少しずつ見えてきた変化

息子の通う中学校には指定の制服があります。息子は現在も冬でも夏服を着ていくことが多いのですが、学校の行事などで上着の着用が義務付けられている場合は、しぶしぶ従うようになりました
学校の行事などで上着の着用が義務付けられている場合は、しぶしぶ従うように
学校の行事などで上着の着用が義務付けられている場合は、しぶしぶ従うように
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また、家では相変わらずサッカーウェアのような上下を好んで着ていますが、友達と遊ぶ時などは、ゆったりした長ズボンを選ぶようになったのです。着心地とかっこよさを考慮するようになった息子、大進歩と言えると思います。

乾燥肌に関しては、保湿剤を塗ることへの抵抗は続いているものの、掻きむしる頻度は減ってきました。今でも皮膚が剥けると気にすることはありますが、絆創膏を貼らなくても大丈夫な程度に改善されつつあります。

このように変わってきた息子のマイルール。当時はどんなに言っても長ズボンを履いてくれなかったのに、自ら履く日がくるとは……と感慨深いです。どこかで妥協する必要があるという現実を、息子が少しずつ理解し始めたのかもしれません。

今後も息子の成長を支えながら、彼自身のペースで問題に向き合う力を育んでいきたいと思っています。少しでも乾燥肌が良くなれば……という思いで、これからも保湿効果のある入浴剤を使い続けていきます(湯船に入るかどうかは息子の気分次第ですが)。
イラスト/taeko
※エピソード参考者のお名前はご希望により非公開とさせていただきます。

(監修:森先生より)
マイルールについての体験談をありがとうございます!
お子さんのために、日々奮闘されている様子がよく分かります……本当にお疲れ様です。

さて、発達の偏りのあるお子さんは、良くも悪くも「完璧主義」になりがちです。 「筆算を拒んで暗算を貫く」「冬も半袖で過ごす」といった行動も、しばしば見られます。
完璧主義になる理由はさまざまで、「途中で折れると負けた気がする」「一定の手順でないと落ち着かない」「いつも同じ服だと安心する」「長袖が首や手首に触れる感覚がイヤ」などがありますね。 感覚過敏やこだわりがベースにあることがあります。感覚過敏というのは、特定の音や感触に過敏に反応することで、発達の偏りがある方にしばしば見られます。

また、筆算のルールや手順が複雑に感じられ、苦手意識を持っているケースもあります。暗算のほうがシンプルで、自分のペースで計算できるため、安心感があるのかもしれません。 そういった場合は、「やってみたら簡単だった」「楽だった」という小さな成功体験を積んでいくといいでしょう。 ただ、余裕がない時は素直にアドバイスを受け入れられません。また、お子さんのやり方を否定してしまうと良くないので、お子さんのやり方には理解を示しながら、別のやり方も提案してましょう。

お子さんの機嫌が良い時、余裕のある時に「試しにこれを筆算で解いてみない?」「この長袖の服を着てみない?」と声をかけてみるといいのではないでしょうか。なかなか一朝一夕にはいきませんが、根気よく続けていきましょう。

冬も半袖で過ごすのは、体感温度や寒さに対する感覚がほかの人と少し異なっていたり、服の素材や着心地にこだわりがあり特定の服しか着られないといった場合が多いようです。直接肌に触れる肌着を快適なものにすると、比較的落ち着くこともありますが、大きくなるにつれて服の見た目の好みなども出てくるので難しいところですね……。

さて、スキンケアについてもお悩みなのですね。今回の体験談ではすでにいろいろと試行錯誤してくださっているのですが、一般論としてアドバイスをさせていただきますと……
まず、乾燥肌や敏感肌、アトピーのあるお子さんには、ゆったりした服や、木綿などの肌触りのいい肌着を試してみてください。タグが肌に触れないものですと、なおいいですね。保湿剤やお薬を嫌がって塗ってくれない場合は、第一に、軟膏がなぜ必要なのかを根気強く説明することが大切です。

納得してくれない場合も、中学生くらいまでなら保護者の方が塗ってしまったほうが確実かもしれません。言うは易しで、保護者の方は本当に毎日大変だとは思うのですが、日によって塗ったり塗らなかったりすると、「結局良くならない」という思いを強めてしまうことがあるのです……。

また、状態に合わせてお薬を皮膚科で相談することも大切です。2週間前に出してもらったお薬が、今の状態に合わない、ということもあり得ます。「かゆい」というつらさを、「すぐに取ってくれない」=「無駄」と思ってしまっている可能性もあるので、炎症やかゆみがひどくなっているようであれば、お薬についても相談してみましょう。今の状態に合わせて処方されたお薬ということであれば、「お薬を使ったほうがいい」という言葉に説得力が増します。お薬を塗ったときの感触が苦手であれば、軟膏やクリームなど、お薬のタイプについても相談してみましょう。「お薬を使ったら本当によくなった!」という体験を重ねると、素直に使ってくれるようになるケースも多いものです。

保護者の方の毎日の努力と、お子さん自身の成長で、お困りだった「こだわり」から少しずつ抜け出せているのですね。とっても素晴らしいことだと思います。今回のお話が、少しでもお役に立てたら幸いです。
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
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