理由が分かれば寄り添える。ナゾの行動、ワーキングメモリ、高学歴の悩みーー読書で障害理解を深める【注目の5冊をご紹介】

ライター:発達ナビBOOKガイド
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今月の新刊紹介は、親子で読みたい絵本や、児童精神科が発達障害やグレーゾーンの子どもが見ている世界を解説した本、楽しく読み書き計算の基礎づくりができるカードゲームに、発達障害と高学歴にフォーカスした一冊、おうちでできる言葉の療育など、障害理解が深まる注目の5冊をご紹介します!

目次

楽しく読み書き計算の基礎づくりをーー『ワーキングメモリがぐんぐんのびる 単語メモリカードゲーム』

ワーキングメモリがぐんぐんのびる1単語メモリカードゲーム
湯澤正通 (著、企画・原案)
合同出版
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ワーキングメモリがぐんぐんのびる1単語メモリカードゲーム
湯澤正通 (著、企画・原案)
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「ワーキングメモリ」とは、目や耳から入ってくる情報を限られた時間で記憶し、統合しながら意味を理解する脳の働きのことです。ワーキングメモリに弱さがあると、学習の基礎である文字の読み書きや数の理解がスムーズに進まず、つまずきを感じやすくなります。

本書は、カードゲーム方式で無理なく・楽しくワーキングメモリを伸ばすことを目的とし、ワーキングメモリ理論に基づいた教育支援の第一人者である広島大学大学院 人間社会科学研究科教授の湯澤正道先生が考案した5歳から大人までを対象としたカード教材です。

カードは、本書の『音韻意識を高める 単語メモリカードゲーム』に加え、『算数の基礎をそだてる 数字マッチングカードゲーム』『特殊音をすばやく読む 単語マッチングカードゲーム』と、全部で3つのシリーズで構成されています。カード毎に記憶機能を高める3つのゲームが収録され、親子や友達同士、支援者と遊びながら、楽しく読み書き計算の基礎づくりができるよう工夫されています。

ワーキングメモリは国語や算数などすべての学習の基礎になるものですが、いったん学習が遅れてしまうと机に向かって勉強をすることに苦手意識を持ってしまうことも……。ワークシートのような勉強方式ではハードルが高いと感じている子どもも、カードゲーム方式の学習であれば取り組みやすいのではないでしょうか。家庭学習はもちろん、特別支援教育や放課後等デイサービスなど学校や支援の現場にもおすすめの教材です。

理由が分かれば優しく寄り添えるーー『発達障害・グレーゾーンの子どもが見ている世界』

発達障害・グレーゾーンの子どもが見ている世界
田中康雄 (監修)
永岡書店
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発達障害・グレーゾーンの子どもが見ている世界
田中康雄 (監修)
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本書は、発達障害・グレーゾーンの子どもが見ている世界をマンガで分かりやすく解説し、子どもの視点から行動の理由を探り、接し方のヒントやアドバイスがまとめられた一冊です。

すぐに走り出してしまう、ルールや順番が守れない、友達を叩いてしまうなど、子どもの行動は大人からしてみれば不可解なことが多く、どう対応したらいいのか悩む保護者の方も多いのではないでしょうか。本書では、「不可解な行動にも、その子なりの理由が必ずある」と伝えています。
前半では、主に3~8歳の子育てで保護者が戸惑いがちな「ナゾの行動」をいくつか取りあげ、それぞれ2つのケースを紹介。発達障害・グレーゾーンと言われている子どもも十人十色です。同じような行動であっても、その理由は子どもにとって異なることを感じられるように工夫がされています。

監修は、北海道大学名誉教授であり児童精神科医の田中康夫先生。発達障害の特性を持つ子どもやその家族、さらに関係者たちと繋がり、支え認め合うことを大切にした治療で支持されている発達障害のエキスパートです。本書の後半では、行動を理解したうえで、発達障害がある子どもと向き合うときに保護者が意識したいことについても記されています。
【精神科医・田中康雄】「怒る」「ルールを守らない」はどうして?特性の理解から、その子の唯一無二の「思い」を探してのタイトル画像

【精神科医・田中康雄】「怒る」「ルールを守らない」はどうして?特性の理解から、その子の唯一無二の「思い」を探して

親子で優しい絵本の時間をーー『たれみみうさぎのリッキ』

たれみみうさぎのリッキ
ヒド・ファン・ヘネヒテン (著)、島津やよい (翻訳)
パイ インターナショナル
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ヒド・ファン・ヘネヒテン (著)、島津やよい (翻訳)
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本書は、ヨーロッパで人気の絵本作家ヒド・ファン・ヘネヒテンが手がけた全世界でシリーズ累計300万部発行のベストセラー絵本です。25年前に刊行された本書が、この秋復刊されました。

うさぎのリッキの耳は、みんなの耳とは違います。なぜかいつも右の耳だけ、ダラーンと垂れ下がっているんです。みんなが「たれみみ」と笑うので、ピーンと立った2本の耳がほしくてたまらないリッキ。いろいろな方法で耳をのばそうとしますが、うまくいきません。でも、みんなと違うことは本当におかしなことなのでしょうか?

時には泣きじゃくって、時には笑い転げて、「見た目も、性格も、考え方も、それぞれ違っていいんだよ」と、うさぎたちが教えてくれる絵本です。本書の対象年齢は3歳から。親子で過ごす絵本の時間を通じて「君は君のままですばらしい」と、お子さんに伝えてみてはいかがでしょうか。
次ページ「エリートなのに仕事ができない、当事者の葛藤ーー『ルポ 高学歴発達障害』」

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