学習障害(LD)の診断・検査の内容は?学習障害の特徴チェック

学習障害(LD)の診断・検査の内容は?学習障害の特徴チェックのタイトル画像

学習障害は知的発達に遅れがないため、気づかれにくい発達障害です。近年では、大人になってから学習障害と診断される人も増えています。学習障害の正しい診断を受けることで、その人にとって最適な環境が見つかりやすくなります。まずは学習障害の特性を知り、多く当てはまるようなら専門機関での検査を受けてみましょう。

発達障害のキホン
293570 View
監修: 井上 雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
応用行動分析学
自閉症支援士エキスパート
LITALICO研究所 客員研究員
目次 学習障害(LD)の主な症状は? 学習障害はいつ分かる?診断の年齢は? 医療機関での診断基準 学習障害に気づくためのチェックポイント 医療機関での診断は受けるべき?どこへ行けばいいの? 診断の流れ、必要な持ち物は? まとめ

学習障害(LD)の主な症状は?

文部科学省の定義によると、学習障害とは、全般的な知的発達に遅れがないものの、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」能力のうちいずれかまたは複数のものの習得・使用に著しい困難を示す発達障害のことです。英語ではLearning Disabilityと呼ばれ、LDと略されることも多いです。

また、医学的な分類では学習障害は主に
■読字障害(ディスレクシア)・・・読みの困難
■書字表出障害(ディスグラフィア)・・・書きの困難
■算数障害(ディスカリキュリア)・・・算数、推論の困難

の3つの種類に分けられます。

「読字障害」は読む能力に困難があり、文字が読めない、単語を理解できないという特徴があります。「書字表出障害」は書く能力に困難があり、文字を書く動作が困難、文字を書き写すのが苦手などの特徴があります。最後の「算数障害」は数字に関する能力に困難があり、物事を考え答えを導く推論の困難が特徴として挙げられます。

読字障害があると、結果的に書くことも難しくなるので読字障害は書字表出障害を合併している場合も多くあり、「読み書き障害」と呼ばれることもあります。また、この3つの症状の他にも、「話す能力」や「聞く能力」が低い場合もあります。学習障害の症状はひとりひとり異なり、障害の重さにも差があるため、発見するのに時間がかかる場合があります。

学習障害はいつ分かる?診断の年齢は?

学習障害(LD)の診断・検査の内容は?学習障害の特徴チェックの画像
Upload By 発達障害のキホン
学習障害は発達障害の中でも判断の難しい障害のひとつです。その理由は、学習障害には知的面の遅れがなく、日常生活で気づくことが少ないからです。

発見目安の確実な時期は分かっていませんが、本格的な学習に入る就学前までに気づくのは困難と言われています。未就学児の読み・書き・算数の困難は単なる年齢相応の「苦手」だという場合も考えられます。確実な検査・診断ができる年齢は特に決められていませんが、症状が特に現れやすい就学後に、何らかの学習面での困難が大きくなったときに検査を行うのが一般的です。

医療機関での診断基準

医療機関での診断は、アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)や世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)による診断基準によって診断されます。医療機関では脳の異常はないか、知的な部分に障害がないか、困難な能力に偏りがないかなどを調べ、総合的に判断します。

DSM-5の1つ古いバージョンであるDSM-IV-TRでは学習障害は「読字障害」「書字表出障害」「算数障害」の3つに分類され診断されていました。最新版であるDSM-5では、すべて「限局性学習症・限局性学習障害」とひとくくりにされ診断されます。以下がDSM-5における診断基準です。

A.学習や学業的技能の使用に困難があり、その困難を対象とした介入が提供されているにもかかわらず、以下の症状の少なくとも1つが存在し、少なくとも6ヶ月間持続していることで明らかになる:

(1)不的確または速度が遅く、努力を要する読字(例:単語を間違ってまたゆっくりとためらいがちに音読する、しばしば言葉を当てずっぽうに言う、言葉を発音することの困難さをもつ)
(2)読んでいるものの意味を理解することの困難さ(例:文章を正確に読む場合があるが、読んでいるもののつながり、関係、意味するもの、またはより深い意味を理解していないかもしれない)
(3)綴字の困難さ(例:母音や子因を付け加えたり、入れ忘れたり、置き換えたりするかもしれない)
(4)書字表出の困難さ(例:文章の中で複数の文法または句読点の間違いをする、段落のまとめ方が下手、思考の書字表出に明確さがない)
(5)数字の概念、数値、または計算を習得することの困難さ(例:数字、その大小、および関係の理解に乏しい、1桁の足し算を行うのに同級生がやるように数字的事実を思い浮かべるのではなく指を折って数える、算術計算の途中で迷ってしまい方法を変更するかもしれない)
(6) 数学的推論の困難さ(例:定量的問題を解くために、数学的概念、数学的事実、または数学的方法を適用することが非常に困難である)

B.欠陥のある学業的技能は、その人の暦年齢に期待されるよりも、著明にかつ定量的に低く、学業または職業遂行能力、または日常生活活動に意味のある障害を引き起こしており、個別施行の標準化された到達尺度および総合的な臨床消化で確認されている。17歳以上の人においては、確認された学習困難の経歴は標準化された評価の代わりにしてよいかもしれない。

C.学習困難は学齢期に始まるが、欠陥のある学業的技能に対する要求が、その人の限られた能力を超えるまでは完全には明らかにはならないかもしれない(例:時間制限のある試験、厳しい締め切り期間内に長く複雑な報告書を読んだり書いたりすること、過度に思い学業的負荷)。

D.学習困難は知的能力障害群、非矯正視力または聴力、他の精神または精神疾患、心理社会的逆境、学業的指導に用いる言語の習熟度不足、または不適切な教育的指導によってはうまく説明されない。

(日本精神神経学会/監修『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』2014年 医学書院/刊 p.65より引用)

出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4260019074
これらの判断基準をもとに複数の検査・行動観察を行い慎重に評価してくれます。その結果「読字の障害」「書字表出の障害」「算数の障害」のうち、どの特性が強いかが特定されます。

315.00(F81.0) 読字の障害を伴う:
  読字の正確さ
  読字の速度または流暢性
  読解力
  
315.2(F81.81) 書字表出の障害を伴う:
  綴字の困難さ
  文法と句読点の正確さ
  書字表出の明確さまたは構成力

315.1(F81.2) 算数の障害を伴う:
  数の感覚
  数学的事実の記憶
  計算の正確さまたは流暢性
  数学的数理の正確さ

(日本精神神経学会/監修『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』2014年 医学書院/刊 p.66より引用)

出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4260019074

学習障害に気づくためのチェックポイント

学習障害には共通の特徴が多く見られることがあります。
もし以下の「読字障害」「書字表出障害」「算数障害」別のチェック項目が多く当てはまる場合、学習障害の可能性も考えられます。気になることがあれば、専門機関への相談をおすすめします。診断を受けたい場合は専門機関で紹介してもらい、専門医を受診してください。あくまで参考程度のチェックリストなので、自己判断はしないようにしましょう。

■読字障害
□漢字の訓読みと音読みを使い分けるのを苦手とするように見受けられる。
□単語の単位をつかむのを苦手とする。一文字ずつ読んでしまい、まとまりのない読み方をすることが多い。
□文字や行を飛ばして読むことが多い。
□特殊音節(拗音・長音・促音)であらわされる文字を発音できない。 など

■書字障害
□漢字を書く際に、鏡文字を書くことが多い。
□文字を書く際に、余分に線や点を書いてしまうことが多い。
□年相応の漢字を書くことができないことが多い。
□間違った助詞を使ってしまうことが多い。
□文字の大きさや形がバラバラ・マス目からはみ出る。 など

■読字・書字障害の合併(読み書き障害)
□上記の読字・書字障害のチェック項目に当てはまるものが多い
□ひらがなの読み書きを苦手とする。例えば「ね」「れ」「わ」が一緒に見えてしまうように見受けられる。
□カタカナの読み書きを苦手とする。例えば「ソ」「ン」、「シ」「ツ」が一緒に見えてしまうように見受けられる。
□特殊音節(拗音・長音・促音)の読み書きを苦手とすることが多い。 など

■算数障害
□数を覚えるのに時間がかかることが多い。
□数の大小の概念を理解できていないように見受けられる。
□九九を習得している年齢なのにも関わらず、九九を覚えられていない。九九を暗記しても計算に応用できない。
□繰り上がり繰り下がりの筆算ができないことが多い。 など

医療機関での診断は受けるべき?どこへ行けばいいの?

当サイトに掲載されている情報、及びこの情報を用いて行う利用者の行動や判断につきまして、正確性、完全性、有益性、適合性、その他一切について責任を負うものではありません。また、掲載されている感想やご意見等に関しましても個々人のものとなり、全ての方にあてはまるものではありません。
あわせて読みたい関連記事

あわせて読みたい関連記事

発達障害のキホンを知る

発達障害のキホンを知る

この記事を書いた人

発達障害のキホン さんが書いた記事

PTSD(心的外傷後ストレス障害)とは?原因、症状、治療、PTSDに似た発達障害の症状まで解説のタイトル画像

PTSD(心的外傷後ストレス障害)とは?原因、症状、治療、PTSDに似た発達障害の症状まで解説

PTSDは、つらいできごとがトラウマとなり、さまざまな症状を発症する疾患です。発症すると、そのできごとに関わる人・場所を過度に避けたり、考...
発達障害のこと
255857 view
2018/12/09 更新
子どもの癇癪(かんしゃく)とは?原因、発達障害との関連、癇癪を起こす前の対策と対処法、相談先まとめのタイトル画像

子どもの癇癪(かんしゃく)とは?原因、発達障害との関連、癇癪を起こす前の対策と対処法、相談先まとめ

大声で泣き叫んだり、暴れたりする子どもに困っている…。一旦気持ちが爆発するとなかなか収まらない癇癪ですが、子どもが癇癪を起こす背景には必ず...
発達障害のこと
662908 view
2018/12/07 更新
難病の軽症高額該当で、医療費助成の対象外でも支援が受けられる?制度該当条件などを詳しく解説します!のタイトル画像

難病の軽症高額該当で、医療費助成の対象外でも支援が受けられる?制度該当条件などを詳しく解説します!

難病法には重症度基準が設けられ、病状の程度が一定以上の人は、医療費助成の対象となります。しかし、指定難病の診断を受けていても、治療により症...
身のまわりのこと
4475 view
2018/12/04 更新
放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

コラムに対する投稿内容については、株式会社LITALICOがその内容を保証し、また特定の施設、商品及びサービスの利用を推奨するものではありません。投稿された情報の利用により生じた損害について株式会社LITALICOは一切責任を負いません。コラムに対する投稿内容は、投稿者の主観によるもので、株式会社LITALICOの見解を示すものではありません。あくまで参考情報として利用してください。また、虚偽・誇張を用いたいわゆる「やらせ」投稿を固く禁じます。「やらせ」は発見次第厳重に対処します。