染色体異常症とは?原因や種類、検査や遺伝について解説【医師監修】
ライター:発達障害のキホン
染色体異常症とは、両親からもらう染色体が1本多くなったり、構造が突然変化してしまう異常のことです。考えられる原因はなにか、どのような症状があるのか、出生前にできる検査はあるのか、遺伝はするのかなど、染色体異常症について、詳しく分かりやすく解説していきます。
監修: 大橋博文
埼玉県立小児医療センター遺伝科 部長
先天異常症候群の診療において、遺伝学的精密診断と健康管理プログラムの運用ならびに種々の先天異常症候群の集団外来の開催を連携した包括的支援に取り組んでいる。
染色体異常症とは?症状や原因を解説
染色体異常症とは?染色体異常症と遺伝子疾患との違いは?
染色体は細胞の核の中に存在し、細胞分裂のときに紐のような形で現れます。染色体の中には、身体をつくる設計図といえる遺伝子(DNAからなる)が入っており、1つの細胞が持つ染色体の数は、生物の種類よって違います。人間の場合は22対の常染色体と1対の性染色体の、合わせて46本。1本ずつに多くの情報を持った染色体が細胞分裂の前に複製され、2つに分かれた細胞それぞれに同じ設計図の情報を伝えます。その染色体に起こる異常(=染色体異常症)は、すべての染色体で起こる可能性があります。
・数の異常による染色体異常…通常は2本で1組になっている染色体の数が増減する
・構造の異常による染色体異常…染色体の一部が欠けるなど、構造に関する異常
などの要素によって染色体異常が引き起こされます。要するに、染色体の数や構造が本来のものとは異なり、何らかの異常(症状)が生じている状態を染色体異常症といいます。
染色体異常症が染色体の数や構造に変化が起こるものを指すのに対して、遺伝子異常症(遺伝子疾患)は遺伝子の異常が原因でなんらかの病気につながるものを指します。遺伝子は染色体の中にあるのですが、染色体異常症と遺伝子異常症とは互いに異なる疾患概念といえます。
染色体異常症は、体の成長や発達の遅れ、いろいろな臓器・器官の構造・機能の異常など、さまざまな症状を持つことが多いです。
・数の異常による染色体異常…通常は2本で1組になっている染色体の数が増減する
・構造の異常による染色体異常…染色体の一部が欠けるなど、構造に関する異常
などの要素によって染色体異常が引き起こされます。要するに、染色体の数や構造が本来のものとは異なり、何らかの異常(症状)が生じている状態を染色体異常症といいます。
染色体異常症が染色体の数や構造に変化が起こるものを指すのに対して、遺伝子異常症(遺伝子疾患)は遺伝子の異常が原因でなんらかの病気につながるものを指します。遺伝子は染色体の中にあるのですが、染色体異常症と遺伝子異常症とは互いに異なる疾患概念といえます。
染色体異常症は、体の成長や発達の遅れ、いろいろな臓器・器官の構造・機能の異常など、さまざまな症状を持つことが多いです。
染色体異常症の原因
染色体異常症の考えられる原因としては、前述した「染色体の数」と「染色体の構造」の二つの要素があります。詳しく解説していきます。
・数の異常による染色体異常
人間の精子と卵子は細胞分裂し、受精すると父親由来の23本と母親由来の23本が合わさって46本の染色体に戻り、子どもに受け継がれていきます。その過程でいずれかの染色体がうまく分離せず2本とも精子もしくは卵子に入ってしまい、異常な精子や卵子ができることがあります(染色体不分離)。そのような異常な精子や卵子が、正常な精子や卵子と受精すると、1+2本でいずれかの染色体を3本持つ受精卵ができます(「トリソミー」と呼ぶ)。
その反対で、染色体が1本もない異常な精子や卵子が、正常な精子や卵子と受精すると、染色体が1本しかない受精卵ができます(「モノソミー」と呼ぶ)。
・数の異常による染色体異常
人間の精子と卵子は細胞分裂し、受精すると父親由来の23本と母親由来の23本が合わさって46本の染色体に戻り、子どもに受け継がれていきます。その過程でいずれかの染色体がうまく分離せず2本とも精子もしくは卵子に入ってしまい、異常な精子や卵子ができることがあります(染色体不分離)。そのような異常な精子や卵子が、正常な精子や卵子と受精すると、1+2本でいずれかの染色体を3本持つ受精卵ができます(「トリソミー」と呼ぶ)。
その反対で、染色体が1本もない異常な精子や卵子が、正常な精子や卵子と受精すると、染色体が1本しかない受精卵ができます(「モノソミー」と呼ぶ)。
・構造異常による染色体異常
染色体の一部が欠けている「欠失」、染色体の一部が重なってしまう「重複」、染色体の一部の位置が入れ替わってしまう「相互転座」などが主な構造異常のパターンです。
染色体の一部が欠けている「欠失」、染色体の一部が重なってしまう「重複」、染色体の一部の位置が入れ替わってしまう「相互転座」などが主な構造異常のパターンです。
染色体の構造異常が起こる原因として、主に
1.精子や卵子、受精卵が発生していく過程で新しくできる場合
2.両親が持つ構造異常が遺伝する場合
の2つが考えられています。
では、こうした染色体の異常はなぜ起きるのでしょうか?染色体は確かに両親から受け継ぐものですが、必ずしも遺伝によるものではありません。両親の染色体が正常でも、卵子や精子が形成される、また受精卵が形成される過程の中で突然変異が生じ、染色体異常が起こることがしばしばあります。おおもとの染色体異常を両親のいずれかから引き継いでいる場合もありますが、たまたま変化が起こるケースが多いようです。
1.精子や卵子、受精卵が発生していく過程で新しくできる場合
2.両親が持つ構造異常が遺伝する場合
の2つが考えられています。
では、こうした染色体の異常はなぜ起きるのでしょうか?染色体は確かに両親から受け継ぐものですが、必ずしも遺伝によるものではありません。両親の染色体が正常でも、卵子や精子が形成される、また受精卵が形成される過程の中で突然変異が生じ、染色体異常が起こることがしばしばあります。おおもとの染色体異常を両親のいずれかから引き継いでいる場合もありますが、たまたま変化が起こるケースが多いようです。
染色体異常症の種類
染色体異常の原因として、「数的異常」と「構造異常」があると述べましたが、染色体は「常染色体」と「性染色体」の2種類に分けられ、それぞれの染色体異常にも違いや特徴があります。
・常染色体異常症
常染色体とは、細胞内にある染色体のうち、性(男・女)に関係なく共通している染色体のこと。人間の体細胞は22対、44本の常染色体を持ちます。本数や一部領域の増減により、トリソミー(重複)やモノソミー(欠失)を引き起こします。常染色体異常は、それぞれ特徴的症状を持ちますが、一方成長と発達の遅れ、さまざまな疾患や合併症を持ちやすいことなどは常染色体異常症としての共通点といえます。
・性染色体異常症
X染色体とY染色体は性染色体といい、生物学的な性別によって構成が違います。女性はXX, 男性はXYです。XやYが1本多い、少ない、あるいは欠損しているなどが原因で起こるのが性染色体異常です。ターナー症候群(X染色体が1本のみ)、クラインフェルター症候群(XXY)などがあります。常染色体異常ほど重篤な疾患や合併症を有するケースは少なく、通常の学校生活や社会生活を送っている人も多くみられます。
さらに細かくみていくと、常染色体異常には以下の種類(原因)があります。
数の異常
(1)異数性異常と異数体…染色体の数が通常2本のところ、3本や1本になる異常を異数性異常といい、結果として染色体総数として正常と異なった状態を異数体といいます。
(2)三倍体、四倍体…正常な体細胞は二倍体だが、三倍体はそれぞれの染色体が3本あって全体で69本、四倍体は同じ状態で全体で92本となる。これらの倍数性の異常は症状が重く出生に至ることが難しいために、通常は胎児期に認められる染色体異常症です。
構造異常
(1)欠失…染色体の切断による端部あるいは中間部の染色体の部分的消失。
(2)環状染色体…1本の染色体の短腕と長腕の2か所が切断され、切断端が結合してリングを形成したもの。短腕と長腕の切断端から先の部分欠失を伴う。
(3)重複…染色体の特定部分が 二重以上になっている状態。同じ部分の欠失と比較すると軽症の傾向がある。
(4)逆位…同一染色体内での2ヶ所の切断で生じた間の部分が逆向きに再結合することで生じる。
(5)挿入…染色体の一部領域が別の染色体部位に挿入される。
(6)同腕染色体…1本の染色体の両腕ともが短腕あるいは長腕のみで形成された染色体。
(7)相互転座…2種類の染色体部分が互いに入れ替わること。
(8)二動原体染色体…2つの動原体(染色体の紡錘糸付着点)を持つ構造異常染色体。
・常染色体異常症
常染色体とは、細胞内にある染色体のうち、性(男・女)に関係なく共通している染色体のこと。人間の体細胞は22対、44本の常染色体を持ちます。本数や一部領域の増減により、トリソミー(重複)やモノソミー(欠失)を引き起こします。常染色体異常は、それぞれ特徴的症状を持ちますが、一方成長と発達の遅れ、さまざまな疾患や合併症を持ちやすいことなどは常染色体異常症としての共通点といえます。
・性染色体異常症
X染色体とY染色体は性染色体といい、生物学的な性別によって構成が違います。女性はXX, 男性はXYです。XやYが1本多い、少ない、あるいは欠損しているなどが原因で起こるのが性染色体異常です。ターナー症候群(X染色体が1本のみ)、クラインフェルター症候群(XXY)などがあります。常染色体異常ほど重篤な疾患や合併症を有するケースは少なく、通常の学校生活や社会生活を送っている人も多くみられます。
さらに細かくみていくと、常染色体異常には以下の種類(原因)があります。
数の異常
(1)異数性異常と異数体…染色体の数が通常2本のところ、3本や1本になる異常を異数性異常といい、結果として染色体総数として正常と異なった状態を異数体といいます。
(2)三倍体、四倍体…正常な体細胞は二倍体だが、三倍体はそれぞれの染色体が3本あって全体で69本、四倍体は同じ状態で全体で92本となる。これらの倍数性の異常は症状が重く出生に至ることが難しいために、通常は胎児期に認められる染色体異常症です。
構造異常
(1)欠失…染色体の切断による端部あるいは中間部の染色体の部分的消失。
(2)環状染色体…1本の染色体の短腕と長腕の2か所が切断され、切断端が結合してリングを形成したもの。短腕と長腕の切断端から先の部分欠失を伴う。
(3)重複…染色体の特定部分が 二重以上になっている状態。同じ部分の欠失と比較すると軽症の傾向がある。
(4)逆位…同一染色体内での2ヶ所の切断で生じた間の部分が逆向きに再結合することで生じる。
(5)挿入…染色体の一部領域が別の染色体部位に挿入される。
(6)同腕染色体…1本の染色体の両腕ともが短腕あるいは長腕のみで形成された染色体。
(7)相互転座…2種類の染色体部分が互いに入れ替わること。
(8)二動原体染色体…2つの動原体(染色体の紡錘糸付着点)を持つ構造異常染色体。
染色体異常症の症状とは?どのような特徴があるの?種類、疾患例なども紹介
染色体異常症があると、成長、発達、体の病気などのさまざまな症状が現れます。このような症状が複数あてはまる場合には、染色体異常症を考えるきっかけとなります。代表的な染色体異常症について、その症状や特徴を紹介します。
・21トリソミー(ダウン症候群)
21番染色体が3本存在するトリソミーの染色体異常です。筋肉の緊張度が低く、知的な発達に遅れがあります。心疾患などを伴うことも多いですが、医療や療育の進歩で最近ではほとんどの人が学校生活や社会生活を送っています。
・13トリソミー症候群(パトウ症候群)
パドウ症候群とも言われ、13番染色体が3本存在するトリソミーの染色体異常です。寿命は数ヶ月と言われていましたが、医学の発達に伴い、近年は数年を超えて長期の生存者もいます。小頭症、口唇口蓋裂などを伴うことが多く、さまざまな疾患・合併症があります。
・18トリソミー症候群(エドワーズ症候群)
エドワーズ症候群とも言われ、18番染色体が3本存在するトリソミーの染色体異常です。寿命は一般的に数ヶ月とされていましたが、数年を超えて長期の生存者もいます。成長障害、心疾患を伴うことが多く、そのほか、さまざまな疾患・合併症があります。
・ターナー症候群
女性のみにみられる染色体異常症。2本のX染色体のうち1本の全体または一部(短腕)が欠失することで起こります。低身長、二次性徴が現れないことが多く、首から肩にかける皮膚にたるみがあるなどの身体的な特徴があります。知的に正常な人が多いですが、一部知的障害を伴う場合もあります。
・クラインフェルター症候群
男性のみにみられる染色体異常症で、性染色体にX染色体が一つ多いXXYの状態で生まれ、おもに思春期に症状が現れるとされています。高身長、手足が長いなどの身体的特徴、また男性としての二次性徴に乏しく、無精子症や乏精子症などの症状もあります。生涯診断されることなく通常の社会生活を送っている人も多くいます。
・5pモノソミー症候群
5番染色体の短腕の一部が失われることによる染色体異常症です(”p“は短腕を示す言葉です)。低出生体重児として産まれることが多く、頭が小さい、耳の位置が低いなどの身体的特徴があります。泣き声が甲高いことも特徴です。運動面の発達の遅れ、精神発達遅滞、側湾などがあります。
以上挙げた染色体異常症の中で、5pモノソミー症候群のみ構造異常、そのほかはすべて数的異常です。
医学や技術は発展し、2021年には精密な染色体検査法であるマイクロアレイ染色体検査が保険収載されました。以前は原因不明だった微細な染色体異常(ゲノムコピー数変化)による病気も次々に明らかになってきています。そして従来の染色体検査で分かる構造異常の精密な診断も可能になっています。これらの検査の発展によって染色体異常の診断制度は向上してきています。
・21トリソミー(ダウン症候群)
21番染色体が3本存在するトリソミーの染色体異常です。筋肉の緊張度が低く、知的な発達に遅れがあります。心疾患などを伴うことも多いですが、医療や療育の進歩で最近ではほとんどの人が学校生活や社会生活を送っています。
・13トリソミー症候群(パトウ症候群)
パドウ症候群とも言われ、13番染色体が3本存在するトリソミーの染色体異常です。寿命は数ヶ月と言われていましたが、医学の発達に伴い、近年は数年を超えて長期の生存者もいます。小頭症、口唇口蓋裂などを伴うことが多く、さまざまな疾患・合併症があります。
・18トリソミー症候群(エドワーズ症候群)
エドワーズ症候群とも言われ、18番染色体が3本存在するトリソミーの染色体異常です。寿命は一般的に数ヶ月とされていましたが、数年を超えて長期の生存者もいます。成長障害、心疾患を伴うことが多く、そのほか、さまざまな疾患・合併症があります。
・ターナー症候群
女性のみにみられる染色体異常症。2本のX染色体のうち1本の全体または一部(短腕)が欠失することで起こります。低身長、二次性徴が現れないことが多く、首から肩にかける皮膚にたるみがあるなどの身体的な特徴があります。知的に正常な人が多いですが、一部知的障害を伴う場合もあります。
・クラインフェルター症候群
男性のみにみられる染色体異常症で、性染色体にX染色体が一つ多いXXYの状態で生まれ、おもに思春期に症状が現れるとされています。高身長、手足が長いなどの身体的特徴、また男性としての二次性徴に乏しく、無精子症や乏精子症などの症状もあります。生涯診断されることなく通常の社会生活を送っている人も多くいます。
・5pモノソミー症候群
5番染色体の短腕の一部が失われることによる染色体異常症です(”p“は短腕を示す言葉です)。低出生体重児として産まれることが多く、頭が小さい、耳の位置が低いなどの身体的特徴があります。泣き声が甲高いことも特徴です。運動面の発達の遅れ、精神発達遅滞、側湾などがあります。
以上挙げた染色体異常症の中で、5pモノソミー症候群のみ構造異常、そのほかはすべて数的異常です。
医学や技術は発展し、2021年には精密な染色体検査法であるマイクロアレイ染色体検査が保険収載されました。以前は原因不明だった微細な染色体異常(ゲノムコピー数変化)による病気も次々に明らかになってきています。そして従来の染色体検査で分かる構造異常の精密な診断も可能になっています。これらの検査の発展によって染色体異常の診断制度は向上してきています。
染色体異常症の検査、予防、遺伝について
染色体異常症を調べるための検査とは
染色体異常症を調べるにはどのような検査があるのでしょうか。最近では、妊婦の血液サンプルを分析して、胎児に特定の染色体異常がないかを判定するスクリーニング検査が開発されています。
・母体血清マーカー検査…妊婦の血中の成分を調べ、ダウン症候群、18トリソミー症候群、ならびに開放性神経管閉鎖不全の確率を予測するスクリーニング検査。少量の血液を採取し、妊娠15~20週に行うことができ、10日ほどで結果が出る。
・コンバインド検査…コンバインドは「組み合わせ」という意味。超音波検査と母体血清マーカー検査を組み合わせて行う。単体の検査よりも高い精度が期待できる。妊娠11週~13週に行うことができる。対象はダウン症候群、18トリソミー症候群、13トリソミー症候群。
・新型出生前診断(NIPT)、セルフリー胎児DNA検査…妊婦の血液中にある胎児由来のDNA断片を調べ、そこからダウン症候群、18トリソミー症候群、13トリソミー症候群の可能性を判断する。妊娠9~10週目以降から受けることができる。
これらの検査を行うことで、胎児が上記のトリソミーをもつ可能性が確率として示されますが、確実に診断するためには以下の検査が必要になります。
・羊水穿刺(羊水検査)…細い穿刺針を用いて羊水を吸引し、羊水中の胎児細胞を用いて検査する。妊娠15週以降で実施可能。
※検査の際に穿刺をすることにより、およそ 1/300~1/500 の確率で流産に至るリスクがあります。
・絨毛採取…絨毛は妊娠早期の胎盤の一部で、それを採取して行う検査。羊水検査に比べてより早く、妊娠11~14週で実施可能。
※検査の際に穿刺をすることにより、およそ 1/100の確率で流産に至るリスクがあります。
・母体血清マーカー検査…妊婦の血中の成分を調べ、ダウン症候群、18トリソミー症候群、ならびに開放性神経管閉鎖不全の確率を予測するスクリーニング検査。少量の血液を採取し、妊娠15~20週に行うことができ、10日ほどで結果が出る。
・コンバインド検査…コンバインドは「組み合わせ」という意味。超音波検査と母体血清マーカー検査を組み合わせて行う。単体の検査よりも高い精度が期待できる。妊娠11週~13週に行うことができる。対象はダウン症候群、18トリソミー症候群、13トリソミー症候群。
・新型出生前診断(NIPT)、セルフリー胎児DNA検査…妊婦の血液中にある胎児由来のDNA断片を調べ、そこからダウン症候群、18トリソミー症候群、13トリソミー症候群の可能性を判断する。妊娠9~10週目以降から受けることができる。
これらの検査を行うことで、胎児が上記のトリソミーをもつ可能性が確率として示されますが、確実に診断するためには以下の検査が必要になります。
・羊水穿刺(羊水検査)…細い穿刺針を用いて羊水を吸引し、羊水中の胎児細胞を用いて検査する。妊娠15週以降で実施可能。
※検査の際に穿刺をすることにより、およそ 1/300~1/500 の確率で流産に至るリスクがあります。
・絨毛採取…絨毛は妊娠早期の胎盤の一部で、それを採取して行う検査。羊水検査に比べてより早く、妊娠11~14週で実施可能。
※検査の際に穿刺をすることにより、およそ 1/100の確率で流産に至るリスクがあります。
染色体異常症は予防できる?
「これをすれば胎児の染色体異常症は予防できる」というはっきりした予防策は今現在ありません。
出生後の検査
出生後、赤ちゃんの身体的外見や特徴などから、染色体異常症を示唆する特徴的な所見が認められた場合、血液を用いた染色体検査を行って診断を確定させます。診断確定後に染色体異常症に伴う病状や合併症の可能性を考慮し、心臓や腎臓のエコー検査、眼科・耳鼻科(聴覚)評価など、さまざまな必要な検査を行います。
染色体異常症は遺伝するの?
染色体異常症は、卵子や精子が形成される、また受精卵が形成される過程の中で、親からの遺伝ではなく偶発的に起こるケースが多いです。しかし、染色体異常の中でも「構造異常」の場合、父母のいずれかが保因者であるケースもあり、その場合子どもに遺伝する可能性があります。
保因者とは、症状は出ていなくとも、染色体の構造異常がある人です。均衡がとれた構造異常の場合には通常症状はなく、このような染色体均衡型構造異常の保因者は数百人に一人の割合でいると考えられています(ほとんどの人は自分が保因者であることを知りません)。親の保因者検査や次子への遺伝(不均衡タイプの染色体構造異常)の可能性、また出生前検査に関してなどの相談の希望があれば、遺伝カウンセリングを受けることが可能です。
保因者とは、症状は出ていなくとも、染色体の構造異常がある人です。均衡がとれた構造異常の場合には通常症状はなく、このような染色体均衡型構造異常の保因者は数百人に一人の割合でいると考えられています(ほとんどの人は自分が保因者であることを知りません)。親の保因者検査や次子への遺伝(不均衡タイプの染色体構造異常)の可能性、また出生前検査に関してなどの相談の希望があれば、遺伝カウンセリングを受けることが可能です。
まとめ
染色体異常症には数的異常、構造異常、常染色体異常、性染色体異常など、さまざまな種類があります。また、親から遺伝する場合もありますが、多くは遺伝に関係なく突然に起きることが多いようです。遺伝カウンセリングなどで、染色体異常症の出生前検査方法や診断方法、染色体異常症があった場合どうするかについてなど、さまざまな相談をすることができます。
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