。この前なんて「もー、おなか、ペコペコだぁ~」なんてことも言っていたり。2年前とは比べ物にならないくらい成長をしている。
覚えやすい言葉
要求の言葉は覚えやすいようで「○○ちょーだい」「やって」「あけて」などを言葉と行動もしっかり合わせて日常的に使うことができている。リモコンを持ってきて「てれび、みーせーて」など要求することもお手のものだ。あとは自分の好きな電車関係についても頭にスッと入るようで「駅に、とうちゃーく」「赤い電車きたー」などさまざまなことをお話ししてくれる。逆に母から息子に対しての要求の言葉に対しては、いつも返事はない。しかし返事はせずとも伝わってはいるようで「お片付けして」「電気消して」など言えば行動に移してくれる。あとは動画の中のセリフもよく真似している。動画を見せすぎるな、などよく言われているが、それなりに見せることで興味の幅が広がり発語の練習になるのはよかったなと思っている。息子は動画から「おかーさーん!起きてー!!」だったり(意味は分かってないかもしれない)「ハンバーガーとー、ポテト、くーだーさいっ!」など言葉が広がっていっている。いまだに喃語のようなものをウニャウニャしゃべっていることもあるが、何もしゃべらないなぁ…と悩んでいた時期があったことを忘れるほど日中何かしらおしゃべりしてくれている。
STの訓練
先日STの訓練で乗り物、食べ物、動物のカード分けの訓練をした。1つずつ名前を言ってからカードをそれぞれの部類に分ける訓練だ。息子は乗り物はほぼ全ての名前が言えたが食べ物はほとんど言うことができず、動物もあまり分かっていなかった。ずっと乗り物に興味があるならそれを伸ばそう!と取り組んできたが、そろそろ乗り物以外の言葉も覚えさせないといけない。動物に関しては使用していたカードが実写に近いイラストだったため分からないものが多かったようで、可愛いデフォルメされた動物ならそれなりに答えられる。その辺も含めて教えていかないと、と私としても気づけてよかった。
STの訓練でもう1つ、いくつかの色のパズルのピースを先生に「○○(色)、ちょーだい」と伝えてピースをもらってパズルにはめる、という作業をしたのだが、まずは色を言ってほしいのに「ちょーだい!」「あれ!」「そっち!」「クーダーサイ!」などいろいろな言葉が次々に飛び出してしまう。先生によると思いついた言葉がどんどん飛び出してしまっている状況なので、これからはそれを整理してきちんと状況に合った言葉を引き出しから出す練習が必要だね、とのこと。確かに今の息子は昔よりだいぶおしゃべりになっているが、本当に思ったことをすぐにそのまま口から出している感じで、○○と言っていたのに急に××と言い出すなどチグハグなところも多々あるのはそういうことかと納得した。4月からは、去年からキャンセル待ちしていた個別療育に通えることになったので、また変化が楽しみだ。
執筆/まる
STの訓練でもう1つ、いくつかの色のパズルのピースを先生に「○○(色)、ちょーだい」と伝えてピースをもらってパズルにはめる、という作業をしたのだが、まずは色を言ってほしいのに「ちょーだい!」「あれ!」「そっち!」「クーダーサイ!」などいろいろな言葉が次々に飛び出してしまう。先生によると思いついた言葉がどんどん飛び出してしまっている状況なので、これからはそれを整理してきちんと状況に合った言葉を引き出しから出す練習が必要だね、とのこと。確かに今の息子は昔よりだいぶおしゃべりになっているが、本当に思ったことをすぐにそのまま口から出している感じで、○○と言っていたのに急に××と言い出すなどチグハグなところも多々あるのはそういうことかと納得した。4月からは、去年からキャンセル待ちしていた個別療育に通えることになったので、また変化が楽しみだ。
執筆/まる
(監修:鈴木先生より)
一般的には1歳まで喃語が、1歳半までに単語が、3歳までに2語文がでれば正常範囲内と考えられています。言葉の遅れで小児科医がまず考えるのは「難聴」の有無です。言葉の出ないお子さんに難聴があるかどうかを正確に検査する方法としてはABR(聴性脳幹反応)があります。聞こえていれば山のような波が出てきます。会話の音域である45dBで反応があれば難聴がないと判断されます。難聴が否定されたら、DQ検査などを行い、知的発達症の有無を確認します。知的な遅れがなくても保育園など集団の中に入ってから急激に言葉が出る表出型言語遅滞のお子さんもいます。「バス」のことを「パフ」と言ってもいいのです。重要なのはその子の発した言葉に反応してあげることなのです。言い直しは自信をなくすのでしないようにしましょう。
一般的には1歳まで喃語が、1歳半までに単語が、3歳までに2語文がでれば正常範囲内と考えられています。言葉の遅れで小児科医がまず考えるのは「難聴」の有無です。言葉の出ないお子さんに難聴があるかどうかを正確に検査する方法としてはABR(聴性脳幹反応)があります。聞こえていれば山のような波が出てきます。会話の音域である45dBで反応があれば難聴がないと判断されます。難聴が否定されたら、DQ検査などを行い、知的発達症の有無を確認します。知的な遅れがなくても保育園など集団の中に入ってから急激に言葉が出る表出型言語遅滞のお子さんもいます。「バス」のことを「パフ」と言ってもいいのです。重要なのはその子の発した言葉に反応してあげることなのです。言い直しは自信をなくすのでしないようにしましょう。
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コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
ADHD(注意欠如・多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
ADHD(注意欠如・多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。