宿題をやらない、終わらない…宿題が苦手な子どもの保護者必見!習慣化のコツってある?【公認心理師・井上雅彦先生にきく】
ライター:発達障害のキホン
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宿題に取り掛かるまでに時間がかかる、やっと始めてもなかなか終わらないなど、日々の宿題にお悩みのご家庭も多いのではないでしょうか。今回は宿題のお悩みについて、鳥取大学大学院教授で発達障害を専門とする井上雅彦先生にお聞きしました。(取材/LITALICO発達ナビ編集部)
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監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
宿題が終わらない・取り掛かれない……保護者はどうサポートする?
毎日の宿題に親子でヘトヘト……。宿題に取り掛かるまでに時間がかかる、やっと始めても途中で気がそれてなかなか終わらないなど、日々の宿題にお悩みのご家庭も多いのではないでしょうか。
発達ナビのQ&Aコーナーでも、以下のような声が寄せられています。
発達ナビのQ&Aコーナーでも、以下のような声が寄せられています。
みなさんのお子さんは宿題を家で出来ていますか?
小学校3年生のADHDの男の子、特別支援学級(国語、算数のみ)在籍です。家でなかなか宿題ができず1、2年生の頃は授業の中で宿題をやってもらっていました。診断はされていませんが、LDの傾向があり書く事が苦手です。
小1の息子がいます。
宿題をいつさせるのかが分かりません。
(略)
16時にすんなりと宿題ができたらいいのですが、フリータイムが長引きなかなか着手できません。
ADHD小1の娘ですが集中力がなく、学校の準備や宿題などがなかなか終わりません。
◯時になったら宿題やろうね、など声かけをしたり、学校の準備も一緒に確認しながらひとつずつやっていますが、すぐに飽きて遊ぼうとしてしまいます。たとえば、鉛筆削りに行くはずが途中でおもちゃに興味が移ってしまい、何をするか忘れてしまいます…
まだ1年生なので仕方ない部分もあると思いますが、毎日のことなのになかなか進まないのでどうしたものか…
今回はそのような宿題のお悩みについて、鳥取大学大学院教授で発達障害を専門とする井上雅彦先生にお伺いしました。
漢字の宿題が大の苦手!?宿題を嫌がる息子にどう対応したらいい?
Q:毎日の宿題が親子でストレスです。特に漢字の書き取りが苦手でどうしても家でできないので、学校で取り組むことになりました。しかし学校で宿題をやるために休み時間がなくなるのもつらいようです。家で取り組むためのコツはありますか。
A:宿題の取り組みは、学校から帰宅後のスケジュールを、お子さん本人と一緒に考えることが大切です。宿題の時間だけでなく、お子さんが帰宅後にやりたいことも書き出して、どの順番にするとスムーズに動けそうかを一緒に考えていきます。実践してみて、うまくいったことや難しかったことを一緒に振り返るのもポイントになるでしょう。
ただし宿題を嫌がる理由は、お子さん一人ひとりによって異なると思います。その理由を探っていくことも大切です。
例えば、手先の不器用さがあって漢字の書き取りに特に苦労している場合もあるでしょう。本人なりに一生懸命書いても、「とめ・はね・はらい」や字の形を指摘されたり、やり直しになったりすることもあると思います。
そうすると、お子さんの視点では「せっかく頑張ったのに、認められないし嫌なことがある」という体験になっているかもしれません。頑張ったことがなかなか報われないとなると、宿題が嫌になってしまうのは自然なことかもしれません。
ほかにも、放課後やりたいことがたくさんあったり、お子さんなりのルーティンが決まっていたりすることもあるかと思います。
例えば、帰宅後ひとまず動画を見ながら一息ついたら、外に友だちと遊びに行って、帰ってくるとお腹が空いているのですぐ夜ご飯を食べる、という流れがルーティンになっている場合などです。ご飯のあとは、一日の疲れがたまっている時間帯なのでなかなか勉強に取り掛かれない、ということもあるでしょう。
保護者としては「帰ったらすぐに宿題してほしい」という思いもあるかもしれませんが、帰宅後すぐは休息が必要というお子さんも少なくありません。
前提として、子どもたちは学校で頑張ってきているので、お家では自分のしたいことをしたり、ゆっくり過ごして休息をとったりすることは、とても大切です。その時間があるからこそ、また次の日を頑張れるのだと思います。
そのため、遊びや休息の時間も確保しつつ、どのタイミングだと宿題に取り組みやすいかをお子さん本人と一緒に考えていくことが大切です。例えば、単に時間で決めるのではなく、子どもが必ず行う活動で楽しみなルーティン(例えばおやつなど)の前に入れるのが良いと思います。
一度決めたスケジュールが初めから全てうまくいくわけではないと思うので、やってみた結果を一緒に振り返って調整していくといいでしょう。うまくいった部分はたくさん褒めて、難しかった部分についてどうすれば良いか一緒に考えていきます。
手先の不器用さなど「書くこと」の負担が大きい場合には、宿題の内容や量、採点基準などを先生に相談することも大事になるでしょう。
ただし宿題を嫌がる理由は、お子さん一人ひとりによって異なると思います。その理由を探っていくことも大切です。
例えば、手先の不器用さがあって漢字の書き取りに特に苦労している場合もあるでしょう。本人なりに一生懸命書いても、「とめ・はね・はらい」や字の形を指摘されたり、やり直しになったりすることもあると思います。
そうすると、お子さんの視点では「せっかく頑張ったのに、認められないし嫌なことがある」という体験になっているかもしれません。頑張ったことがなかなか報われないとなると、宿題が嫌になってしまうのは自然なことかもしれません。
ほかにも、放課後やりたいことがたくさんあったり、お子さんなりのルーティンが決まっていたりすることもあるかと思います。
例えば、帰宅後ひとまず動画を見ながら一息ついたら、外に友だちと遊びに行って、帰ってくるとお腹が空いているのですぐ夜ご飯を食べる、という流れがルーティンになっている場合などです。ご飯のあとは、一日の疲れがたまっている時間帯なのでなかなか勉強に取り掛かれない、ということもあるでしょう。
保護者としては「帰ったらすぐに宿題してほしい」という思いもあるかもしれませんが、帰宅後すぐは休息が必要というお子さんも少なくありません。
前提として、子どもたちは学校で頑張ってきているので、お家では自分のしたいことをしたり、ゆっくり過ごして休息をとったりすることは、とても大切です。その時間があるからこそ、また次の日を頑張れるのだと思います。
そのため、遊びや休息の時間も確保しつつ、どのタイミングだと宿題に取り組みやすいかをお子さん本人と一緒に考えていくことが大切です。例えば、単に時間で決めるのではなく、子どもが必ず行う活動で楽しみなルーティン(例えばおやつなど)の前に入れるのが良いと思います。
一度決めたスケジュールが初めから全てうまくいくわけではないと思うので、やってみた結果を一緒に振り返って調整していくといいでしょう。うまくいった部分はたくさん褒めて、難しかった部分についてどうすれば良いか一緒に考えていきます。
手先の不器用さなど「書くこと」の負担が大きい場合には、宿題の内容や量、採点基準などを先生に相談することも大事になるでしょう。
小学5年生の自主学習、ネタが思いつかない?自分で進められるようになるには?
Q:小5のわが子は、高学年になってから自主学習や調べ学習が宿題として出されることが増えてきました。しかし息子は自由度が高い活動が苦手で、何をしたらよいか、どう進めたらよいか分からないようです。自主学習に対して苦手意識が強くなってきて、保護者がサポートするのも大変です。
A:自主学習や調べ学習のサポートは、お子さんが興味あるテーマを取り掛かりにすることがポイントです。まずはお子さんの興味あるテーマで、調べ学習の進め方自体を学ぶ機会や、取り組めた成功体験にできると良いでしょう。
お子さんによっては、宿題がドリルやプリントのほうが取り組みやすく、自分でテーマを決めて進めていくことが苦手な場合もあるでしょう。どう進めたら良いか分からない場合には、進め方自体を教える必要がありますが、すでに拒否感が強いという場合は、テーマ選びが大事になると思います。
例えば、スポーツをやっていて、野球が好き・サッカーが好きという場合には、それらをテーマにできると思いますし、ゲームの紹介や攻略法なども取り掛かりやすいかもしれません。こういったテーマで問題ないかどうかは、事前に先生に確認できるとお子さんも安心だと思います。
本人が関心のあるテーマで、まずは一緒に調べ学習をして、調べ方やまとめ方などをお子さんが知っていけるといいですね。何度か経験してパターンが分かったり、まとめ方の見本があったりすると、自分でできる範囲も広がってくると思います。
また調べ学習について「1.テーマを決める、2.情報を集める、3.まとめる」などステップ化することで、お子さんがどこを苦手としているかがより明確になり、解決の糸口になるかもしれません。「2.情報を集める」については資料やインターネットでの調べ方を教える、「3.まとめ」については最後に端的にまとめる方法を練習するなどのサポートもできるでしょう。分からないことを調べるスキルは、これからの情報リテラシーとしても大切です。
お子さんによっては、宿題がドリルやプリントのほうが取り組みやすく、自分でテーマを決めて進めていくことが苦手な場合もあるでしょう。どう進めたら良いか分からない場合には、進め方自体を教える必要がありますが、すでに拒否感が強いという場合は、テーマ選びが大事になると思います。
例えば、スポーツをやっていて、野球が好き・サッカーが好きという場合には、それらをテーマにできると思いますし、ゲームの紹介や攻略法なども取り掛かりやすいかもしれません。こういったテーマで問題ないかどうかは、事前に先生に確認できるとお子さんも安心だと思います。
本人が関心のあるテーマで、まずは一緒に調べ学習をして、調べ方やまとめ方などをお子さんが知っていけるといいですね。何度か経験してパターンが分かったり、まとめ方の見本があったりすると、自分でできる範囲も広がってくると思います。
また調べ学習について「1.テーマを決める、2.情報を集める、3.まとめる」などステップ化することで、お子さんがどこを苦手としているかがより明確になり、解決の糸口になるかもしれません。「2.情報を集める」については資料やインターネットでの調べ方を教える、「3.まとめ」については最後に端的にまとめる方法を練習するなどのサポートもできるでしょう。分からないことを調べるスキルは、これからの情報リテラシーとしても大切です。
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