片づかない部屋にもう限界!自閉症息子、おもちゃを散らかす原因は?わが家の片づけ大作戦

ライター:みん
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知的障害を伴う自閉スペクトラム症のあるわが家の次男Pは、家では主におもちゃで遊んだり、絵を描いたりして遊んでいます。でも毎日それらを机の上や床に出し散らかしてしまい、片づけても片づけてもすぐに部屋がぐちゃぐちゃになるので私はイライラしていました。

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監修: 新美妙美
信州大学医学部子どものこころの発達医学教室 特任助教
2003年信州大学医学部卒業。小児科医師として、小児神経、発達分野を中心に県内の病院で勤務。2010年信州大学精神科・子どものこころ診療部で研修。以降は発達障害、心身症、不登校支援の診療を大学病院及び一般病院専門外来で行っている。グループSST、ペアレントトレーニング、視覚支援を学ぶ保護者向けグループ講座を主催し、特に発達障害・不登校の親支援に力を入れている。 多様な子育てを応援するアプリ「のびのびトイロ」の制作スタッフ。

家での遊びの環境について考えてみる

知的障害を伴う自閉スペクトラム症のあるわが家の次男Pは、遊ぶおもちゃを机の上や床にばらまいてしまい、片づけてもすぐに部屋がぐちゃぐちゃになるので、私はイライラしていました。そんなイライラを解消する方法はないか?と、遊びの環境を整えることについて考えてみました。

たとえば療育を受けているときは、おもちゃを子どもの見える範囲や手の届く範囲にはあまり置いておらず、遊びの種類や順番を決めて片づけたら次のおもちゃを出すなどの工夫がされていました。でも家でとなると家事もあるので四六時中子どもにかまっているわけにもいかないし、手の届かない場所や隠せる場所も限られるので、おもちゃを隠していてもいつの間にか見つかってしまい、気づけばまた元通りなんてことの繰り返しでした。
知的障害を伴う自閉スペクトラム症のある次男Pは片付けが苦手なのですぐ部屋が散らかってしまう。あまり遊んでいないおもちゃを隠していてもいつの間にか見つかってしまい、気づけばまた元通りなんてことの繰り返しだった。
片づけても片づけても散らかるおもちゃ
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おもちゃを隠しても減らしても効果的ではなかった

物理的に数を減らすにも、同じものにこだわりの強いPは「あのおもちゃはどこへ行った?」とパニックになってしまうのでなかなか減らすこともできず、減らすとしたら「このおもちゃでは長らく遊んでいないな」と思う物を厳選して隠し、すぐには処分せずに数ヶ月間様子をみて、Pが完全に忘れたであろうころに処分するようにしています。そうやって数を減らしても、まだまだたくさんあるし新たに買ったりもするので、やはり部屋は散らかってしまいます。

たとえばPは色鉛筆を使って絵を描くことが好きなのですが、1本使ったら1本戻してから新たな色を使うということが難しく、色鉛筆を全てケースから出して机の上にばら撒いて使っていました。私は色鉛筆を片づけても片づけても出されてしまうのが大変なので、色鉛筆をケースから、ペンたてに入れてしまおうと考えました。
ペンたてに入れるようになってからは前より少し片づけやすくはなったのですが、全ての色鉛筆を机の上に出してしまうのは相変わらずだったので、やはり大変なままでした。

机の上に散らばった色鉛筆を見ながらどうすればこのイライラから解放されるのか?と考えたときに、この状態でも散らかっていないように感じられるようにすればよいことを思いつき、ペンたてを違うものに変えてみよう!と思い浅く広めのトレイを準備しました。すると予感は的中!トレイに色鉛筆を入れてからは、全ての色鉛筆を机の上に出してしまうことはなくなり、机の上は散らかさないようになりました。
ペン立てに入れると何色がどこにあるか見つけにくいし取りにくかったけど、浅めのトレイにすると何色がどこにあるか見つけやすいし取りやすくなった。
視覚的に分かりやすくすることで散らかさなくなる
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散らかしてしまう原因を想像して対応する

これは効果的だと思った私は、いつも床に散らばっているおもちゃも同じようにすれば良いのでは?と考え、浅い大きめのバットをおもちゃ箱に変更しました。最初はおもちゃを全て出してしまおうとしていましたが、日に日に床に散らばるおもちゃの数は減り、今では自分の必要なおもちゃだけをバットから選んで取って遊ぶようになりました。

色鉛筆もおもちゃも、浅いバットやトレイに入れることで、中に何が入っているのか探しやすくなったのがポイントだと思います。今までは、自分が使いたい色の色鉛筆がどこにあるのか分かりにくかったり、自分が遊びたいおもちゃがおもちゃ箱のどこにあるかが分かりにくかったりしたので、Pは全て箱から出して目的のものを探すという行動をとっていたのだと思います。
でも少しの工夫で視覚的に探しやすくしてあげたことで、私もイライラから解放されました。
このような工夫をしなくてもむやみに散らかさず、使ったら自分で片づけられるようになることがもちろん1番なのですが、そんな成長をゆっくり待つためにも、できる限り生活環境を整えながら過ごしていきたいと思います。
おもちゃ箱も遊びたいものがどこにあるのか探しにくく、箱からおもちゃを全部出してしまっていたけれど、大きめのバットをおもちゃ箱にすると、おもちゃが探しやすくなり散らかさなくなった。
少しの工夫でイライラを解消
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執筆/みん
(監修:新美先生より)
片づけについて、Pくんにあったやり方を模索している様子を聞かせてくださりありがとうございます。片づけの方法は世の中にいろいろありますが、人によって合う合わないがあります。また親子・きょうだい・夫婦でも、人によって片づけ法の合う合わないが違っていることもあり、その場合はお互いにストレスがたまったりするものです。お互い許容範囲を広げて妥協するしかないですね。
Pくんの場合は、箱の中にしまってしまうと見えなくて分からなくていやだということに気づいたところはさすがと思いました。ざっくり、物が見えるけど、散らばりすぎないという、大きめバットのやり方、家でも取り入れてみたいです。
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コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如・多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。

SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。

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