「第5回 日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 公募展」開催ーー「アート」と「障害」の固定概念を変えてきた公募展、審査員インタビューも【4/12~17大阪で開催】
ライター:発達ナビニュース
日本財団が進める「日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS プロジェクト」は、誰もが参加できるインクルーシブな社会の実現を目指し、「日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 公募展」を2018年にスタート。障害のある人の芸術活動への支援、才能のあるアーティストの発掘という面だけでなく、障害の有無、国籍や文化も越えて、自由に表現することのすばらしさを社会に伝え続けています。
「第5回 日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 公募展」全国3ヶ所を巡り開催
日本財団が進める「日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS プロジェクト」は、誰もが参加できるインクルーシブな社会の実現を目指し、「日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 公募展」を2018年にスタート。障害のある人の芸術活動への支援、才能のあるアーティストの発掘という面だけでなく、障害の有無、国籍や文化も越えて、自由に表現することのすばらしさを社会に伝え続けています。
「第5回 日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 公募展」が全国3ヶ所を巡り開催。東京会場からスタートし、横浜会場、大阪会場へとバトンをつなぎます。
今回の公募展には、国内外から2,246作品の応募があり、厳正なる審査を経て128作品(審査員賞6作家8作品、海外作品賞1作家1作品、入賞43作家53作品、佳作50作家66作品)が選出されました。各会場ではその中から87点の作品が展示されます。
「第5回 日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 公募展」が全国3ヶ所を巡り開催。東京会場からスタートし、横浜会場、大阪会場へとバトンをつなぎます。
今回の公募展には、国内外から2,246作品の応募があり、厳正なる審査を経て128作品(審査員賞6作家8作品、海外作品賞1作家1作品、入賞43作家53作品、佳作50作家66作品)が選出されました。各会場ではその中から87点の作品が展示されます。
この10年で大きく変わった「障害のある人のアート」の環境
日本における障害のある人のアートに関する取り組みの大きな一歩は、2001年(平成13年)に厚生労働省が国際交流と障害者の文化芸術の拠点として国際障害者交流センター ビッグ・アイを設置したことにあるのではないでしょうか。
そのビッグ・アイで2011年に主催した公募展が「日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 公募展」の先駆けとなります。
全国の障害のある人の施設では、創作活動などを行っているところもありましたが、それを世に出す機会が少なく、公募展があったとしても地域の中など、限定されたものでした。その中でビッグ・アイは、全国的、さらには国際的な視野で文化芸術活動を支援していくことを目指した公募展を始めたのです。
しかし、当時は「障害のある人のアート」に関して、社会的な環境が今とは全く違っていました。「障害については、芸術ではなく福祉分野で語るべきだ」という声や、障害のある人の作品を美術として「評価する」ということに対してのさまざまな意見もあったといいます。
平等性、公平性が大事とされる福祉の中で「選ぶ」ということが果たしていいのかという議論や、「『誰もが制作できる場』をつくったほうがよいのではないか」というような意見が多くあったのです。
そこから少しずつ認知度や理解が高まり、障害のある人たちが自由に表現できる場が増え、社会の見方にも変化がでてきたといいます。
そのビッグ・アイで2011年に主催した公募展が「日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 公募展」の先駆けとなります。
全国の障害のある人の施設では、創作活動などを行っているところもありましたが、それを世に出す機会が少なく、公募展があったとしても地域の中など、限定されたものでした。その中でビッグ・アイは、全国的、さらには国際的な視野で文化芸術活動を支援していくことを目指した公募展を始めたのです。
しかし、当時は「障害のある人のアート」に関して、社会的な環境が今とは全く違っていました。「障害については、芸術ではなく福祉分野で語るべきだ」という声や、障害のある人の作品を美術として「評価する」ということに対してのさまざまな意見もあったといいます。
平等性、公平性が大事とされる福祉の中で「選ぶ」ということが果たしていいのかという議論や、「『誰もが制作できる場』をつくったほうがよいのではないか」というような意見が多くあったのです。
そこから少しずつ認知度や理解が高まり、障害のある人たちが自由に表現できる場が増え、社会の見方にも変化がでてきたといいます。
「日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 公募展」の魅力
「日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 公募展」の応募条件は、国内外を問わず、障害のある人が制作したアート作品で過去に受賞歴のない作品。絵画・イラスト・グラフィックデザイン・書・写真などの平面作品、造形などの立体作品など種類を問わず、素材やテーマも自由です。
世界的に見てもこの公募展のようなユニークなアートコンクールはないと言います。
こうした場があることで、障害のある人だけでなく、サポートする家族や施設の方々に「自由に表現していいんだ」という勇気を与え、回を追うごとに応募作品数だけでなく、その表現のバリエーションも広がっていきました。
5回目となる今回も国内外から2,246作品の応募があり、審査により128作品が選出されました。各会場ではその中から87点の作品が展示されています。
世界的に見てもこの公募展のようなユニークなアートコンクールはないと言います。
こうした場があることで、障害のある人だけでなく、サポートする家族や施設の方々に「自由に表現していいんだ」という勇気を与え、回を追うごとに応募作品数だけでなく、その表現のバリエーションも広がっていきました。
5回目となる今回も国内外から2,246作品の応募があり、審査により128作品が選出されました。各会場ではその中から87点の作品が展示されています。
それぞれの作品は、語りかけてくるようなエネルギーがあります。
審査員、そして展覧会のアートディレクターも務めた中津川浩章さんは作品についてこう話します。
「作品には障害のある人が日々感じている生きづらさなども反映されています。多かれ少なかれみなさんが現代社会の「不自由さ」を背負いながら、表現しているというのは間違いありません。
そのような生活の中から「表現」が生まれ、それが世界を変革していくというイメージを作品から感じられます。現代アートというジャンルでは、社会課題を反映し表現することが多いと思いますが、この公募展に集まる作品の数々は、意図的ではなくそれを表現しています。
社会課題も同時に読み取っていくと見えてくるヒリヒリとしたリアリティが作品の中にはあります。このような作品こそが実は社会的な作品と言えるのではないでしょうか」
審査員、そして展覧会のアートディレクターも務めた中津川浩章さんは作品についてこう話します。
「作品には障害のある人が日々感じている生きづらさなども反映されています。多かれ少なかれみなさんが現代社会の「不自由さ」を背負いながら、表現しているというのは間違いありません。
そのような生活の中から「表現」が生まれ、それが世界を変革していくというイメージを作品から感じられます。現代アートというジャンルでは、社会課題を反映し表現することが多いと思いますが、この公募展に集まる作品の数々は、意図的ではなくそれを表現しています。
社会課題も同時に読み取っていくと見えてくるヒリヒリとしたリアリティが作品の中にはあります。このような作品こそが実は社会的な作品と言えるのではないでしょうか」
「第5回 日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 公募展」で展示されている87点の中には、画材と思われていないものをつかった作品も多数展示されています。それぞれの作品から感じる独創性、エネルギーはまさに新しいアートのジャンルをつくりだしていると言っても過言ではありません。
最近では、「『障害者アート』という名前は良くない、アートとして優れているのにどうして『障害者』とつけるんだ」という声もいろいろな方から届くようになったといいます。
また、国際的な現代美術市場でも、障害のある人が制作したさまざまな優れた作品が進出しています。しかし「障害者アート」とは言わず、魅力的な作品として評価されているのです。社会が大きく変わってきたと言えるのではないでしょうか。
特に日本ではアートは「技術を学び、それを習得した人が制作するもの」というイメージがあるかもしれません。しかしアートは本来もっと開かれたものであり、「自由に表現する」彼らの作品こそがアートのあるべき姿なのかもしれません。
「日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 公募展」の取り組みは、社会にある「障害」「アート」の固定概念に変化をもたらし、多様性の意義やその価値を伝え続けています。そして、それは「障害」「アート」という領域だけでなく、よりよい「共生社会」の実現につながっていくでしょう。
最近では、「『障害者アート』という名前は良くない、アートとして優れているのにどうして『障害者』とつけるんだ」という声もいろいろな方から届くようになったといいます。
また、国際的な現代美術市場でも、障害のある人が制作したさまざまな優れた作品が進出しています。しかし「障害者アート」とは言わず、魅力的な作品として評価されているのです。社会が大きく変わってきたと言えるのではないでしょうか。
特に日本ではアートは「技術を学び、それを習得した人が制作するもの」というイメージがあるかもしれません。しかしアートは本来もっと開かれたものであり、「自由に表現する」彼らの作品こそがアートのあるべき姿なのかもしれません。
「日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 公募展」の取り組みは、社会にある「障害」「アート」の固定概念に変化をもたらし、多様性の意義やその価値を伝え続けています。そして、それは「障害」「アート」という領域だけでなく、よりよい「共生社会」の実現につながっていくでしょう。