7. 合理的配慮をおこなう行政機関・事業者の義務や罰則

「障害者差別解消法」において、合理的配慮をおこなうことが求められている行政機関・事業者の義務や罰則は、どのように定められているのでしょうか。

行政機関と民間事業者の義務の違い

まず第一に、障害があることを理由として入店や入社を断るなど、「不当な差別的取り扱い」は、行政機関・民間事業者を問わず、法的に禁止されています。一方、「合理的配慮」の提供に関しては、国や地方の行政機関は法的義務、民間事業者は努力義務となっている点が異なります。
行政機関と民間事業者の義務の違い
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注1) このため、学校教育現場における児童生徒に対する合理的配慮は、公立学校であれば法的義務となるものの、私立学校であれば努力義務にとどまります。

注2) 民間事業者についても注意が必要です。サービス利用者に対しての合理的配慮は努力義務であるものの、みずからが雇用した労働者に対しての合理的配慮は法的義務となることが、厚生労働省の指針にて定められています。(改正障害者雇用促進法に基づく障害者差別禁止・合理的配慮 に関する Q&A p.7, A1-2)

8. 合理的配慮を実現するための合意形成プロセス

これまで見てきた通り、具体的な合理的配慮の内容は、配慮を必要とする本人と周りの人々や環境との関係によって多種多様です。お互いを尊重した対話と合意形成を進めていくことが何より大切です。
合理的配慮を実現するための合意形成プロセス
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具体的には、以下の4つのポイントを意識しながら合理的配慮を実施すると良いでしょう。

 ①本人や保護者・介助者から、必要な配慮に関する意思表明をすること
 ②学校や企業、行政などがどんな配慮ができるか検討し、本人と話し合うこと
 ③どんな場面でどんな配慮ができるか、お互いに合意したうえで実施すること
 ④配慮を実施したあとも、定期的にその内容や程度について見直し・改善をすること


「配慮」という言葉だけを聞くと、ついつい「してもらうもの」、「してあげるもの」というイメージを抱きがちです。ところが、「合理的配慮」の原語である、Reasonable Accommodation(リーズナブルアコモデーション)には「調整・便宜」という意味合いがあるのです。障害のある方と周りの方々、「お互いにとって」過ごしやすい環境を作るにはどうすれば良いか?という発想を持って対話を進めると良いでしょう。

9. 教育における合理的配慮

教育現場における合理的配慮としては、学校等の教育機関は、以下の3つの観点、11の項目に留意して合理的配慮を進めていくことが求められています。

合理的配慮の観点(1)教育内容・方法
 (1)–1 教育内容
  (1)–1-1 学習上又は生活上の困難を改善・克服するための配慮
  (1)–1-2 学習内容の変更・調整
 (1)–2 教育方法
  (1)-2–1 情報・コミュニケーション及び教材の配慮
  (1)-2–2 学習機会や体験の確保
  (1)–2–3 心理面・健康面の配慮

合理的配慮の観点(2)支援体制
 (2)–1 専門性のある指導体制の整備
 (2)–2 幼児児童生徒、教職員、保護者、地域の理解啓発を図るための配慮
 (2)-3 災害時の支援体制の整備

合理的配慮の観点(3)施設・整備
 (3)-1 校内環境のバリアフリー化
 (3)-2 発達、障害の状態及び特性等に応じた指導ができる施設・設備の配慮
 (3)-3 災害時等への対応に必要な施設・設備の配慮

実際に合理的配慮を進めていくに当たっては、子どもの意思や願いを尊重しつつも、子ども自身による意思表示が難しいことも多いため、保護者の方々が学校と相談をしていくことが大切です。また、学校側では、特別支援教育コーディネーターと呼ばれる職員が中核となり、その子どもの学級担任や、学年主任・教頭・校長といった管理職も巻き込みながら、「校内委員会」を開いて、合理的配慮の内容や方法について話し合うことが推奨されています。

ご家庭と学校の側で合意した合理的配慮の内容については、個別の指導計画などの文書に記載し、いつでもお互いが確認や見直しができるように共有すると良いでしょう。
次ページ「10. 就労における合理的配慮」


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