抑肝散に副作用はあるの?

副作用としては、発疹などの過敏症や、食欲不振・胃部不快感・吐き気といった消化器の症状、倦怠感などがあらわれることもあります。

重い副作用はまれにしかないと言われていますが、配合されているカンゾウ(甘草)を大量に服用すると、むくみや血圧上昇などの副反応が起きる(偽アルドステロン症)場合があります。カンゾウはほかの漢方薬にも配合されていますので、複数の漢方薬を服用している場合も、注意が必要です。

重大な副作用としては、「偽アルドステロン症」のほか、次の4つが挙げられます。

・心不全(息苦しさ、動悸、疲れやすいなど)
・横紋筋融解症(手足のしびれ、痙攣、力が入らないなど)
・間質性肺炎(から咳、息苦しさなど)
・肝臓の重い症状(怠さ、食欲不振、吐き気、発熱など)

これらの重い副作用は、頻度は高くありませんが、万が一、体の不調を感じたり、このような副作用の恐れがあると感じたりしたときは、服用をすぐに中止して医師や薬剤師に相談しましょう。

抑肝散はどのくらいで効果が表れる?

即効性が期待できる漢方薬ではありませんので、ある程度の効果が実感できるまでには時間を要します。そのため、2~3ヶ月は継続的に服用するのがよいとされています。

しかし、1ヶ月ほど服用しても症状がよくならないときは、医師や薬剤師に相談するとよいでしょう。

抑肝散は自閉症スペクトラム症をはじめとした神経発達症の症状の改善に処方されます

ここでは、子どもの癇癪やイライラ、過敏などの症状にも効果がある漢方薬、抑肝散についてご紹介してきました。

自閉スペクトラム症を根本的に治療する薬はありませんが、その特性からあらわれる癇癪やイライラなど、情緒面や行動面の症状をやわらげることはできます。漢方薬である抑肝散の服用もその1つです。抑肝散の歴史は古く、今から500年以上も前の中国の古典には「母子同服」といって、母子が同時に抑肝散を服用することで母子ともに気の高まりを鎮める効果があると記載されています。

また、自閉スペクトラム症をはじめとする神経発達症の症状の改善には、環境の調整や、声かけの仕方・関わり方を変えるなどの取り組みもとても大切です。薬の服用と併せてほかの取り組みも行うことが大切だと言えるでしょう。

漢方薬は、年齢や体重、症状によって服用する量を調整したり、服用する期間を決めたりします。効果がある薬には、副作用もつきものです。医師や薬剤師に相談し、一人ひとりに合わせて用いるようにしましょう。
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コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如・多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。

SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。


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