自閉症長男はペットを愛せる?「あっち行け!」と言っていた息子が猫を溺愛するまで

ライター:taeko
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わが家には、猫が2匹、ヤモリ、カマキリ、クワガタ、カブトムシなどたくさんのペットがいます。そんな中でも猫は、自閉スペクトラム症(ASD)のある長男のミミが生まれる前からずっと一緒に暮らしている家族です。
今回はミミと猫の関係の変化についてお話しします。

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監修: 森 しほ
ゆうメンタル・スキンクリニック理事
ゆうメンタルクリニック・ゆうスキンクリニックにて勤務。産業医として一般企業のケアも行っている(産業医のご依頼を随時受付中)。 ・ゆうメンタルクリニック(上野/池袋/新宿/渋谷/秋葉原/品川/横浜/大宮/大阪/千葉/神戸三宮/京都/名古屋):https://yuik.net/ ・ゆうスキンクリニック(上野/池袋/新宿/横浜):https://yubt.net/ ・横浜ゆう訪問看護ステーション(不登校、引きこもり、子育て中の保護者のカウンセリング等お気軽に):https://yokohama.yuik.net/shinyoko-houkan/

老齢の猫がいるわが家。でも自閉症のミミは興味がないようで……

わが家には、ペットがたくさんいます。猫が2匹、ヤモリ、カマキリ、クワガタ、カブトムシ……などなど、とてもにぎやかです。
なかでも猫は、長男のミミが生まれる前から暮らしています。もう10歳以上と老齢ですが、まだまだ元気でいてくれています。

でも、そんなわが家の家族として欠かせない猫に対して、ミミはなかなか興味をもちませんでした。興味がないので可愛がることもなく、(ミミが猫と遊ぶ日はくるのかな?)と私は気になっていました。

猫に「あっち行け!」やつあたりをしてしまうミミ

2歳は興味なし、3歳になり猫に興味を持つようになったミミ。でも「あっち行け!」と八つ当たりすることも出てきて……
2歳は興味なし、3歳になり猫に興味を持つようになったミミ。でも「あっち行け!」と八つ当たりすることも出てきて……
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ミミが3歳になった頃からでしょうか、猫に少しずつ興味を持ち始めてくれました。
ですが、「興味を持つ=ちょっかいを出す」になってしまい、猫が嫌がっていてもミミはお構いなし。追いかけたり、さわりに行ってしまいます。

また、ミミは自分の機嫌が悪いとき寄ってきた猫に「あっち行け! こっち来るな!」と八つ当たりしてしまって……。
一方、猫もやられっぱなしではありません。猫がミミを引っかいたり噛みついたり反撃することもあり、ミミは傷だらけに。

ちょっかいを出さないように言っても、忘れてしまうのか1週間ほどするとまたちょっかいを出してしまうミミ。一時的に猫の隔離も試したのですが、わが家は狭いマンションなので完全な隔離はできませんでした。私は、ミミが猫に暴言を言う度に「猫は良いこととか悪いこととか、どんなことを言っているのかとかちゃんと分かってるんだよ。ミミの言葉は猫に伝わっているんだよ」と話し続けました。

おやつやりで仲良くなったかと思いきや……

そんな関係が長く続きましたが、ミミが小学3年生になってすぐのことです。テレビのCMを見て「猫におやつをあげてみたい」と言うミミ。これは仲良くなるチャンスだと思いミミに猫のおやつを渡すと、猫はミミがあげたおやつをペロリとあっという間に完食! これが新鮮だったのでしょう。翌日もミミはおやつをやりたがったため、猫に「おやつだよ」と声をかけてもらったところ、猫は「にゃ~」とミミにすり寄ってきてくれました。これを見たミミは「かわいい~」と大喜び。この光景には私もかわいいと感動! それからはいつも決まった時間にミミが猫のおやつを用意することになりました。

ですが、このおやつの習慣が1ヶ月くらい経った頃から、ミミがうっかりしておやつを与え忘れることが増えました。また相変わらず猫が嫌がることをやったり、暴言を吐いたり……。そんなミミの様子を目撃したパパから「もう猫に近づくな!」と叱られて、ミミはおやつ係を返上することになってしまいました。
「もう猫に近づくな!」と怒るパパ。猫のおやつかかりは返上することになってしまいました
「もう猫に近づくな!」と怒るパパ。猫のおやつかかりは返上することになってしまいました
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3年生後半になって訪れたミミと猫の転機

そしてミミが3年生後半になったある日のことです。ミミの歯磨きをしていると猫が近づいてきました。私は猫のしっぽの付け根あたりを軽くトントンと叩きました(こうすると猫がとっても喜びます)。すると、歯磨き中のミミの顔に猫のもふもふのシッポが触れ、ミミは「気持ちいい~」とニコニコ。ほほえましく見ていたのですが、この日の翌日から歯磨きをする度に猫が来るようになり、猫のしっぽがミミを撫でて……。これがミミにとって歯磨きが楽しみになるきっかけになってくれました。
顔に猫のもふもふのシッポが触れ「気持ちいい~」とニコニコのミミ
顔に猫のもふもふのシッポが触れ「気持ちいい~」とニコニコのミミ
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この時間がきっかけで、ミミと猫の関係は少しずつ改善していきました。ミミは猫にちょっかいを出さなくなり、4年生になった今は猫をとっても可愛がるようになりました。

ミミは、少しずつですが猫の様子を気にしてくれるようになりました。猫が窓の近くに居たら「開けてあげるね」とカーテンを開け外が見えるようにしたり、餌の時間になると餌をくれるパパの近くに来て甘えた声で鳴く猫を見て「ご飯が欲しいんだね」と声をかけたり、寒い季節に猫が布団に入って足元で丸まると、「寒いもんね。お布団の中だと温かいね」ととっても喜ぶようになりました。

ただ、猫トイレに排泄物があると、ミミは排泄物が見えるのがイヤなので「片して」と言ってきます。まだ自分で片づけるということは難しいようです。私は「ミミがやってくれても良いんだよ~。ペットを飼うときはトイレのお世話もしてあげるんだよ」と伝えつつ片づけています。

学校での疲れを癒してくれる欠かせない存在に

猫は癒し!学校から帰宅後は一番に猫の元へ行き猫撫で声でほっぺをすりすりするミミ
猫は癒し!学校から帰宅後は一番に猫の元へ行き猫撫で声でほっぺをすりすりするミミ
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今のミミは「学校なんて壊してやる!」と言いながらもなんとか登校している状態です。1日学校で頑張って帰宅したミミは、一番に猫の元へ行き猫撫で声でほっぺをすりすり……。猫が嫌がる時は「ごめんね」と言って優しく謝ります。いつの間にか、ミミにとって猫は癒しの存在になりました。
数年間は猫への対応にヒヤヒヤしましたが、弟のふーにも、猫を大事にするよう教えてくれるミミの姿に成長を感じて一安心です。

放課後等デイサービスがある日は学校で6時間授業をして帰宅した後、休む時間も短い中すぐにデイサービスに向かうため行き渋りがあるミミ。でも猫を撫でて元気をもらって登室する様子を見て、ミミにとって猫は本当に本当に大事な家族なんだなとしみじみと思っています。
執筆/taeko

(監修:森先生より)
ペットの気持ちを理解するということは、自分と異なる感じ方をする存在を受け入れるということ。
自閉症のある方の特性として、他者の感じ方が理解しづらい傾向があります。人間同士では、姿形が似ているために、かえって違いがあることを受け入れにくいこともありえます。同じ人間だから「気持ちをわかってくれて当然」と考えてしまい、「なんでわかってくれないんだ!」という苛立ちをおぼえることもありえますが、動物であれば「自分と感じ方が違って当然」と思えるでしょう。
ペットと仲良くなるためにペットの感じ方を理解しようとすることは、社会での他者の感じ方を考えたり、関係性を築くための良い訓練となるでしょう。
ペットとの触れ合いはそれ自体が癒しになって心の安定につながりますし、人とのコミュニケーションにも役に立つはずですよ。
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
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