【100均グッズで視覚支援】朝の「早くして!」から卒業!特性が違う3きょうだい、それぞれの「正解」を見つけるまで

ライター:かし りりあ
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かしりりあです。
発達に特性があるお子さんの場合、前もって予定を伝え、見通しを持つことで落ち着いて行動できることがありますよね。でも、実際お子さんにどう伝えればいいか苦労されている方も多いのではないでしょうか。
今回は、わが家で試行錯誤を重ねた、発達に特性がある3きょうだいへの「予定の伝え方」を紹介します。

監修者鈴木直光のアイコン
監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。 1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。

「朝のバトル」からの解放!私が「声を荒げる」のをやめたスケジュール術

わが家の朝はまさに時間との戦い、とてもバタバタしています。夫はだいたい朝早くに出勤しているため、きょうだいそれぞれの朝の支度、長男のバス停までの見送り、次男・三男の幼稚園登園準備など、そのほとんどを私が一人で担当しています。
きょうだいみんな自由!忙しいのは母だけなのです……
きょうだいみんな自由!忙しいのは母だけなのです……
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子どもたちが自発的に朝の準備に取り掛かることは、まずありません。「見通しの立てにくさ」や「注意の切り替えの困難さ」といった特性があるので、声をかけると取り組みますが、いろいろな誘惑に勝てず、途中で度々手が止まります。焦る気持ちから、つい手伝ったり、声を荒げたりしてしまうことも……。疲労感でいっぱいになる朝の時間を、なんとかしたいと思っていました。

良かれと思った工夫が裏目に!?三男の「感覚遊び」になってしまった悲劇

ひとつずつはがしていくと終わった達成感もあるようでした
ひとつずつはがしていくと終わった達成感もあるようでした
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そこで、まずは視覚的なサポートとして、子どもたちが通っている放課後等デイサービスや児童発達支援施設で使っている「面ファスナー式」のスケジュール表を自宅用につくることにしました。

事業所で使っているものと同じ様式をいただき、ラミネート加工した後に面ファスナーを貼りつけます。その項目が終わったらはがし、下のポケットに入れるという仕組みです。これをきょうだい3人分つくり、さっそく使ってみることにしました。

完成したスケジュール表を見せると次男は目をキラキラさせ、「つぎはーきがえー」などと予定を見ながら自分で身支度を整えられるようになりました。私も「これで一歩前進した」とホッとしましたが、残念ながらこのスケジュール表はわが家には合いませんでした。なぜかというと……
思いもよらなかったバトルが勃発してしまいました……
思いもよらなかったバトルが勃発してしまいました……
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三男おーの良い遊び道具となってしまったのです!面ファスナーの「びりびり」という音や触感が気に入ったようで、終わっていないのに次々とはがし続けます。また、きょうだいの分まではがしてしまい、嫌がる次男と嬉々としている三男の間に入るという思わぬトラブルが生まれてしまいました。

当時三男は児童発達支援施設に通い始めて間もなかったため、スケジュールをみてはがすという感覚が身についていなかったかもしれません。

「視覚優位」の次男に響いたホワイトボード活用

そこで新たなものを考えることにしました。この頃には、子どもたちも少しずつ成長し、私も要領がよくなってきたためか、朝慌てることも少なくなってきていました。子どもたちもだいぶ口頭指示でも動けるようになり、項目も細かくなくても大丈夫になっていました。特に次男かーの「ひらがなを読む力」が伸びていたことがヒントになり、お絵描き用に使っていたホワイトボードを活用することにしました。
ホワイトボードは現在も活用中です
ホワイトボードは現在も活用中です
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このホワイトボードに、きょうだいの予定、さらに父母の予定も書き込んで、家族全員で活用してみることにしたのです。

ホワイトボードは、特に視覚優位で見て覚える力が伸びていた次男かーには、絶大な効果を発揮しました。本人が予定を覚えることで、切り替えがスムーズになり、一日を通して安定して過ごせるようになったのです。

先ほどの面ファスナーのものとは違い、子どもたちが自分ではがす必要もないため、三男の手が届きにくい場所にかけられたのも、いたずら防止のポイントでした。

また、ひと目見ただけで家族全員の予定が把握できるため、夫も子どもたちの予定を見て「今日はSTがあるぞ」「今日はお休みなんだね」と確認できるようになり、私一人で予定を管理する負担が減り、少し心理的な余裕ができたのも大きな変化でした。

さらに、その日の夕食のメニューを書くことにすると「きょうは~はんばーぐ!」と喜んでくれるようになりました。

今でもホワイトボードは活用していて、夕方になると、かーは自分から「あした(予定)かいてください」とお願いしてくるようになり、使うようになって良かったと感じています。
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長男の「帰宅後の切り替え」にはコレ!三者三様の安心の形

一方、帰宅後の「活動の切り替えの困難さ」という課題が大きかった長男りーには、リビングに置くホワイトボードは不向きでした。そこで、今やるべきことだけに集中できるよう、特別支援学校で活用されている「手のひらサイズ」のタスクリストを試みることにしました。
特別支援学校で使っている「手のひらサイズ」のタスクリストを参考に
特別支援学校で使っている「手のひらサイズ」のタスクリストを参考に
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りーには、やることを一覧にした手のひらサイズのリストをつくり、渡しています。まだ完全に身についていませんが、渡すと一つひとつ指をさしながら確認はしているようなので、これからも続けていきたいと思っています。

私はこうしたツールをつくることが好きなので、いろいろつくってみては試しています。うまくいけばうれしいですし、うまくいかないときには何がいけなかったか、考えて新たな方法を試してみたくなります。今回のスケジュール表のように、子どもたちそれぞれの不安や課題に応じて、「安心できる形」を見つけられるように、これからもいろいろと試していきたいと思っています。このわが家の試行錯誤の経験が、皆さんのお子さんにとっての「安心できる形」を見つけるヒントになれば幸いです。
執筆/かしりりあ

(監修:鈴木先生より)
ASD(自閉スペクトラム症)のお子さんは視覚的認知力が高い傾向があることから、視覚に訴えるホワイトボードはいいアイデアだと思います。ホワイトボードに書いてある予定が終わったら、消していくかチェックするようにすると良いですね。その際、きょうだいで色を分ける工夫も行うと、より見やすくなるのではないでしょうか。ホワイトボードにはマグネット効果もあるので、渡すプリントなどがあればそのきょうだいと同じ色のマグネットで貼っておくという工夫もできます。学校の教科に関しても同じで、例えば算数は青、国語は緑などファイルを色別にしておけば整理がしやすくなります。

また、手のひらサイズのタスクリストは学校の机の上に貼ることでも応用が利きます。その日の時間割や行事などを時間ごとに書いて貼っておくと一日の見通しがつき、行動しやすくなります。ぜひいろいろとその子に合った方法でチャレンジしてみてください。
前の記事はこちら
https://h-navi.jp/column/article/35030825
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
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