ASD(自閉スペクトラム症)息子の「就職」、親が知っておきたい障害者雇用の実態とは?

ライター:LITALICOライフ
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わが子の将来や自立を考えたときに、「働くこと」は大事な要素の一つ。しかし発達障害や精神障害がある場合は特に、安定的に働き続けることは容易ではありません。

「職場環境が合わず、休職・離職してしまったらどうしよう」「一度仕事から離れたあと、もう一度働き始めることができるの?」「より安定的に働き続けるために必要な要素って?」

今回はそんな保護者の不安や疑問にお答えする、「イマドキの障害者雇用」をテーマにしたオンライン勉強会体験ルポをお届けします。

気になるASD息子の「就職」、早めに準備したいけれどどうすれば?

働くことをまだ考えたくない子どもとその様子に焦る保護者のイメージ
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高校2年生の息子は、幼稚園の時にASD(自閉スペクトラム症)と診断されました。

幼い頃から周囲の人とのコミュニケーションが苦手で、自分の考えや気持ちをパッと言葉にして伝えることがうまくできない、自分のルールにこだわりがあり臨機応変に対応できない、たびたびパニックになってしまうといった特性がありました。

もうすぐ高校3年生なので、就職も見据えて進路を検討していきたいのですが、息子はまだ「働くこと」をイメージできず、話そうとしても嫌がってしまいます。

親としては「障害者雇用」で合理的配慮を得られる職場が良いのではと感じているのですが、親である私たちは一般雇用でしか働いたことがないため、障害者雇用の実態を詳しくは知りません。

息子をどうサポートすれば良いのか悩んでいたところ、「障害者雇用」についての勉強会があると知り、まずは私たちが学んでみようと申し込みました。
障害者雇用の定着率を見て驚く保護者のイメージ
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親としても終身雇用が当たり前ではなく、職場が合わないのであれば転職も選択肢の一つだとは思いますが、息子が安心して働けるためにはやはり合理的配慮を受けて「障害者雇用」という選択をするのが良いのかもと感じました。

ほかにも講師の方が実際に担当した就職者の方のケースや、実際の企業が具体的にどんな合理的配慮を行っているのかなどを知ることができました。

例えば障害者雇用を多く行っている企業では、就職者の得意や不得意に合わせて業務内容や勤務形態、勤務する環境を相談して決めているとのこと。

昨今はコロナ禍を経て、障害者雇用の中でも在宅勤務の募集が増えてきているようです。加えて在宅勤務で体調の変化が会社に見えない分、きめ細やかな体調管理や定期面談を行っているIT関連の企業もあり、こういう会社であればプログラミングに興味がある息子も働きやすいかもしれません。

長く安定して働くために。親として押さえておきたいポイント3つ

安定就労のために押さえておきたいポイントとしては「子ども自身が特性を理解できるようにサポート」「安定就労に関する情報の獲得」「子どもの自立に必要な経済的サポートの準備」の3点を挙げていました。

一度就職した職場で、長く何の問題もなく働き続けられるとは限らないので、どんなサポートが受けられるのかを知っておくことが必要だと感じました。

例えば就労移行支援事業所を利用すると、職業訓練や就職活動のサポートが得られるだけでなく、就職した職場での定着支援も受けられるとのこと。この就労定着支援では最大3年間安定就労に向けた支援を受けることができ、企業や自宅に指導員が訪問して働く環境や生活リズム、家計や体調の管理などの課題解決に向けてサポートを行ってくれるそうです。
子どもにとって専門的な知識を持った指導員のサポートはとても心強いイメージ
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自分の考えをうまく言葉で表現できない息子には、専門的な知識を持った指導員のサポートはとても心強いかもしれません。

子どもの自立のために何ができるのか、どこまで介入していいのか迷う気持ちもありましたが、今回の勉強会を通して少し方向性が見えたような気がします。

とはいえ、私たち親子にとって初めての就活は分からないことだらけ。親として今からできることを実践するためにも、そして息子の特性に合った職場をもっと具体的に知るためにも、LITALICOの個別相談会の場を活用したいと思います。

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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

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