授業中も食事中も立ち歩く!発達障害がある子どもの小学校での困り。座れるようになったポイントは?ーー療育の現場から【マンガ専門家体験】

ライター:専門家体験談
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専門家の先生がみてきた子どものエピソードをもとに、分かりやすくマンガ化してお届けするシリーズ企画。今回は、「授業中に立ち歩いてしまう」「座って食事をするのが難しい」自閉スペクトラム症(ASD)と注意欠如・多動症(ADHD)のある小学1年生の子どものエピソードです。

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監修: 西野将太
一般社団法人日本言語聴覚士協会理事 学校教育部長
医療・福祉機関(医療型入所施設)に勤務後、現在は訪問看護ステーションにて訪問リハビリ業務や保育所等訪問支援での療育や園や学校への巡回指導にも携わっています。子どもの発達支援に取り組みながら、日々子どもや家族から学ばせてもらっています。地域支援として園や学校等との連携や、家族支援(きょうだい含む)にも取り組んでいます。

「授業中や食事中に立ち歩いてしまう」自閉スペクトラム症(ASD)と注意欠如・多動症(ADHD)のある小学1年生

発達障害の専門家が出会った子どもたちや、その保護者の抱えていたリアルな「困った!」をもとに、対応策などをドキュメントタッチで解説します。今回は、「授業中や食事中に立ち歩いてしまう」自閉スペクトラム症(ASD)と注意欠如・多動症(ADHD)のある小学1年生の子どものエピソードです。
「授業中に立ち歩いてしまう」自閉スペクトラム症(ASD)と注意欠如・多動症(ADHD)のある小学1年生。発表後に自分の席に戻らず先生から注意されている。学校の先生との面談で、様子を聞く保護者。
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就学前から行っている療育のときに相談を受けた言語聴覚士。「着席できている場面と環境」に注目するよう提案する。食べることが目的で、座るのは手段であることを理解できるような声がけの大切さ、マグネットで見える化する手立てについても話す。
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学校との協議の様子。自閉スペクトラム症(ASD)と注意欠如・多動症(ADHD)のある子どもの自宅での様子を撮影した映像を先生方と確認。マグネットを活用した見える化や、座席の変更について話し合う。先生たちの協力もあり、だんだんと座って学ぶことができてきた様子。
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マンガ/taeko

解説:「座ること」が目的になっていませんか?大切な4つのポイントーー言語聴覚士

今回は、自閉スペクトラム症(ASD)と注意欠如・多動症(ADHD)のある小学生のエピソードをもとにマンガ化してお届けしました。小学校に入学して、「授業中や給食中に立ち歩いてしまう」というお悩みはよく聞かれます。先生から面談などで話を聞き、どうすればいいのか悩まる保護者の方もいらっしゃることと思います。

ここで意識したいのは、目的と手段です。座ることが目標や目的になってしまうと、座ったことでそれが達成されてしまい、その先がないために子ども自身もどうすれば良いのか分からなくなることが少なくありません。

ポイント1.座ることは目標・目的ではなく手段であることを、保護者も意識してみる

ポイント2.「~をする」ために座るということが明確にして子どもに伝え、座る必要性があることを学ばせる

ポイント3.環境によって立ち歩いてしまう理由が異なるため、子どもの発達特性を踏まえて対策を考える
子どもが数秒でも「座れている」場面に注目することで、気づきがうまれることも。

ポイント4.専門家や学校の先生に相談する際は、事前に普段の子どもの様子を撮影し持参する
相談の場で一緒に映像で子どもの様子を確認することで、具体的な手立てを考えやすくなる。

今回は、4つのポイントをご紹介しました。
ご家庭でのお子さんとの関わりや、専門家に相談する際の参考にしてみてください。
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コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如・多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。

SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。

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