ともかく息子と向き合う時間を増やしたら……

フリーになってからは、今の息子と向き合うことを第一に考えました。まずは、仕事に割く時間を大幅に減らしました。お迎えの時間も以前より1~2時間早くできたので、その頃を境に、イライラしがちで常に自信なさげでネガティブ発言が多かった息子は穏やかになり、コミュニケーションが取りやすくなりました。

また半年ほどたつと、ようやく息子の交友関係も広がってきました。もともと仲の良かった男の子が遊びに誘ってくれるようになったり、別のお友達が声をかけてくれるようになったりし、ほかのお友達と遊べるようになりました。

また、ちょうど小学校の進級先を考えないといけない時期だったこともあり、こども園の先生や発達支援センターの専門員さんと相談をしたり、小学校の見学に行って話を聞いたり、私自身も子どもの発達についていろいろな本を読んで勉強したりといったことに時間をかけられました。

正社員の肩書きを手放すことになったのは痛手ではありましたし、うまく適応できなかった自分をふがいなくも感じましたが、完全に心身の健康を損なう前に辞められて、ほっとしたというのもあります。「これが今の私なのだ」ということを受け入れて、今の自分に合った働き方を模索しようと思いました。
息子と向き合うことを第一にしたら、息子にも変化が……
息子と向き合うことを第一にしたら、息子にも変化が……
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これでよかったんだと納得できた。せっかくの人生、与えられた状況を味わい尽くしたい!

正直、会社員時代に貯めた貯金がものすごい勢いで減っているのは不安でしかありませんが、必要な時期に息子にしっかり向き合えたという納得感はあります。この4月から息子は小学生なので、まだ当面は子育てに余力を残しておける働き方を続けたいと思っています。

もちろんいろいろな働き方があると思いますが、私の場合はこの転職の失敗で、今の自分には以前と同じやり方がもう通用しないのだと分かったので、会社員時代の貯蓄がなくならないうちに無理のない範囲で一定の金額を投資に回すための勉強をするとか、これまでとは別の視点からいい方法を探していかないととも思っています。
そういう意味で、自分のキャリアに関しては「一から出直し」の時期なのかもしれません。

20代~40代前半の間、私は仕事が好きで、プライベートでも仕事のことを考えている傾向があって、今後の人生も自分はずっとそうなんだと思っていました。ですが、転職と息子の育児を機に、知力と体力を仕事に全投入するといった自分のこれまでのやり方に限界を感じました。
働き方については、まだまだ改善の余地がありそうですが、息子への関わり方に関しては、いろいろな支援とつながれたことで視野が広がったことは大きな経験です。

自分のキャリアについても、子育てについても「せっかくの人生、与えられた状況をいかに味わい尽くすか」は一つのテーマのような気がしています。
子育てで一番大切なことは親の健康(心身の)ではないかと思うので、まずはそこを守りつつ、息子にとっても自分にとっても良い形をもう少し試行錯誤したいと思います。

イラスト/カタバミ
エピソード参考/苗

(監修:藤井先生より)
息子さんとの関わりを考える中で、育児と仕事のバランスを整えられた経験のコラムをありがとうございます。子育てとキャリアアップの時期が重なったために、お子さんのために仕事を辞めたほうが良いでしょうか、と外来で質問される方もいらしゃいます。私自身も3人の子どもを育てながら仕事をしておりますので、悩むお気持ちは想像ができます。しかし、バランスの取り方はお子さんの様子、親御さんのいる環境などによってさまざまですので、明確な正解は分かりにくく、迷いながら探っていくしかないかなと思っています。何よりも大切なのは、お子さんと親御さんの関係がこじれないこと、親御さんが心身共に疲弊しないバランスを探ることです。それを軸に、これからも子育てをしていけたら良いですね。
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

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