【小児科医監修】子どもの発達障害と漢方薬、効果と副作用まとめ

ライター:発達障害のキホン
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発達障害の特性があり、環境調整だけでは対応できない場合には、漢方薬を内服することもあります。今回は「甘麦大棗湯」「柴胡加竜骨牡蛎湯」「抑肝散」など発達障害や特性のある子ども、起立性調節障害などに処方されることの多い漢方をまとめて紹介します。

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監修: 藤井明子
小児科専門医
小児神経専門医
てんかん専門医
どんぐり発達クリニック院長
東京女子医科大学大学院修了。東京女子医科大学病院、長崎県立子ども医療福祉センターで研鑽を積み、2019年よりさくらキッズくりにっく院長に就任。2024年より、どんぐり発達クリニック院長、育心会児童発達部門統括医師に就任。お子様の個性を大切にしながら、親御さんの子育ての悩みにも寄り添う診療を行っている。 3人の子どもを育児中である。

発達障害のある子どもに処方される漢方ってどのようなものがあるの?

発達障害の特性があり、環境調整だけでは対応できない場合には、漢方薬を内服することもあります。漢方の特徴・基本的な考え方は以下のように記されています。
古来に中国から伝わり、日本において発展してきた医学が漢方医学であり、後ほど西洋から日本に入ってきた蘭方(西洋医学)と区別するためにこの名前がつけられた。
漢方薬は、漢方の考え方に沿うように、生薬が一定の規則によって組み合わせて構成されたものであり、処方全体としての適用性等、その性質からみて処方自体が一つの有効成分として独立したものという見方をすべきものである。漢方薬は、使用する人の体質や症状その他の状態に適した処方を既成の処方の中から選択して用いられる。

引用:ⅩⅣ 漢方処方製剤・生薬製剤|厚生労働省
出典:https://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/07/dl/s0701-1p.pdf
今回は発達障害や特性のある子どもに処方されることの多い漢方薬と、発達障害に合併することもある起立性調節障害に使用される漢方薬をまとめて紹介します。

漢方薬「甘麦大棗湯」は癇癪や夜泣きに効果がある?副作用についても【医師監修】

「甘麦大棗湯(かんばくたいとうそう)」は心身の興奮を鎮める効果があり、自律神経の乱れ(いわゆる自律神経失調症)や癇癪に対しても用いられることがあります。不安からくる腹痛にも効果があり、強い不安が腹痛の要因となっている場合には甘麦大棗湯で症状が改善することがあります。

・甘麦大棗湯の効果的な症状:癇癪、夜泣き、不眠、ひきつけ、不安からくる腹痛 など
・甘麦大棗湯の副作用:手足のだるさ、しびれ、つっぱり感やこわばり、脱力感、筋肉痛 など

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漢方薬「甘麦大棗湯」は癇癪や夜泣きに効果がある?副作用についても【医師監修】

漢方薬「柴胡加竜骨牡蛎湯」の効果や副作用は?子どものイライラや夜泣きに処方?/医師監修

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)は、不眠や不安、ストレスによるイライラ、子どもの夜泣きなどがある際に用いられる漢方薬です。柴胡加竜骨牡蛎湯には身体の炎症を鎮める柴胡(さいこ)や気分を落ち着ける竜骨、牡蛎などが配合されています。

・効果的な症状:不安、不眠、夜泣き、神経過敏、イライラ など
・副作用:発疹、発赤・かゆみ、腹痛や下痢、胃の不快感 など

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漢方薬「柴胡加竜骨牡蛎湯」の効果や副作用は?子どものイライラや夜泣きに処方?/医師監修

抑肝散とは?発達障害の癇癪、イライラへの効果や副作用など/医師監修

抑肝散は神経の高ぶりを抑える効果があるといわれている漢方薬です。神経の高ぶりを抑えることで、不眠の改善にも効果があります。もともと子どもの夜泣きに使われていたことで知られていますが、現在では大人の精神的な症状に対しても使われています。

・効果的な症状:不眠、夜泣き、神経過敏、イライラ、けいれん、手足の震え、ひきつけ など
・副作用:発疹などの過敏症、食欲不振、胃部不快感、吐き気といった消化器の症状、倦怠感 など

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抑肝散とは?発達障害の癇癪、イライラへの効果や副作用など/医師監修

起立性調節障害の処方薬は?漢方は効果がある?副作用なども/医師監修

朝の起床困難、倦怠感、動悸、頭痛、立ちくらみ、失神などの症状が表れる疾患、「起立性調節障害」の治療にも漢方が処方される場合があります。起立時のめまいなどに漢方が効果があると言われています。

・苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう): 立ちくらみやめまい、頭痛 など
・半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう):胃弱、頭痛、ふらつき、めまい など
・補中益気湯(ほちゅうえっきとう):疲労倦怠 など
・小建中湯(しょうけんちゅうとう):腹痛、疲労倦怠 など
・真武湯(しんぶとう):冷え性、胃腸虚弱、神経衰弱 など

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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

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