就学先間違えた!? 入学式で逃亡、迷子、大号泣で早くも後悔。特別支援学級を選んだ障害のあるわが子、1年後の今は

ライター:星きのこ
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こんにちは。漫画家の星きのこです。
7歳になるダウン症のある男の子、きいちゃんを子育て中です。

さて、今このコラムを書いている3月末はちょうど桜が満開です。きいちゃんが小学校の特別支援学級に入学した去年は、入学式のときに桜が残っていてくれたのですが、今年もなんとか残ってくれたらいいなあと思っています。

今回は1年前のきいちゃんの入学式を振り返ってみたいと思います。

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監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。 1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。

夢に描いたわが子のランドセル姿に胸が熱く…しかし!?

地域の小学校の特別支援学級に行くか、支援の手厚い特別支援学校に行くか、直前になって悩みまくったという話を以前のコラムで書きました。きいちゃんの可能性を信じて、地域の小学校の特別支援学級に行かせると決めたわが家でしたがーー…。
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特別支援学校一択のはずが…母、選択を間違った!?締切直前で進路変更した理由

いよいよ入学式当日!少しダボついたスーツ姿(フリマアプリで激安で購入)に、1年生には大きいランドセルを背負って…きいちゃんと私たち親子は意気揚々と小学校の入学式に出発しました。

子どものランドセル姿、親にとっては夢に描いた姿ですよね。私も胸熱で、グッときました…。障害があるならなおさらです。わが子よ、さまざまな苦難を乗り越え、よくここまで大きくなってくれた…。母ちゃん、うれしい…!!感激に心の中で涙しました。…でも思えば、ここが入学式のピーク、ハイライトでした…。
ダウン症のある息子が小学校の入学式を迎え、夢にまで見たランドセル姿に胸が熱くなる両親。しかし、思えばこのときが入学式の一番のハイライトだった…。
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入学式のリハーサルでは完ぺきだったのに…

実は入学式前に小学校のご配慮から、きいちゃんだけ1日、校舎を見て回ったり、入学式が行われる体育館に行って入学式のリハーサルのようなものをやらせていただきました(ありがたい…涙)。そのときはちゃんとお辞儀をしたり、とってもいい子だったきいちゃん。よし!これで、入学式もきっと順調に何事もなく終わってくれると確信したのですが…。

さて、小学校に着くと、まず親がやりたいのは入学式の看板前で子どもの写真を撮ることですよね。もちろん、うちも試みました。
…が、いつもと違う雰囲気を察したのか、きいちゃんじっとしてくれません。いきなり校庭に逃亡し、そのまま迷子に!!!
小学校に着くといつもと違う雰囲気を察したのか、ダウン症のある息子きいちゃんはいきなり校庭に逃亡し、そのまま迷子に。逃げるきいちゃんを追いかける大人たち。
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ちなみに私、この日よせばいいのに、はりきって着物で行ってしまいましてね…(きいちゃんと同じくフリマアプリで激安で購入…)。着物姿で振り乱してきいちゃんを追いかけ、探しましたよ…。教頭先生をも巻き込んで、きいちゃん大捜索!!入学式前からやってくれる!!

やっと見つけて、ボロボロの着物姿の私とパパで宇宙人のように抱えられるきいちゃん。それを見たママ友は大爆笑。…泣きたい…
母と父に、宇宙人のように抱えられるダウン症のある息子きいちゃん。入学式前からボロボロの着物姿を見たママ友に笑われる。
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そして、本番の体育館での入学式。

リハーサルではとってもいい子だったきいちゃんが、たくさんの人にビビって大泣き!!帰る帰ると泣きわめく…もちろん椅子にじっと座ってくれもせず、私が抱っこ。このとき、本当に特別支援学級に入れてよかったのかと早くも不安になりました…。

こんな感じで目立ちまくるわが子に、これまた目立つ着物姿の私。(ちなみにうれしげに着物を着てきたのは私一人だったことをここに報告いたします)心の底からなんで着物で来てしまったんだと後悔しまくる私に、追い打ちがかけられます。

「クラスで記念撮影があるので前に集まってくださーい」と号令が。きいちゃんをひきずって集合場所に行きましたが、さらに号泣するきいちゃん。そうしたら、隣の男の子が、ひとこと。
「うるせーんだよ…!」…と…。
クラスで記念撮影をするときになり、「帰る!」と号泣するダウン症のある息子きいちゃん。隣の男の子が「うるせーんだよ…!!」と言い放ち、母の胸にぐさりと突き刺さる。
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はい、グサッと私の胸に矢が刺さりました。容赦ない!さすが定型発達の小学1年生、容赦ない!!思ったこと素直に口にするぅ~~~~!!!!

入学式参加者全員の視線を一身に集めるきいちゃんと私。きいちゃんよ…泣きたいのは母ちゃんだ…。
「ああ、失敗した…やっぱり特別支援学校にしとけばよかったんだ…地域の小学校に行ってしまったからこんなことに…そしてなんで着物にしてしまったんだ…」と、心から後悔と自己嫌悪に陥りました。
ああやってしまった…学校選び間違えた…もう帰りたい…と涙を流すダウン症のある息子の母。
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きいちゃんのこれからの小学校生活におおいなる不安を持った私ですが、その不安はありがたいことに杞憂で、この1年とっても楽しく小学校生活を過ごし、大きく成長してこの春、2年生になることができます。

全て受け入れて下さった小学校と担任の先生方のお陰です。そしてこの1年があっという間だったように、あっという間に卒業式がきちゃうんだろうな。そのときは着物は絶対にやめようと思った私なのであった…。

執筆/星きのこ
(監修:鈴木先生より)
学校側がリハーサルをしてくれたことは予習になるので良かったのですが、以前の入学式の様子をビデオなどであらかじめ見せておけばさらに良かったのかもしれません。ほかのお子さんよりどうしても先行きの不安が強いので、耐え切れずに泣いてしまったのでしょう。周りの子どもたちがみんなダウン症に理解があるわけではないので、時には冷たい言葉が聞かれることもあります。特別支援学校でない限りこれからもそういった問題が起こりえるので、できれば担任の先生からみんなに分かりやすく説明してもらうことで理解が得られるのではないでしょうか。たとえ理解が乏しくても毎年同じ説明を繰り返していくことが重要なのです。心理ではブロークンレコード法と言われる手法です。

このコラムを書いた人の著書

きいちゃんはダウン症(1)
星きのこ(著)
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コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如・多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。

SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
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