祖父の「泣くならもう来るな!」に障害のある息子はパニック!祖母は傍観…つらかった帰省トラブル【読者体験談】

ライター:ユーザー体験談
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【発達ナビでは読者からの子育てエピソードを募集中!今回は「帰省トラブル」についてのエピソードをご紹介します。】長男は、3歳で精神運動発達遅滞の診断を受けました。長男が8歳になるころまでは、同じ県内にある義実家へ頻繁に帰省していました。ですが、義両親に長男をあずけ私たち両親が不在にしたときに大パニックを起こし、義父が激怒したことをきっかけに、長男は一切帰省できなくなってしまいました…。

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監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。 1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。

3歳のときに精神運動発達遅滞の診断を受けた息子。義父母とは、子育てについて言い争いも…

わが家の長男は、3歳のときに精神運動発達遅滞の診断を受けました。真面目で切り替えが苦手な長男は、見通し不安があると泣いてパニックになってしまいます。

「これは泣くかもしれないな」と思う場面については、事前に本人に説明するようにしていますが、私の話した内容が理解できなかったり、話していた以上のことがあると、パニックになって泣き出してしまいます。私は、泣いて本人の気がおさまるならいいと思ってはいるのですが、かなりの大声で泣くので、「家や車の中ならいいけれど、学校ではなるべく我慢したほうがいいよ。嫌なときはその場から逃げるようにしよう」と伝えています。
パニックになりがちな長男。「家や車の中ならいいけれど、学校ではなるべく我慢したほうがいいよ。嫌なときはその場から逃げるようにしよう」と伝えています。
パニックになりがちな長男。「家や車の中ならいいけれど、学校ではなるべく我慢したほうがいいよ。嫌なときはその場から逃げるようにしよう」と伝えています。
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わが家と義実家は同じ県内にあり、長男が小学校に入る前はGW、連休、お盆休み、年末年始と、毎月とまではいきませんが頻繁に帰省していました。

義父母は周りから「優しい義両親でいいね」と言われるような評判のいいタイプですが、私からみた義父母は悪い人ではありませんが、良い人でもありません。二人とも人当たりはいいのですが、こちらが話したことを理解してくれているのか怪しく、知った風を装うことが多々あります。義父母とは、長男の子育てについて言い争いをしたこともありました。

このような義父母ですので、いつかトラブルが起こるだろうと感じていました。そしてそれは、現実になってしまいました。

祖父の「泣くならもう来るな!」で長男はさらにパニックに!

長男が8歳の夏、義実家へ帰省しました。

ちょうど数年前に亡くなった夫の友人の命日が近かったため、夫はお墓参りに行きたいとのこと。お墓周辺はやぶ蚊がとても多いため、夫と私のみでお墓参りをし、子どもたち(長男と4歳下の長女)は義父母に預かってもらうことにしました。しょっちゅう帰省しているので、問題ないだろうと思ったのが間違いでした。

午前中でお墓参りも終わり、ファストフード店でお昼ごはんでも買って帰ろうと夫の実家に電話をしました。長男が電話口に出てくれた際、「●●で、▲▲セットを買っていくね」と伝えました。長男は「ん?」と言ったので、うまく伝わらなかったのかなと思い、数回同じことを伝えました。

長男には聴覚過敏があり、電話に耳を当てて聞いたり、話したりするのが苦手です。ですので、大きな声で何度も言うとパニックになってしまうかもしれないと考え、数回繰り返したのち、電話を切りました。

私は、義父母が横で電話を聞いている様子だったので、フォローしてくれるだろうと思って電話を切りました。しかし、しばらくして帰宅した私たちが見たのは、大声で泣きわめき大パニックを起こした長男の姿だったのです。
しばらくして帰宅した私たちが見たのは、大声で泣きわめき大パニックを起こした長男の姿だったのです。
しばらくして帰宅した私たちが見たのは、大声で泣きわめき大パニックを起こした長男の姿だったのです。
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義父母は、息子が電話の内容を理解できず不安になっていたところに、「お昼ごはんを買ってくるって」と伝えただけだったそうです。これに対し長男は、『●●のお店って言っていたけど…』『いろいろ聞き取れなくて分からないところがある…』とパニックになって泣いてしまったようなのです。

長男がここまで泣いているのを見るのは赤ちゃん時代以来であろう義父母。あまりにもうるさくてびっくりしたとは思いますが、ここで火に油を注いでしまいました。

義父「男の子なのに泣くな!」「泣くならもう来るな!」

義母は義父を止めるわけでもなく、義父の言葉でさらにパニックになった長男に対してもなにもフォローしなかったそうです…。
長男からすると、義父には怒られ、義母は見ているだけで助けてくれなかったという構図となり、余計に困り果て、大声で泣き続けてしまったのです。

私は、子どもたちも連れて墓参りに行くべきだったと猛省しました。
「男の子なら泣くな!」「泣くならもう来るな!」と長男に言う義父
「男の子なら泣くな!」「泣くならもう来るな!」と長男に言う義父
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「行ってはいけないから」と帰省できなくなった長男。義父からは謝罪の手紙が届き…

その後、長男はもう帰省はしないと言い出しました。

「ママは、自宅や車の中では泣いてもいいって言ってくれた。でもジジはダメって言ったから、僕は行かない」
「泣いちゃうから、行ってはいけないから」

そう言う長男がかわいそうで、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
「ママは、自宅や車の中では泣いてもいいって言ってくれた。でもジジはダメって言ったから、僕は行かない」
「泣いちゃうから、行ってはいけないから」と帰省したがらない息子
義実家での一件で帰省したがらない息子
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それからは、夫と下の子だけが帰省し、行っても1時間~3時間程度しか滞在せずにすぐ帰ってくるようになりました。そしてある日、義父から長男宛てに手紙が届きました。それは謝罪の手紙でした。

『ゴメンネ。また遊びに来てね』

これを読んでからさらに数ヶ月後、やっと長男も帰省できるようになりました。

この帰省トラブルは防げるものだったと、私自身反省しています。今は、帰省中に子どもたちを置いて出掛けないよう徹底しています。長男も一緒にいてと懇願してきますので、大丈夫だよと伝えています。

この件で長男は傷ついてしまいましたが、長男には自分自身を好きでいてほしいと心から願っています。自分を認めてくれる人もいることを知ってほしいです。長男が知っている世界は、今はまだ家や学校、義実家だけ。でも、これからもっと視野を広げ、一歩踏み出せたら、新しい世界があることを知ってほしいです。そうすれば、長男ももう少し生きやすくなるのかなと思っています。

イラスト/taeko
エピソード参考/セバスチャン・ベッテル
(監修:鈴木先生より)
聴覚過敏のある方などは、子どもの泣き声を嫌がることも多いでしょう。それがたとえ孫であろうとも。子どもは泣くのが仕事の一つですから泣くのは仕方ないことです。義父はあとになって反省して長男に謝罪の手紙を書いたことは大変素晴らしいことです。直接言いづらいことを手紙にしたためて伝えることで長男に義父の気持ちが伝わったのだと思います。今やメールの時代ですが、メールの形式的な字体よりも本人が直接書いた字の方が温かみはあります。謝罪だけでなく感謝の言葉も手紙にしたためて送ってあげると良いと思います。メールは消されますが、手紙は形として残っていますから。
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コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如・多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。

SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。


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