今、30代になって思うこと

高校卒業後は大学を中退したり、通信制短大に進学・卒業、さらに就労移行支援や就労継続支援A型を利用して企業で事務の仕事をしたり、たくさんの経験をしました。現在は就労継続支援B型でイラストを描いたり、作曲ソフトで作曲をしています。

20代でさまざまな診断を受けて、ようやく自分の特性を理解できるようになりました。「NOが言えない」「おとなしすぎる」そんな特性も含めて、今は自分らしさだと受け入れられています。小学校での厳しい担任、中学での再度の不登校……当時はなぜ学校に行けないのか分からず、自分を責め続けていました。でも通信制高校で出会った温かい環境と理解ある先生方が、私に「自分らしい学び」があることを教えてくれたのです。

今後は自分らしい作品を生み出しながら、無理することなく一歩一歩前に進んでいけたらと思います。同じように学校に行くことに悩んでいるお子さんや保護者の方に、「学びの道はひとつじゃない」ということを伝えたいです。
イラスト/星あかり
エピソード参考/YOSHIMI

(監修:藤井先生より)
これまで歩まれてきた道のりに込められた思いやご努力がとても伝わってきました。居心地の悪さや不登校の経験は、大きな試練であったと思いますが、それでも通信制高校で居場所を見つけ、通い続けられたことは大きな意味のある経験だったのではないでしょうか。「学びは一つではない」という実体験は、同じように学校や将来について悩んでいる方にとって大きな励みになると思います。不登校を経ても、社会との関わりを模索し続けられた姿勢は本当に素晴らしいものです。これまでの試行錯誤の過程は決して無駄ではなく、今後の人生の確かな糧になっていくと思います。
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
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