予防接種がイヤ!発達障害息子が車道に向かって逃走!追いかけ転倒し失神した母。目覚めると息子は…/読者体験談

ライター:ユーザー体験談
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【発達ナビでは読者からのエピソードを募集中!今回は「外出トラブル」についてのエピソードをご紹介します。】3歳で軽度知的障害を伴う自閉スペクトラム症、ADHDの傾向ありの診断を受けた息子が6歳になったころ、予防接種のため病院へ行きました。行く途中「注射される」ことに気づいた息子は癇癪を起こし車を降りて走り出し、追いかけた私は転倒して意識を失ってしまいました。その後病院で意識を取り戻した私の横には号泣する息子が…。あのときもっと別のやり方があったのでは…と後悔するとともに、文字通り痛かったお話です。

監修者藤井明子のアイコン
監修: 藤井明子
小児科専門医
小児神経専門医
てんかん専門医
どんぐり発達クリニック院長
東京女子医科大学大学院修了。東京女子医科大学病院、長崎県立子ども医療福祉センターで研鑽を積み、2019年よりさくらキッズくりにっく院長に就任。2024年より、どんぐり発達クリニック院長、育心会児童発達部門統括医師に就任。お子様の個性を大切にしながら、親御さんの子育ての悩みにも寄り添う診療を行っている。 3人の子どもを育児中である。

2回目の予防接種、車の中で注射だと気づかれパニックになった障害のある息子

3歳で軽度知的障害を伴う自閉スペクトラム症、ADHDの傾向ありと診断を受けた息子が、6歳になったころの出来事です。
その日は一日保育のあと、2回目のインフルエンザの予防接種を受けに行く予定でした。ごきげんで保育園から戻った息子。ただ、私には心配なことがありました。

息子は、昔あった嫌なことをなかなか忘れないタイプです。注射や鼻の粘膜の検査など痛い思いをした病院は「イヤだ!」と言って、行こうとすると癇癪を起こしてしまいます。ですので、行くことができる病院がどんどん減ってしまい、この年の1回目のインフルエンザの予防接種は、初めて行く病院で受けたくらいでした。
そのときは、注射をすることを伏せたまま診察を終え(診察は痛くないので、問題なく受けてくれます)、いざ注射というときは私が息子をしっかり押さえたため無事に接種できました。本人は泣いていましたが…。

この日は、やむを得ず1回目を受けた病院へ行くことになっていたので、もしかしたら感づかれるのではないか…、でも、1回しか行ったことがない病院だからさすがに覚えていないのでは…と不安だったのです。

機嫌のいい息子を乗せて、行き先は告げずに車を走らせました。すると、心配していたことが現実になってしまいました。
一度しか行ったことがない病院なのに、道や場所を覚えていた息子。走らせている方向であのときの病院に行くんだ!と気づいてしまったのです。その後は「注射ヤダ!」の一点張りでした。

病院に近づくにつれ、だんだんと大きくなる声。「ヤダヤダヤダ‼」とパニック状態です。私は運転しながら「おりこうさんだよー。注射に行こうねー」となだめていましたが、効果はありませんでした。

ようやく病院へ到着した私は、お菓子で切り替えてもらおうと息子を車から降ろしつつお菓子を持たせました。いつも好きなお菓子があれば癇癪状態からも切り替えができていたので、今回もそれでどうにかなるだろうと思ったのです。

しかし、息子はお菓子を持たず、私の脇をすり抜け病院の目の前の車道へ向かって全速力で走り出しました。
私の脇をすり抜け病院の目の前の車道へ向かって全速力で走り出した息子
私の脇をすり抜け病院の目の前の車道へ向かって全速力で走り出した息子
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「あぶない‼」
一気に血の気が引き、焦って追いかけた私。すると、そのまま勢いよく転んで強い衝撃を感じたかと思うと目の前は真っ暗。私は意識を失ってしまいました…。
勢いよく転んで強い衝撃を感じたかと思うと目の前は真っ暗。私は意識を失ってしまいました…
勢いよく転んで強い衝撃を感じたかと思うと目の前は真っ暗。私は意識を失ってしまいました…
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意識を失った私。目覚めたときは病院で…

目を開けると、私は病院のベッドに横になっていました。なぜここにいるんだろう?と思っていると、横から泣き声が。息子がそばで号泣していたのです。
意識は戻ったものの頭がぼーっとしてあまり考えられなかったのですが、ともかく息子がそばにいることに私はホッとしました。
病院のベッドで目覚めると、息子がそばで号泣していました
病院のベッドで目覚めると、息子がそばで号泣していました
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あとで教えてもらったのですが、病院の駐車場にいた方が、私が転倒したのを目撃し病院へ知らせてくれ、私は看護師さん達に車椅子に乗せられて病院内に運ばれたそうです。このとき息子がどうしていたのか誰も覚えていないようなのですが、気づいたら私のそばにいたのだとか。あまりにも泣いていたので、私が大変なことになってしまったと、とても心配していたんだと思います。

私が目を覚ますと息子は安心したのか、徐々に落ち着きを取り戻し、やがていつものように病院内をウロウロしていました(多動性があるので)。そのとき私から連絡を受けた夫が駆けつけてくれました。私は顎を大きく切っていたため、縫合を終えたあと、念のため救急車に乗って大きい病院へ行き一晩過ごすことになりました。息子は夫の車で家に帰ってもらいました。

夫から聞いたところによると、息子は帰りの車では落ち着いていたもの、夜ごはんはあまり食べなかったそうです。いつもはたくさん食べるのに…。でも、翌朝保育園へ行くときは、いつもと変わりない様子だったとか。

いつも通りに過ごしていた息子が退院した私を見て「おかあさーん!良かった、良かったー!」と大泣き

私は翌日午後には帰宅でき、痛みがひどかったためベッドで横になっていました。

夕方、保育園から息子が帰ってきました。そして私の姿を見たとたん「おかあさーん!良かった、良かったー!」と大泣きし、そばに駆け寄ってきました。

いつもと変わらないように見えてもたくさん不安だったんだな、我慢していたんだなと思い、私も泣きながら「ごめんね、心配したね。大丈夫だよ」と息子の頭をなでました。
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私はこの件でとても反省しました。場合によってはいつもできていた切り替えもできないこと、子どもの気持ちをもっと考えなければいけないこと…、大事にすべきことを見落としていたと思いました。

それからは、お出かけ先で機嫌が悪くなったり癇癪起こしたときの対応策をたくさん準備するようにしました。おもちゃやお菓子もそうですが、6歳も後半となった最近では言葉でも伝わるようになってきたので、「これがいやなら、これはどう?」といった提案のレパートリーをたくさん用意しています。

今では外で癇癪を起こしても、私が移動すると息子も泣きながらもついてきたり、癇癪中でも自分で気持ちを切り替えようとしている様子が見られるようになりました。成長したなあと感じています。
ただ、定期接種はまだ終わっていません…。なるべく接種期限前に、接種期限が切れたとしても、小学校入学までには必ず受けに行かなければと思っています…。

息子は誰かに恐竜や妖怪の名前を教えたり、 好きなおもちゃを見せるのが大好き!これからも、好きなことには猪突猛進し、友達との関わりを大事にする子に成長して欲しいと思っています。これからも大切な息子を見守っていきたいです。
イラスト/taeko
エピソード提供/さくら

(監修:藤井先生より)
予防接種や診察や診察に伴う検査を嫌がり、癇癪起こされると、対応をどうしたら困ることがあるかと思います。事前に見通しをもった声かけをすると、頑なに拒否されることもあり、見通しをもたせた声かけのタイミングもお子さんによってさまざまです。声かけしなくても、道順で覚えてパニックになるお子さんもいます。パニックなどが起こりうる可能性を想定し、少しでもそれが軽減できる対応策がないかと、探るのはとても良いですね。

成長とともに、少しずつできた経験が積み重なると、パニックも軽減されてくるお子さんもいます。できる対応策がないか、療育の先生、園の先生、かかりつけの先生に相談するのも良いでしょう。
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如・多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。

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