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「遊んでいるだけ」に見える、その時間に。

kids space リフライズ代表の山口です。 ありがたいことに、リフライズには毎日たくさんの子どもたちが通ってくれています。 そんな中で時々 「リフライズって普段どんな支援をしているんですか?」 と聞かれることがあります。 学校に行かなかった子が学校に行けるようになったりすると 「何か特別な訓練をしているんですか?」 と聞かれることもあります。 でも、こういう質問をされると、いつも少し答えるのが難しいなと思います。 ゲームもします。 工作もします。 外出もします。 子どもたち同士で遊んでいることもあります。 それだけを見れば、普通に遊んでいるようにしか見えないかもしれません。 でも私たちは、その「遊んでいる時間」を結構大切にしています。 以前から何度か似たようなことを書いていますが、今日はそのことについて少し書いてみようと思います。 支援をしていると 「社会に出たら(大人になったら)困るから、今のうちにできるようにしておかないと」 という言葉を聞くことがあります。 時間を守る。 言葉遣いを直す。 嫌なことでも我慢してやる。 人とうまく関わる。 もちろん、どれも社会に出れば必要になることだと思います。 私たちも子どもたちの将来を考えていないわけではありません。 むしろ考えています。 この子が学校を卒業したあと、どうやって生活していくんだろう。 そのために今、何が必要なんだろう。 そういうことはよく考えます。 ただ 「将来必要だから、今できるようにする」 これがいつでも正解なのかというと、私はそうではないと思っています。 例えば、学校に行けなくなった子がいたとします。 家で過ごすことが多くなって、人と関わることも減っている。 そんな子がリフライズには来ることができた。 来たらゲームをしている。 スタッフと少し話して、またゲームをして帰る。 次の日も来て、またゲームをしている。 これだけ見たら 「遊びに来ているだけじゃん」 と思う人もいるかもしれません。 でも、その子にとって家から出ることは、本当に簡単なことだったんでしょうか。 家族以外の人がいる場所で何時間か過ごすことは、当たり前にできていたんでしょうか。 そして 「明日も行こうかな」 と思えたことは、本当に何でもないことなんでしょうか。 私はそうは思いません。 最初は一人でゲームをしていた。 しばらくするとスタッフとゲームの話をするようになった。 そのうち他の子がやっているゲームが気になってきた。 ある日、自分から 「一緒にやろう」 と言った。 そんなことがあります。 ゲームに負けて腹が立つこともあります。 順番でもめることもあります。 友達と言い合いになることだってあります。 でも、次の日また来る。 これって結構大事なことだと思うんですよね。 ようやく「ここなら行ける」と思える場所ができた子に支援者、大人たちが 次はこれをできるようにしよう。 今度はこれを直そう。 言葉遣いも直そう。 嫌なことにも取り組めるようにしよう。 社会に出たら困るから。 そうやって大人が次々に課題を用意して 結果、その子がまた来られなくなった。 それで本当に良かったんでしょうか。 将来困らないようにと思って始めた支援が、今その子を困らせていないか。 ここは、私たち支援者が気をつけないといけないところだと思っています。 リフライズではゲームをすることもあります。 私は昔から、ゲームも一つの手段にすぎないと言っています。 工作でも、スポーツでも、外出でも同じです。 何をしているかより その時間の中で、その子に何が起きているのか。 私たちが見ないといけないのは、そこだと思っています。 一緒にゲームをしたいから人を誘った。 分からないから聞いた。 逆に、自分が知っていることを誰かに教えた。 負けて悔しかった。 友達と意見が合わなかった。 でも、少ししてまた一緒に遊んでいた。 普段あまり自分から話さない子が、好きなゲームのことならずっと話していることもあります。 いつも誰かに教えてもらうことが多い子が、ゲームになると他の子に教えていることもあります。 そういう姿を見ることがあります。 だからといって、そこでスタッフが 「今のはコミュニケーションの練習だよ」 なんて言う必要はないと思っています。 本人は 「今日も楽しかった」 でいいんです。 また行きたい。 明日も行こう。 それでいい日もあると思っています。 ただ、私たち支援者は「楽しかったね」で終わってはいけない。 前なら一人でやっていたのに、今日は自分から誘ったな。 前なら嫌なことがあったら帰っていたのに、今日は少し離れてから戻ってきたな。 前ならスタッフが決めていたのに、今日は自分で決めたな。 そういう小さな変化をちゃんと見ておく。 必要なら少し手伝う。 子ども同士でできそうなら、少し離れてみる。 うまくいかなかったら、また関わり方を考える。 私は、そういうことが私たちの仕事だと思っています。 そして、大人が気づいた成長を、全部本人に伝える必要もないと思っています。 もちろん、一緒に喜ぶこともあります。 でも 「できたね」 「成長したね」 「これは○○の練習なんだよ」 と、楽しい時間の全部に大人が意味をつけなくてもいい。 支援者がその時間の意味を分かっていることと、本人にその意味を背負わせることは別だと思います。 本人も気づかないうちに少し大きくなっている。 それを私たちが気づいて、そっと見ている。 それでいいこともあると思います。 もちろん、好きなことだけしていればいいという話ではありません。 人を傷つけることがあれば止めます。 みんなで過ごすために必要なことは伝えます。 必要であれば、苦手なことに挑戦することもあります。 ただ、そのときに 「社会に出たら困るから」 だけで終わらせない。 なぜ難しいんだろう。 どうしたらできるんだろう。 本人は何に困っているんだろう。 助けがあればできることなんだろうか。 そもそも、今この子ができるようになる必要があることなんだろうか。 そこまで考えたいと思っています。 社会に出て生きていくということは、何でも一人でできるようになることではありません。 苦手なことは苦手でもいい。 自分に合ったやり方を見つける。 困ったら誰かに頼る。 失敗したら、またやってみる。 そういうことも、社会で生きていくためには大切なことだと思います。 安心できるから、少しやってみようと思える。 失敗してもまた来られるから、もう一度やってみようと思える。 楽しいから続けられる。 続けているうちに、いろんな経験をする。 そしてある日 「あれ、この子こんなことできるようになってたんだ」 と気づく。 こういうことを書くと、 「理想論では?」 と思う支援者の方もいるかもしれません。 現場ではそんなにうまくいかない。 そんな支援ができれば理想だけど、実際は難しい。 そう思われることもあると思います。 それも分かります。 子どもたちは一人ひとり違いますし、毎日うまくいくわけでもありません。 私たちだって、関わり方を間違えることはあります。 そのたびに考え直します。 ただ、ここに書いていることは 「いつかこんな支援ができたらいいですね」 という話ではありません。 kids space リフライズでは、普段からこういう支援をしています。 特別な訓練をしているわけではありません。 子どもの様子を見て、考えて、必要なら関わる。 必要なければ少し離れる。 うまくいかなければ、また考える。 その繰り返しです。 何をさせたかではなく、 その時間の中で、その子に何が起きていたのか。 そこを見る。 「社会に出たら困るから」 そう思ったときほど、一度目の前の子どもを見る。 今、この子は何に困っているんだろう。 今、この子に必要なのは何なんだろう。 私は、そこから考える支援を大切にしたいと思っています。 子どもたちの将来を考えるからこそ、 「今日もここに来てよかった」 と思える時間を大切にする。 これからも、そんなkids space リフライズでありたいと思います。

【広島県指定事業所】kids space リフライズ府中/「遊んでいるだけ」に見える、その時間に。
代表のひとりごと
26/09/14 07:37 公開
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