合理的配慮とは?考え方と具体例、障害者・事業者の権利・義務関係、合意形成プロセスについて

2016/03/18 更新
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2016年4月施行の「障害者差別解消法」により、一人ひとりの困りごとに合わせた「合理的配慮」の提供が行政・事業者に義務化されます。この記事では、合理的配慮の定義や考え方、具体的な事例を確認しつつ、障害のある方と周りの方々がどのように対話・協力をしていくべきかについてもご説明します。

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目次

1. みんな違って当たり前?

人はひとりひとり違った個性を持っています。どんな人々も個性を尊重され、過ごしやすい世の中になれば理想ですが、特定の個性や心身の症状を持っている人にとって生きづらい状況がまだまだ残っているのが社会の現状です。

そんな現状を変えていくために重要なのが、「合理的配慮」という考え方です。たとえ障害のある方であっても、適切な配慮を受けることができれば、自分の力をより発揮しやすくなり、日常生活や社会生活を営むことが出来るようになります。

日本で2016年4月1日から施行される「障害者差別解消法」によって義務付けが進む「合理的配慮」、その考え方と具体例、進め方を確認していきましょう

2. 合理的配慮とは?

合理的配慮とは、障害のある人が障害のない人と平等に人権を享受し行使できるよう、一人ひとりの特徴や場面に応じて発生する障害・困難さを取り除くための、個別の調整や変更のことです。

2016年4月1日に施行される「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(通称、「障害者差別解消法」)により、行政機関や事業者には、障害のある人に対する合理的配慮を可能な限り提供することが求められるようになりました。

合理的配慮のわかりやすい具体例としては、以下のような手立てが挙げられます。
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これらは一例に過ぎず、障害のある方ご本人の心身の特徴や、目的や場面、その人を取り巻く環境によって、必要になる合理的配慮の内容や程度は異なってきます。また、配慮を行う行政機関や事業者の側にも人的・技術的・金銭的資源の限界があるため、過度な負担でない実現可能な配慮を検討していく必要があります。

そのため、障害のある方の権利や意思を尊重しながら、具体的にどんな合理的配慮が必要かつ実現可能か、ご本人と周りの人たちが対話をしながら決めていくことが大切です。

3. 合理的配慮普及の背景

そもそも、どうして「合理的配慮」という言葉が日本でよく聞かれ、議論されるようになったのでしょうか。ここでは、障害のある方の権利を巡る国際的な潮流と、日本での法律制定の過程を中心に、「合理的配慮」という概念の背景を確認していきます。

「障害者権利条約」の制定と批准

合理的配慮の提供義務を定めた「障害者差別解消法」が施行された背景には、2006年に国連総会で採択された、「障害者の権利に関する条約」(通称、「障害者権利条約」)という国際条約がありました。この条約は、第2条において、「障害に基づく差別」を次のように定義しています。

“「障害に基づく差別」とは、障害に基づくあらゆる区別、排除又は制限であって、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のあらゆる分野において、他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を認識し、享有し、又は行使することを害し、又は妨げる目的又は効果を有するものをいう。障害に基づく差別には、あらゆる形態の差別(合理的配慮の否定を含む。)を含む。”(障害者権利条約 第2条)

出典:http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinken/index_shogaisha.html
ここで「合理的配慮の否定」も「障害に基づく差別」であると定義されていることがポイントです。つまり、「障害のある人に必要な配慮を、出来るのにやらないことは、差別だ」ということが明確に示されたわけです。

 国際条約である「障害者権利条約」をそれぞれの国が締結するためには、ここで宣言されている「障害に基づく差別」を禁止するための適当な措置が取られるよう、国内法を整備する必要があります。日本は、2004年と2011年の「障害者基本法」の改正を経て、2013年に「障害者差別解消法」を制定しました。これにより、合理的配慮の提供義務を含めた、障害のある方の権利を保障するための国内法の整備が完了し、2014年に「障害者権利条約」を批准することとなったのです。

 「障害者権利条約」の批准国となった日本は、障害のある方が差別されず平等に生きている社会をつくっていく責任を負っています。そのための重要な手段の1つが、合理的配慮なのです。

「私たちを抜きに、私たちのことを決めないで」

障害者権利条約が制定されるまでの過程では、障害のある当事者の方々の運動が推進力となりました。その時に合言葉として掲げられていたのが、“Nothing About Us Without Us”~「私たちを抜きに、私たちのことを決めないで」という言葉です。

ただ単に弱者として保護され、障害のない人達から自分たちの人生を決められるのではなく、自分の生き方を主体的に選び実現していきたい。そんな、障害のある当事者の方々の願いを象徴する言葉です。

合理的配慮を実行する過程でも、配慮を必要とする本人の意思表明が重要だとされています。障害のある人も、一人の市民として当たり前に自分たちの人生を選んでいく権利がある。こうした大前提を踏まえて、合理的配慮を考えていくべきでしょう。

4. 対象である「障害者」とは誰を指すか?

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