念願の成長
長いことこのように過ごしていたある時、公園に行き、マユユを見守っているとふと「あれ?」と思いました。
以前より家の外でもマユユが「ちょっと待って」の声かけに反応し、実際に待ってくれることが増えたのです。
気づけばほかにも、名前を呼ぶと反応してくれたり、「こっちにおいで」と伝えるとそばに寄ってきたり……明らかに“家の外でも母(私)を認識している様子”が増えました。
以前より家の外でもマユユが「ちょっと待って」の声かけに反応し、実際に待ってくれることが増えたのです。
気づけばほかにも、名前を呼ぶと反応してくれたり、「こっちにおいで」と伝えるとそばに寄ってきたり……明らかに“家の外でも母(私)を認識している様子”が増えました。
「待って」と言って初めてマユユが待ってくれたとき、私の声かけを理解して待ってるのか、たまたま止まったのか分からず「本当に待っているんだ」となかなか信じられませんでした。
マユユが歩き始めてから数年、興味のあることに一目散のマユユに向かって、私はまるで独り言のように「待って」と言い続けてきましたが、このときもう独り言ではなくなったのです。
マユユが歩き始めてから数年、興味のあることに一目散のマユユに向かって、私はまるで独り言のように「待って」と言い続けてきましたが、このときもう独り言ではなくなったのです。
その後、保育園に入園できたけれど……
その後、年中になり加配つきで保育園に入園することができたマユユ。
実は、入園してすぐの外出イベントでも一度は「安全を確保できないかもしれない」との理由で園から参加をお断りされました。
もちろんショックは大きかったですが、療育施設で断られた時よりも私自身がしっかり受け入れられた気がします。
以前にはあまりなかった視点として、「マユユが誰かと一緒に外出できるかどうかは、一緒に外出する相手にもよる」と思えていたからです。
マユユについて今まで、その普段の様子から“人見知りもしないし、誰かに特別親しみを感じたりすることもあまりないのかも”と思っていました。しかし、最近のマユユの様子をみていて「安心してるから誰かと一緒に行動できるようになった」のだと気づきました。だから、関係性を築く前の新しい先生の場合はまだ落ち着いてそばに居られないのだろうな、と具体的に納得できましたし、先生の不安や判断にも共感できました。
参加を断られたその時はショックでしたが、加配の先生はマユユとじっくり向き合いとても仲良しになってくださり、その後の外出イベントは「参加して大丈夫ですよ!」と言っていただけるようになり、今ではマユユも楽しく参加しています。
実は、入園してすぐの外出イベントでも一度は「安全を確保できないかもしれない」との理由で園から参加をお断りされました。
もちろんショックは大きかったですが、療育施設で断られた時よりも私自身がしっかり受け入れられた気がします。
以前にはあまりなかった視点として、「マユユが誰かと一緒に外出できるかどうかは、一緒に外出する相手にもよる」と思えていたからです。
マユユについて今まで、その普段の様子から“人見知りもしないし、誰かに特別親しみを感じたりすることもあまりないのかも”と思っていました。しかし、最近のマユユの様子をみていて「安心してるから誰かと一緒に行動できるようになった」のだと気づきました。だから、関係性を築く前の新しい先生の場合はまだ落ち着いてそばに居られないのだろうな、と具体的に納得できましたし、先生の不安や判断にも共感できました。
参加を断られたその時はショックでしたが、加配の先生はマユユとじっくり向き合いとても仲良しになってくださり、その後の外出イベントは「参加して大丈夫ですよ!」と言っていただけるようになり、今ではマユユも楽しく参加しています。
そして、5歳の現在
もう外出の問題はなし!なんてことは全然ないのですが、最初に書いたように、一緒にお出かけできることが増えました。
手を繋いでくれて声かけに耳を貸してくれる。
私の存在を意識し、そばにいようとしてくれる。
私にとってはまだ当たり前ではなく少し不安はありますが、ようやく、だいぶお出かけしやすくなったと感じています。
手を繋いでくれて声かけに耳を貸してくれる。
私の存在を意識し、そばにいようとしてくれる。
私にとってはまだ当たり前ではなく少し不安はありますが、ようやく、だいぶお出かけしやすくなったと感じています。
外出の苦労が少しずつ和らいでいった1番の理由は、マユユが時間とともに変化し、成長してくれたことだと思います。
興味が圧倒的に「人より物」だったマユユが、関わりの中で少しずつ愛着や安心感を抱いてくれるようになり、周りの人が介入する間口を広げてくれたこと、その成長に伴いこだわりからの切り替えや気持ちの持ち直しも上手になってきたこと、改めて振り返ってもやはり時間が必要だったのだと思いました。
とても悩んでいた当時は、とにかく外出を繰り返したり、訓練することが必要なのかと思っていたので、家で過ごすのが多いことで成長のチャンスを逃してしまっている感じがしていました。
しかし、結果的にはマユユとの関わりを増やし成長に繋げられた時間でもあったのかもしれないと今は思います。
執筆/サチコ
興味が圧倒的に「人より物」だったマユユが、関わりの中で少しずつ愛着や安心感を抱いてくれるようになり、周りの人が介入する間口を広げてくれたこと、その成長に伴いこだわりからの切り替えや気持ちの持ち直しも上手になってきたこと、改めて振り返ってもやはり時間が必要だったのだと思いました。
とても悩んでいた当時は、とにかく外出を繰り返したり、訓練することが必要なのかと思っていたので、家で過ごすのが多いことで成長のチャンスを逃してしまっている感じがしていました。
しかし、結果的にはマユユとの関わりを増やし成長に繋げられた時間でもあったのかもしれないと今は思います。
執筆/サチコ
(監修:室伏先生より)
マユユさんとのお出かけの困難さと成長のご様子を、サチコさんのお気持ちもまじえて共有くださり、ありがとうございました。今、外出先でもサチコさんの声に耳を傾けたり、そばにいてくれるようになってきたこと、その背景には、サチコさんがこれまで日々の中で丁寧に関わってこられたことや、お家の中で安心できる時間を一緒に重ねてこられたこと、その中でマユユさんが他者との関わりの楽しさを学び、サチコさんとの関係性を深めていくことができたこと、が大きいのだと思います。
ASD(自閉スペクトラム症)の一つの特徴として、他者との関わりよりも、おもちゃなどのものに意識が向きやすいということがあります。お子さんの発達段階や性格などにより個人差はありますが、ASD(自閉スペクトラム症)のお子さんの幼児期には、名前を呼んでも反応に乏しかったり、遊んでいる最中に声かけをしてもリアクションが返ってこなかったり、指示が入りにくかったり、といったご相談をしばしばいただきます。
言葉をたくさん聞かせてあげよう、コミュニケーションをたくさんとろう、と一生懸命関わられている親御さんにとって、このようなお子さんの状況は、とても寂しく悲しく感じられることもあるでしょうし、どのようにして一緒に遊んであげたらいいのだろう、と戸惑いを感じられることもあるかもしれません。「たかいたかい」やくすぐり遊びなどのふれあい遊びや、追いかけっこやキャッチボールなどの相手を意識する遊び、興味のあるおもちゃを介したやりとりなどは、自然な形で「人との関わりって楽しいな」と感じられるきっかけになりやすいです。
おもちゃで遊んでいる時には、お子さんの横からではなく、お子さんの視界に入る正面からそっと入っていって、実況中継のように声をかけてみるのもおすすめです。例えば、「◯◯くん、あかい電車を走らせてるね〜、ガタンゴトン」といったように、お子さんの世界に“寄り添う”かたちで言葉を届けてみてください。
これまで積み重ねてこられたご努力は、もしかするとすぐに目に見える形では表れないかもしれません。でも、お子さんにはきっと、親御さんの想いや声が少しずつ、ちゃんと届いています。どうか焦らず、あきらめず、お子さんの力と時間の流れを信じて、そっと寄り添ってあげてくださいね。その優しい関わりが、必ずお子さんの中で力になっていくと信じています。
サチコさんとマユユさんの関係が、これからもあたたかく育まれていくことを心より応援しています。
マユユさんとのお出かけの困難さと成長のご様子を、サチコさんのお気持ちもまじえて共有くださり、ありがとうございました。今、外出先でもサチコさんの声に耳を傾けたり、そばにいてくれるようになってきたこと、その背景には、サチコさんがこれまで日々の中で丁寧に関わってこられたことや、お家の中で安心できる時間を一緒に重ねてこられたこと、その中でマユユさんが他者との関わりの楽しさを学び、サチコさんとの関係性を深めていくことができたこと、が大きいのだと思います。
ASD(自閉スペクトラム症)の一つの特徴として、他者との関わりよりも、おもちゃなどのものに意識が向きやすいということがあります。お子さんの発達段階や性格などにより個人差はありますが、ASD(自閉スペクトラム症)のお子さんの幼児期には、名前を呼んでも反応に乏しかったり、遊んでいる最中に声かけをしてもリアクションが返ってこなかったり、指示が入りにくかったり、といったご相談をしばしばいただきます。
言葉をたくさん聞かせてあげよう、コミュニケーションをたくさんとろう、と一生懸命関わられている親御さんにとって、このようなお子さんの状況は、とても寂しく悲しく感じられることもあるでしょうし、どのようにして一緒に遊んであげたらいいのだろう、と戸惑いを感じられることもあるかもしれません。「たかいたかい」やくすぐり遊びなどのふれあい遊びや、追いかけっこやキャッチボールなどの相手を意識する遊び、興味のあるおもちゃを介したやりとりなどは、自然な形で「人との関わりって楽しいな」と感じられるきっかけになりやすいです。
おもちゃで遊んでいる時には、お子さんの横からではなく、お子さんの視界に入る正面からそっと入っていって、実況中継のように声をかけてみるのもおすすめです。例えば、「◯◯くん、あかい電車を走らせてるね〜、ガタンゴトン」といったように、お子さんの世界に“寄り添う”かたちで言葉を届けてみてください。
これまで積み重ねてこられたご努力は、もしかするとすぐに目に見える形では表れないかもしれません。でも、お子さんにはきっと、親御さんの想いや声が少しずつ、ちゃんと届いています。どうか焦らず、あきらめず、お子さんの力と時間の流れを信じて、そっと寄り添ってあげてくださいね。その優しい関わりが、必ずお子さんの中で力になっていくと信じています。
サチコさんとマユユさんの関係が、これからもあたたかく育まれていくことを心より応援しています。

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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

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