飛行機好きの自閉症児、Aくんの場合

「かたろーぐ」を用いた療育の実例をご紹介しましょう。

自閉症の小Aくんは小学3年生。
乗り物の図鑑を見るのが好きでしたが、他の子との遊びにはあまり関心がありません。そこでA君に「かたろーぐ」をつかって他の子との関係作りを試みました。

このとき、Aくんは図鑑を拡げて大好きなジャンボジェットの写真を眺めている最中。
その場に行って、「Aくん、ちょっとゲームをしよう。この中で一番好きな飛行機から順番にこれ置いてみて」と順位を決めるマーカーを渡しました。

私には細かい違いまではわからないのですが、A君は迷いなくマーカーを置いていきます。彼の中にはハッキリとした好みの順位があるのです。

Aくんがマーカーを置き終えたら、他のお子さんを呼びました。
「Aくんが一番好きなジャンボジェットはどれか、一緒にあててみよう!」と伝えると、子どもたちは似たような機体が並んだ写真をみて「大体どれも同じにみえるけど・・・」と困惑気味です。

まず1位を予想しましたが、ハズレ。
Aくんに「どうしてこれが一番好きなの?」と聞いてみると「搭乗口の形がカッコいいから」という答え。
それを聞いた子どもたちは、「うわーそんなところ見るんだ」「言われてみればカッコいいかも・・・」など、思いおもいに反応します。

2位を当てようと、今度は搭乗口に注目して予想。ところがまたもやハズレ。
理由を聞かれると、今度は「尾翼がカッコいい」と答えました。子どもたちは「うわーそっちかー!」とみんな大爆笑。
Aくんは自分の好きなことを使って、友達の輪の中で一緒に楽しむ経験を積むことができました。


その後、これまで他の子にあまり関心のなかったAくんは、お友達の好みを当てる側になり、一生懸命考えてゲームに参加していました。自分の好みを当ててもらう楽しい経験が、他の子を理解する意欲に繋がったのでしょう。

他者への関心も、ゲームで養える

今回のAくんは、「理解してもらえて嬉しい!」という経験が、他者への関心を生むキッカケとなりました。

周囲の人に関心のないお子さんに、日常生活の中でこのような経験をしてもらうことは難しいかもしれません。

そんなときは、ゲームを通して学んでみてはいかがでしょうか。
「遊びのルール」としてコミュニケーションが組み込まれているので、お子さんにとって自然に取り組める練習機会となります。

特に「かたろーぐ」は、楽しみながら、他者に自分を理解してもらったり、自分が他者を理解する体験をしてもらうことができるのでおススメです。

このような経験の積み重ねが、やがて社会に出たときに必要となるコミュニケーションの基礎に繋がっていくのです。

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