新薬ビバンセの治験が開始。少しでも副作用がなくなれば……という思いで参加

息子が高学年になった頃、新薬ビバンセの治験が始まりました。医師から勧められ、少しでも副作用が軽減されれば……と参加を決意しました。

幸いなことに息子にビバンセは合っていたようで、腹痛などの副作用が軽減されました。息子は「お腹が痛くないからうれしい」と話し、私も本当にうれしくて……。

しかし、長年の小食生活が影響してか食事量が増えず、なかなか体重は増えませんでした。ですが、少しずつ食べられる量を増やしていけるようになったので、本当に良かったと思っています。これ以降息子はビバンセを服用し続けています。

高校生になった息子と課題。わが家の飲み忘れ対策

診断を受けた時は、「成長とともに、多動が落ち着いてくる場合もあります。そうすれば、内服を中止することもできます」と説明を受けましたが、高校生になった現在も薬が息子にとっての「命綱」であると実感しています。

毎朝ビバンセを内服していますが、土日などは飲み忘れがちで、「なんだか息子がイライラしてるなぁ……。」と思って確認をすると、飲んでいなかったということがほとんどです。
土日などは薬を飲み忘れがちな息子
土日などは薬を飲み忘れがちな息子
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そういう場合、すでに癇癪を起こしている状態ですが、内服忘れに気づいたときには、早急に飲むように促しています。息子自身も、薬を飲まないとイライラすることが分かっているので、素直にすぐ飲んでくれます。

今は、1週間分の薬を私が薬箱にセット。息子には、夕食後に翌日1日分の薬を箱から出してセットしてもらう訓練をしています。しかし、セットも忘れるし、飲み忘れもあるため、親なきあと、息子自身が病院を受診したり薬を管理することは難しいのかもしれないと感じています。

中学3年の冬には精神障害者保健福祉手帳3級を取得しました。将来を見据え、障害者雇用やグループホームの利用も視野に入れています。

これからも息子の成長を見守りながら、彼の特性に寄り添い、息子が安心、安定して、少しでも自立した生活を送れるよう、家族一丸となって支えていきたいと考えています。
イラスト/keiko
※エピソード参考者のお名前はご希望により非公開とさせていただきます。

(監修:鈴木先生より)
コンサータの食欲低下の副作用が80%程度だとするとビバンセは60%程度でコンサータよりは食欲低下の度合いが低いと一般的には言われています。それでも食欲の低下が気になるようでしたら私の外来では、モサプリドなど胃食道逆流を防ぐお薬を併用しています。ストラテラは食後であれば吐気を抑えられますが食事抜きで服用すると副作用の吐気が出て食欲低下につながります。どうしても体重が気になる場合は胃腸系副作用の少ないインチュニブに変更しています。

コンサータとストラテラで内服する薬の数が多い場合は怠薬につながるため1日1回1カプセルで済むビバンセに変更することが多いです。ビバンセは夕方の効果がコンサータに比べて良いと言われています。コンサータ・ストラテラ・ビバンセはカテコールアミンの補充ですが、インチュニブはシナプス間の情報伝達促進の作用があります。前三者はシナプス前(神経伝達物質)に働くのに対し、後者はシナプス後(受容体)に働き、作用する場所が異なります。そのため、ビバンセ+インチュニブの組み合わせで治療しているお子さんも多いです。コンサータやビバンセは資格のある医師と薬剤師しか処方できず、登録カードをつくる必要があります。ビバンセは18歳未満から服用していれば18歳を過ぎても服用し続けられます。
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。


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