カミングアウトは必要?憶測、誤解…発達障害グレーだからこそ悩ましいーー2歳次女の特性の伝え方、どうすべき?

ライター:にれ
カミングアウトは必要?憶測、誤解…発達障害グレーだからこそ悩ましいーー2歳次女の特性の伝え方、どうすべき?のタイトル画像

前回はASD特性バリバリの長女についてのカミングアウトのお話しでした。今回はASDグレーの次女のことを周囲にどう伝えているかについてお話しします。

監修者森 しほのアイコン
監修: 森 しほ
ゆうメンタル・スキンクリニック理事
ゆうメンタルクリニック・ゆうスキンクリニックにて勤務。産業医として一般企業のケアも行っている。 ・ゆうメンタルクリニック(上野/池袋/新宿/渋谷/秋葉原/品川/横浜/大宮/大阪/千葉/神戸三宮):https://yuik.net/ ・ゆうスキンクリニック(上野/池袋/新宿/横浜):https://yubt.net/

きょうだいで発達障害!? 長女と次女で異なる点

前回は長女まゆみの持つ障害や特性を人にどう伝えているかをお話ししましたが、実はそれ以上に悩ましく感じているのが次女あずさの特性を人にどう伝えるかです。

現在5歳の長女まゆみの場合は2歳10ヶ月のときに自閉スペクトラム症と知的障害の診断もばっちりついています。そして、1分も一緒に過ごせば「あ、何か障害がある子なのかな? 」と誰もが分かる言動なので、「どうしたら本人が生きていきやすいか」を考えたときに「周囲にもオープンにして理解を得ていこう」という結論に至るまで長くは悩みませんでした。

一方、次女のあずさは「人見知りや物怖じをしなさすぎること」「癇癪の強さ」などから自閉スペクトラム症のグレーゾーンの指摘を受けているものの、2歳9ヶ月の今のところ診断はついておらず、知的な遅れもやりとりの困難さもありません。
ただし、特定の場面になるとほかの子どもたちとの違いを感じることがあるので、少し注意が必要と言われている子どもです。

そんなあずさが「どうすれば生きていきやすいか」はまだ模索している最中ですが、現時点での対応について書いていきます。
知的障害と自閉スペクトラム症の診断がついている長女。次女は「人見知りや物怖じをしなさすぎること」「癇癪の強さ」などから自閉スペクトラム症のグレーゾーンの指摘を受けている。タイプが違う2人の対応に悩む母親。
長女と次女、タイプが違えば対応も変わる……!
Upload By にれ

発達障害グレー2歳次女、あずさの特性

小さな頃から場所見知りや人見知りとは無縁だったあずさ。好奇心も強く、市役所や保健センターなどの大きな建物では私が制止してもズンズンと探索行動を始めてしまうので、そうした点がまゆみと似ているなと思いつつ、「子どもってこんなものなのかな?」とも思っていました。
けれどあるとき、長女の通う療育先の心理士さんに聞くとこんな答えが返ってきました。
長女の通う療育先の心理士さんの回答に驚く母親。臨床心理士のセリフ「通常、1~2歳ごろの子どもは初めての場所や初対面の人の前では親の後ろに隠れて周囲をうかがい、安全確認してから自分の欲求に従います。あずさちゃんのように警戒心を一切持たず親から離れていってしまうとなると……少し発達面に注意して見てあげてください」
長女の通う療育先の心理士さんに聞くと驚きの回答が!
Upload By にれ
その後の検査と診察で自閉スペクトラム症グレーの指摘を受けたのですが、物怖じをしなさすぎる特性は2歳9ヶ月になった今も健在です。
見知らぬ人に自分から声をかけたり、振り返るとハトを捕獲していたり、動物園ではヤギの口に手を突っ込みにいったりする様子が見られます。危険なときや相手に迷惑がかかりそうなときは止めているのですが、警戒心や恐怖心はどこへいったのだろうと本当にヒヤヒヤします。

困難を感じる「待つ場面」

このあずさの『ドンドンいったれ特性』によって困るのが、健診などの待ち時間です。

先頃、2歳半児向けに市の歯科健診があったのですが、40組ほどの親子がひしめく待合室という非日常空間にあずさが大興奮してしまいました。騒がないようにと持参したタブレットに見向きもせず、「ここでお待ちください」と案内された1m四方ほどの待ちスペースを飛び出していくあずさ……。
40組ほどの親子がひしめく待合室という非日常空間にASDグレーのあずさが大興奮してしまいました。騒がないようにと持参したタブレットに見向きもせず、「ここでお待ちください」と案内された1m四方ほどの待ちスペースを飛び出していくASDグレーのあずさ。
非日常空間に大興奮!
Upload By にれ
ほかの親子さんたちの迷惑になるので何度も自分たちのスペースへ連れ戻すのですが、その都度「ママ、や~め~て~」「あずちゃんはあるきたいの!」「はなして!」とひとしきり抗議の声を上げてすぐにまた走っていってしまいます。
だんだん私もイライラしてきて、「今は待つ時間!お願いだからママとここにいて!」と語気が強くなってきたとき、私たちのスペースの目の前で身長体重の測定が始まりました。あずさの目が輝きます。

数人の保健師さんが子どもたちを測定しながら「じっとできて偉いね~」と褒めているのを確認すると、あずさも拍手しながら立ち上がって「じょうず!えらいえらい!よくできたね~!」とよそのお子さんたちにエールを送り始めました。

たしかに私たちのスペースからは出ていないのですが……保健師さんサイドに回ろうとする2歳児の姿が面白く映ったのか、保健師さんや周りの人もクスクス笑っていました。困ったことに、静かにすることを促すと「いや!」と叫んで走り出してしまうので、何度か脱走を繰り返しながら、結局あずさの「褒め係」は私たちの番号が呼ばれるまで続きました。

一番困っていた癇癪は落ち着いたものの…

歯科健診の日、40組の親子の中では多少ウロウロしているお子さんもいましたが、ダントツで私とあずさがバタバタしていました……。
言葉の発達と共に癇癪が落ち着いてきていたので、近頃は「もう定型発達と変わらないんじゃ?」と感じていたのですが、待合での様子は「やっぱりほかの子と違うところもあるな……」と改めて思う出来事でした。

明るくて人懐こいのはよいことなのかもしれませんが、「人類みな兄弟!」と言わんばかりのあずさの人との関わり方は、適切な距離感が分からないのではないかと少し心配しています。

まゆみの場合、こうした場ではヘルプマークをつけたり、「障害があります。困っていたら助けてください」と印刷されたテープを背中に貼ってさりげなく周囲にも事情が分かるようにするのですが、あずさの場合は少し考えてしまいます。

障害というほどではないけれども困っているのは確かで、困っているけれども言葉が通じるので何とかなりそうな気がしてしまうのです。それに困っているのは私だけで、今のところ本人は困っていないのも悩みどころです。性格なのか特性なのか、このお調子者でグイグイいってしまうところを診断もなしに人にどう伝えていいかも分かりません。
次ページ「相手によって伝える・伝えないを使い分けることに」

追加する

バナー画像 バナー画像

年齢別でコラムを探す


同じキーワードでコラムを探す



放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

コラムに対する投稿内容については、株式会社LITALICOがその内容を保証し、また特定の施設、商品及びサービスの利用を推奨するものではありません。投稿された情報の利用により生じた損害について株式会社LITALICOは一切責任を負いません。コラムに対する投稿内容は、投稿者の主観によるもので、株式会社LITALICOの見解を示すものではありません。あくまで参考情報として利用してください。また、虚偽・誇張を用いたいわゆる「やらせ」投稿を固く禁じます。「やらせ」は発見次第厳重に対処します。