わが子の障害との向き合い方、答えは身近にあった

セミナーを受講しては落ち込み、「夫は分かっていない」と腹を立て、「何かしなきゃ、何かしなきゃ」といつもせき立てられるような気持ちでいました。完全に子ども本人を置いてけぼりにしていました。

そんなときに私の妹に言われたことがあります。「お姉ちゃんは先回りしすぎてゆいちゃんの可能性をつぶしているような気がするよ。もっと気楽に構えてもいいんじゃない?」
第三者から見ると、私が最初に自分自身が気を抜きすぎていたことを恥じて、今度は逆に縛りをきつくしすぎているように感じたようです。

私は数年先のゆいの進路を見すえすぎて、通える可能性のある学校をピックアップしたり、教科をチェックしたりしていました。ゆいはまだ中学校にも通っていないのに、本人の希望は全く無視をして…。そんな私の気持ちを妹が落ち着かせてくれた気がします。それからは、現在の状況も見つつ本人と相談しながら進路を探したりしています。
あのころから4年たった今も模索中ですが、これから「ちょうどいいところ」を見つけていけたらと思っています。
(監修:新美先生より)

自分の子どもに、いきなり何らかの「診断名」がついたとき、親としてびっくりしてしまい、何かできることがないかと焦ってしまうことはありますよね。インターネットで検索を始めると、キリがないぐらいさまざまな情報にあふれていて、何がわが子にとって適切な情報なのか取捨選択が難しいこともあります。

セミナーなどを受講されるとは、吉田さんはとても勉強熱心ですね。わが子のためにできることは何があるのかという強い思いがあふれています。セミナーや学習会であっても必ずしも適切な内容でないこともあるし、また講師と受講者の相性やタイミングが合わなくて、かえって苦しくなったりつらくなったりすることもあるものです。いろいろな情報を集めよう、学ぼうという姿勢はとても素晴らしいと思いますが、聞いてみてなるほどと思い、元気になれる前向きになれる情報だけを受け取っていきましょう。

吉田さんが、「答えは身近にあった」と書いていただいているように、まずは診断や検査結果を一つの観点として、お子さんが何をすると元気になり、笑顔になり、何をすると大変そうにしているかなとよく見ていきながら、お子さんのことを知っている専門家(医師など)に、具体的に相談していくというのも大切にしていくとよいと思います。
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。


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