中1自閉症娘は「察せない」。1歳次男のお世話は見てる「だけ」!?話せない弟は苦手要素の塊で…年の離れたきょうだい児の関係性
ライター:SAKURA
広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のある娘は、中学1年生。
2人の弟(長男・小学1年生、次男・1歳9カ月)がいます。
中学生となると、もう1歳の子の面倒をある程度みることができる年齢ですが、
うちの娘は小さい子どもの相手、お世話がとても苦手で…
監修: 初川久美子
臨床心理士・公認心理師
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
臨床心理士・公認心理師。早稲田大学大学院人間科学研究科修了。在学中よりスクールカウンセリングを学び、臨床心理士資格取得後よりスクールカウンセラーとして勤務。児童精神科医の三木崇弘とともに「発達研修ユニットみつばち」を結成し、教員向け・保護者向け・専門家向け研修・講演講師も行っている。都内公立教育相談室にて教育相談員兼務。
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
わが家は三人姉弟。広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のある中1長女と弟の関係は…
広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のある娘は、中学1年生。2人の弟(長男・小学1年生、次男・1歳9ヶ月)がいます。
人に子どもの年を言うと…
人に子どもの年を言うと…
「一番上が中学生なら楽だね!」「下の子の面倒見てもらえるね!」と、よく言われます。
一般的には、中学生となると、もう1歳児を任せてもいいような年齢でしょう。私が住んでいる沖縄では、子だくさんの家庭が多く、一番上と一番下の年齢が離れているのは珍しいことではありません。
一般的には、中学生となると、もう1歳児を任せてもいいような年齢でしょう。私が住んでいる沖縄では、子だくさんの家庭が多く、一番上と一番下の年齢が離れているのは珍しいことではありません。
そのため、一番上の子が下の子を抱っこして買い物していたり、遊び相手になったり、率先して面倒を見ている場面をよく見かけます。
しかし、わが家で一番上の子にあたる娘は、小さい子どもの相手、世話がとても苦手です。小さな子どもが嫌いなわけではありません。
弟たちが産まれたとき、とても喜んでいましたし、次男が産まれたばかりのころは、ミルクをあげたい!と言ってくれたり、ゲップをさせてくれたり、眠る次男を「かわいい!」と言いながら、長い時間見つめていたほどです。
弟たちのことが大好きですし、よそのお家の赤ちゃんを見かけると、「かわいい~!」と寄っていくほどなのですが…小さい子どもにどう接していいか分からないのです。
弟たちが産まれたとき、とても喜んでいましたし、次男が産まれたばかりのころは、ミルクをあげたい!と言ってくれたり、ゲップをさせてくれたり、眠る次男を「かわいい!」と言いながら、長い時間見つめていたほどです。
弟たちのことが大好きですし、よそのお家の赤ちゃんを見かけると、「かわいい~!」と寄っていくほどなのですが…小さい子どもにどう接していいか分からないのです。
娘はコミュニケーションが苦手という特性があります。
・話すことが苦手
自分の気持ちを言葉にして、相手にスムーズに伝えることができないため、時間をかけて聞かなければ、娘の気持ちを全部聞くことはできません。
・察することが苦手
周りを見ることが苦手なため、人に合わせることも難しいです。人を見て、気持ちを想像することが苦手なので、相手がどんな気持ちか、言葉にして代弁するフォローが必要です。
・話すことが苦手
自分の気持ちを言葉にして、相手にスムーズに伝えることができないため、時間をかけて聞かなければ、娘の気持ちを全部聞くことはできません。
・察することが苦手
周りを見ることが苦手なため、人に合わせることも難しいです。人を見て、気持ちを想像することが苦手なので、相手がどんな気持ちか、言葉にして代弁するフォローが必要です。
そんな苦手を持つ娘にとって、まだしゃべることができない次男は、苦手要素の塊。くわえてコロコロと気分が変わる、イヤイヤ期の次男。そんな2人は…
状況から察して、今邪魔したら嫌がるのでは?という相手の気持ちの想像がつかなかったり…
うまくしゃべることができないながらも、何かを伝えようとする次男を見て、そのときの周りの状況から、次男が言いたいことを推理することができなかったり…。
ちょっと関わるだけでも、うまくいきません。娘に次男を見ているように頼むと…
ちょっと関わるだけでも、うまくいきません。娘に次男を見ているように頼むと…
見ててと言えば、本当に見るだけ。
まだ寝返りもしない赤ちゃんだったころは、「見る」だけでもよかったのですが、自我が芽生え、イヤイヤ期のいたずらっ子である1歳児の次男は、見るだけでは足りません。
中学生ともなると「見ててね~」と言うだけで、ある程度は伝わりそうなものですが、娘の場合、「見る」という言葉に含まれた意味と、具体的な内容を言葉にして伝えなければいけません。
まだ寝返りもしない赤ちゃんだったころは、「見る」だけでもよかったのですが、自我が芽生え、イヤイヤ期のいたずらっ子である1歳児の次男は、見るだけでは足りません。
中学生ともなると「見ててね~」と言うだけで、ある程度は伝わりそうなものですが、娘の場合、「見る」という言葉に含まれた意味と、具体的な内容を言葉にして伝えなければいけません。
短時間でも次男を娘に任せるときは、何をどうしてほしいかなど具体的な話をする必要があります。
娘に、次男の着替えを頼むと…
娘に、次男の着替えを頼むと…
1歳児は自分から動いてくれないという想像がつかず、いつまで待っても着替えが終わりません。
次男と遊んであげてと頼むと…
次男と遊んであげてと頼むと…
遊び方が分からず、何も始まりません。
次男のそばにくっついて回るだけなので、次男は嫌がって逃げてしまいます。娘に遊び相手を頼むときは「絵本読んであげて」や「ブロック出して、何か作ってあげて」など、具体的な内容を言う必要があります。
なかなか次男の気持ちが分からない娘…私は娘の特性を分かっているので「仕方ない」と思う部分もあるのですが、周りの人からはどう見られているのか気になるところもあり…。
「周りの人に娘のことをどう説明したらいい?」と、ちょっとモヤモヤしたエピソードはまた別のコラムで書いていければと思います。
次男のそばにくっついて回るだけなので、次男は嫌がって逃げてしまいます。娘に遊び相手を頼むときは「絵本読んであげて」や「ブロック出して、何か作ってあげて」など、具体的な内容を言う必要があります。
なかなか次男の気持ちが分からない娘…私は娘の特性を分かっているので「仕方ない」と思う部分もあるのですが、周りの人からはどう見られているのか気になるところもあり…。
「周りの人に娘のことをどう説明したらいい?」と、ちょっとモヤモヤしたエピソードはまた別のコラムで書いていければと思います。
(監修:初川先生)
きょうだい関係の中で、あーさんの特性がどう表れているかのエピソードをありがとうございます。あーさんは「察する」ことが難しいぶん、SAKURAさんや周りの大人が具体的な指示を出さないと、「多くの場合、こうするよね?」という察してほしい行動に至らないのですね。こういうときには、こうしてね。そうしたパターンも、下のきょうだいのお世話となると、きょうだいも日々成長していくため、この間はそれでよかったけれど、今はもうその段階じゃないということの連続、結果として臨機応変状況の連続となり、なかなかASD特性がある方にはつらいかもしれないですね。
私はこのエピソードを読んでいて、「周りにどう思われるか」よりも、あーさん本人はどう思っているのかのほうに関心を持ちました。きょうだいが生まれ、かわいいと思っていても、なかなかうまくお世話ができない、成長してきてもまだお互いいい感じで仲良くできない。そのあたり、「小さな子どもは苦手だ」になっていないといいなぁと感じました。SAKURAさんが書かれていたように「小さい子どもにどう接していいか分からない」、そこを大事にしたいなと感じました。あーさんは分からないときに聞けるか、分からなそうなら周りの人はあーさんに分かるように教えられるか。あーさんの特性を尊重したうえでそうしたコミュニケーションが多く生じるといいなぁと感じます。
地域のほかのお子さんらのように、自ら察して、自分から小さな子のお世話ができるといいのはその通りなのですが、しかし、それをあーさんに求めすぎると特性とのはざまでつらくなってしまわないだろうか、とも感じました。あーさんにはあーさんのペースや得意とするやり方、そして、初めてのことや曖昧なことに対しては具体的な行動を示されると取り組みやすいという特性がありますね。何よりあーさんもまだまだ成長の途中です。ほかのお子さんと比較するよりも、あーさんの成長や歩みを見ていくことこそ、あーさんにとっても、安心して大好きななーさんとの関わりが充実していくように感じます。
きょうだい関係の中で、あーさんの特性がどう表れているかのエピソードをありがとうございます。あーさんは「察する」ことが難しいぶん、SAKURAさんや周りの大人が具体的な指示を出さないと、「多くの場合、こうするよね?」という察してほしい行動に至らないのですね。こういうときには、こうしてね。そうしたパターンも、下のきょうだいのお世話となると、きょうだいも日々成長していくため、この間はそれでよかったけれど、今はもうその段階じゃないということの連続、結果として臨機応変状況の連続となり、なかなかASD特性がある方にはつらいかもしれないですね。
私はこのエピソードを読んでいて、「周りにどう思われるか」よりも、あーさん本人はどう思っているのかのほうに関心を持ちました。きょうだいが生まれ、かわいいと思っていても、なかなかうまくお世話ができない、成長してきてもまだお互いいい感じで仲良くできない。そのあたり、「小さな子どもは苦手だ」になっていないといいなぁと感じました。SAKURAさんが書かれていたように「小さい子どもにどう接していいか分からない」、そこを大事にしたいなと感じました。あーさんは分からないときに聞けるか、分からなそうなら周りの人はあーさんに分かるように教えられるか。あーさんの特性を尊重したうえでそうしたコミュニケーションが多く生じるといいなぁと感じます。
地域のほかのお子さんらのように、自ら察して、自分から小さな子のお世話ができるといいのはその通りなのですが、しかし、それをあーさんに求めすぎると特性とのはざまでつらくなってしまわないだろうか、とも感じました。あーさんにはあーさんのペースや得意とするやり方、そして、初めてのことや曖昧なことに対しては具体的な行動を示されると取り組みやすいという特性がありますね。何よりあーさんもまだまだ成長の途中です。ほかのお子さんと比較するよりも、あーさんの成長や歩みを見ていくことこそ、あーさんにとっても、安心して大好きななーさんとの関わりが充実していくように感じます。
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。