誤学習で笑いを求めるタク

周りに笑ってもらうのが快感で、パンツを脱ぐ息子
周りに笑ってもらうのが快感で、パンツを脱ぐ息子
Upload By もっつん
お友達と小さなトラブルを起こしつつも、タクは保育園が大好きでした。目立ちたがり屋でお調子者な面もあったので、あの手この手を使って周りの注目を集めていました。

ある日、お着替えの時にズボンと一緒にパンツまで下ろしておしりが丸出しになってしまい、周りの子から大笑いされたことがあったそう。タクはみんなに爆笑されたことがうれしくて、何度もパンツを下げる行動を取るようになりました。

数日経って、もう周りの子が笑ってくれなくなっても繰り返しパンツを下ろすようになってしまったと、先生からの連絡帳で知りました。「おしりを出す = 皆が笑ってくれる」と誤学習してしまった結果だったと思います。

その後、おしりを出すことで笑いを取るのは間違っているという事を、家でも先生からも根気強く言い続けてなんとか止めさせることができました。

具体的には、おしりを見せても一切笑わずに、「おしりを何度も見せても面白くないよ」「トイレ以外でおしりを見せるのは失礼なことだよ、嫌な気持ちだよ」「あの時に皆が笑ってくれたのは、いろんな要因が重なった偶然の笑いなんだよ」とかみ砕いて簡単に説明するように。そして、最終的にズボンとパンツを戻すまで無視をするのを徹底しました。

転園の中で、タクも私も必死だった日々

ヒャッハー!と元気すぎる息子に振り回された時期
ヒャッハー!と元気すぎる息子に振り回された時期
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保育園生活では年齢が上がるにつれて、お友達トラブルが少しずつ増えてきました。皆と同じ動きがなかなかできずに、別の遊びを続けていることもあったようです。

わが家の場合は家庭の都合で2度転園をしてしまったので、幼いタクにも負担をかけてしまいました。家庭内で元気にしていたけど、外ではさらに外弁慶になってフラストレーションを発散していたのかもしれません。この頃タクは、短期間ですがまばたきチックを発症してしまいました。

短期間で転園で、私と先生との信頼関係を築ける時間が少なかったのが悔やまれます。もしずっと同じ園だったら……先生から発達について相談されたり、療育を勧められたのかな?と考えてしまいます。

3歳児健診で言われた「この子は発達障害じゃない。考えすぎですよ」という言葉を完全に信じて、ほとんど動けてなかったなぁと思いました。もしも発達障害の可能性を感じて、こちらから先生方にご相談できていれば、タクの園生活がもう少し落ち着いて過ごせたのかな……と考えてしまうこともあります。

しかし小学校1年生の終わりに発達障害の診断を受けるまでに、タクに向き合ったことで親子の信頼関係は大きく育ちました。悩んだ期間や試行錯誤は決して無駄ではなかったと思っています。

執筆/もっつん
(監修:初川先生より)
幼児期のタクくんの集団でのエピソードをありがとうございます。同級生らの中でだと落ち着きのなさやルール理解のズレを保護者が感じることも多いと思います。集団の中でのルールにのっとった行動やよき振る舞いというものは、先生から言葉での説明がなされたり、周りのお子さんの適応的な行動を見て真似したりということで身についていくことが多いので、初期はそのように対応されると思います。ただ、言葉での理解は個人差が大きかったり、聞いた時は分かっていても(言葉は)消えてなくなってしまったり、周りの子の言動まで目に入っていなかったりで、発達につまずきのあるお子さんには個別の手立てが必要になることがあります。そうした場合、家庭でだけ、園でだけというよりも、連携しながら一緒に同じようなことに注意しながらやっていけるといいでしょう。今回のお話の中では、おしりを出して気を引く行動を誤学習したという話がありましたが、園でも家庭でも同じように「おしりを出すのは良いことではない」ということを伝えて行けたのがよかったと思います。言葉のみならず絵を使って、あるいは映像を使ってなどさまざまやり方はあると思いますが、そのお子さんの特性として伝わりやすい方法で伝えてゆけるとよさそうです。

もっつんさんは事情があって転園が多かったこと、また、検診での医師のコメントなどがあり、なかなか先生方と密に一緒にやっていくことが難しかったり、発達障害かもという、お子さんのつまずきを理解する上での縦軸を持ちづらかったりしたのだと思います。もっつんさんが書かれている通り、さまざま悩み、逡巡する時間も大切な時間・プロセスになります。早く気づいて早く手立てが取れることももちろん良さはあります。しかしそうでなかったとしてもダメだということでは全くありません。のちに「悩んだ期間や試行錯誤は決して無駄ではなかった」と感じられていること、何よりだなと思います。
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https://h-navi.jp/column/article/35030075
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。

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