24時間の脳波測定で有効な手術の可能性を告げられ……

やがて担当医師が地方へ異動になってしまったため、再び別の病院へ転院することになりました。その病院で24時間の脳波測定をしたところ、有効な手術の可能性を告げられました。ただリスクとして、現在ある右麻痺が少し強くなるかもしれないとのことで……。

不安はありましたが家族で話し合い、「何よりてんかんを消失させ、ゆくゆくは薬を止めることが最優先。麻痺はリハビリで少しずつ取り戻していこう」という結論に至り、11歳でまた手術を受けることになりました。

娘は、7歳の時に受けた手術のことを覚えていて、「術後は痛い」という記憶があったようで、入院時から泣いたり「いやだ!」と大声を出したりすることがありました。ただ、先生や看護師さんの声かけのおかげで、手術当日は割とスムーズに手術室に入っていきました。

大変だったのは術後で、右麻痺の様子を見るための連日のリハビリにねを上げ、「起きたくない!」「やりたくない!」と大騒ぎしていました。痛みを訴えたり傷口を触ったりすることは幸いなかったですが、約2ヶ月の入院は完全付き添いだったので、ストレスから親子で何度も泣いていました。
連日のリハビリにねを上げ、「起きたくない!」「やりたくない!」と大騒ぎの娘
連日のリハビリにねを上げ、「起きたくない!」「やりたくない!」と大騒ぎの娘
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ついにてんかんが寛解! もう二度と発作に悩まされないように

手術後も数年は服薬を続けましたが、徐々に量を減らし5年後には服薬も必要なくなりました。本当に本当によかったです。

娘は発作に対してあまり自覚がなかったようで、あまり変化を感じていないようなのですが、親としては、生活における制限がなくなる、発作におびえなくて済むという大きな解放感があります。出先でもし発作が起きたらという懸念がなくなり、遠出ができるようにもなりました。
手術後も数年は服薬を続けましたが、5年後にはついにてんかんが寛解!
手術後も数年は服薬を続けましたが、5年後にはついにてんかんが寛解!
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私たち家族にとって、娘のてんかんとは長く、大変な闘いでした。薬が増えた、減ったで一喜一憂した時もありますが、服薬が完全なくなった時に「あーやっと終わった……」と全身の力が抜けた感じがしました。

娘は服薬がなくなったことで頭の中もすっきりしたようで、現在は会話ができるまでになり、一人通学など、できることも急激に増えました。

とはいえ、完全に独り立ちすることは難しいので、上手に人に頼りながら、親なきあとも楽しく過ごしてほしいと思っています。そしてもう二度と発作に悩まされないよう、健やかに成長してくれることを願っています。

イラスト/マミヤ
エピソード参考/みったん

(監修:藤井先生より)
生後1ヶ月の脳出血により、てんかんで繰り返し入院加療をされ、今は寛解されているとのことで良かったです。てんかんの治療には内服だけでなく、ACTH療法、ケトン食療法、外科手術もあります。てんかんの種類によって、治療の適応は違ってきますので、専門医に相談することをおすすめしています。脳出血後遺症や、脳の中に異常な部分があると頭部MRIなどで分かった場合には、その部分の切除術や、脳梁(左右の脳を連絡する神経繊維の束)離断することで、発作が軽減されることがあります。
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

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