親子で楽しみながら理学療法による変化を感じてほしい

――協会としての今後の目標、ビジョンを教えてください。

清宮:理学療法士のミッションは、私たちが持つ専門技能によって「尊厳ある自立」をサポートすること。幅広い年齢、疾患、障害に対するアプローチがあり、一人の理学療法士がすべての分野をカバーすることは到底できませんが、それぞれの専門分野の技術を高めながら、情報交換と研鑽を重ねて、他分野への理解も深めていきたいと考えています。そのなかには、発達障害のサポートにおいても、理学療法が効果的であることの周知も含まれます。

――最後に、発達が気になるお子さんの保護者の方へのメッセージをお願いします。

清宮:あまり身構えず、遊びのなかで楽しみながら取り組むのが一番です。一緒に散歩したり、外に出て芝生の公園でゴロゴロしたりするだけでも、身体にいい刺激がたくさんあります。また、「この歌が終わるまでに、何回立ったりしゃがんだりできるか競争しよう!」というふうに、ゲーム性を持たせるのもおすすめですよ。親子で楽しみながら、理学療法によるうれしい変化を感じてもらえたらと思います。

――ありがとうございました。

取材・文/浦上藍子
日本理学療法士協会
https://www.japanpt.or.jp/
※クリックすると発達ナビのサイトから日本理学療法士協会のサイトに遷移します。
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如・多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。

SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
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