どうしてそこだけ?こだわりの不思議

タケルはケチなわけでもなく、むしろ無欲な方です。
 
お金自体に対する嫌悪感も特になく、物販イベントで友達の手伝いをしてお金を預かったりお釣りを渡したりするのは平気でしたし、小学生の頃には古銭に興味を持ち集めていたこともありました。
 
なぜ「支払いをする」ことだけに困難があるのか、本人にも私にも分かりませんでした。

思わぬ角度からの解決法、現在のタケル

ハタチになったタケルは、自分のクレジットカードを持つようになり、それを使って決済をするようになりました。なんと、キャッシュレス決済は問題なく行えたのです!!
えええ……?
 
いやほんとに……どういうこと?
謎は謎のままなのですが、おかげでかなりの金銭管理をタケル自身に任せられるようになりました。キャッシュレス時代の到来に感謝するばかりです。

(執筆/寺島ヒロ)
(監修:新美先生より)
もう成人になられている息子さんの、子どもの頃から続いていた不思議なこだわりとその後の経過について教えてくださりありがとうございます。

「下の名前を呼ばれたくないこだわり」なかなか独特ですね。これは子どものときのほうが苦労しますよね。大人になれば下の名前で呼ばれる機会は減るので、必要な場面では事情を説明すればなんとかなりそうです。

「お金を支払いたくないこだわり」は今までにも聞いたことがあります。お金を支払う場面は人と人とのコミュニケーションが必要になるので、何かのきっかけで不安になったことがあったのかもしれません。買い物が自立してできないのはとても不便ですが、キャッシュレス決済ならOKなのですね!大人になって成長した段階で、ちょっと別の手段を用いることでOKになるということもありますね。

教えていただいたような、生活で日常的に困るこだわりは、大人になるにつれてそういう場面を避けた環境を選択できるようになることもあります。また多くの方で青年期ごろになると、本人が損得を考えられるようになるため、この目的のためにはこれだけ頑張ろうという本人の中でモチベーションが明確になり克服できることもあります。子どもの時期に、「大人になったときに困るから」と本人の意思を無視して、こだわりを治すことにこだわりすぎるとかえってこじれることもあるので、いったん保留にできるこだわりなら、子どもの時期はしばらくはそのままにしておくというのもありかもしれません。
前の記事はこちら
https://h-navi.jp/column/article/35030009
通学路のこだわりに母疲弊。小1自閉症息子「同じ道」「メダカを確認」ルーティンを崩すと癇癪…どこまで許容したらいい?【専門家のアドバイスも】のタイトル画像

通学路のこだわりに母疲弊。小1自閉症息子「同じ道」「メダカを確認」ルーティンを崩すと癇癪…どこまで許容したらいい?【専門家のアドバイスも】

こだわりが強く、スムーズに行動できないのタイトル画像

外出時のルートや場所にこだわりがあるとスムーズにいかない…!そんなときに出来る工夫は?

発達凸凹親子の「どこ置いたか忘れた」を解決!見つけやすいのにスッキリ『中が透けて見える収納メッシュボックス』使ってみたら【発達ナビ×フェリシモ】のタイトル画像

発達凸凹親子の「どこ置いたか忘れた」を解決!見つけやすいのにスッキリ『中が透けて見える収納メッシュボックス』使ってみたら【発達ナビ×フェリシモ】

自閉症長男の幼少期、多すぎるマイルールに疲弊…12歳になった今、こだわりはどうなった?のタイトル画像

自閉症長男の幼少期、多すぎるマイルールに疲弊…12歳になった今、こだわりはどうなった?

自閉症息子の金銭感覚に不安…「お小遣いは年1回」3つの理由【小児科医アドバイスも】のタイトル画像

自閉症息子の金銭感覚に不安…「お小遣いは年1回」3つの理由【小児科医アドバイスも】

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

追加する

バナー画像 バナー画像

年齢別でコラムを探す


同じキーワードでコラムを探す



放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

コラムに対する投稿内容については、株式会社LITALICOがその内容を保証し、また特定の施設、商品及びサービスの利用を推奨するものではありません。投稿された情報の利用により生じた損害について株式会社LITALICOは一切責任を負いません。コラムに対する投稿内容は、投稿者の主観によるもので、株式会社LITALICOの見解を示すものではありません。あくまで参考情報として利用してください。また、虚偽・誇張を用いたいわゆる「やらせ」投稿を固く禁じます。「やらせ」は発見次第厳重に対処します。