Kids spaceリフライズの山口です。
リフライズを開設してまもなく8年が経ちます。
開設当初から、私たちが根底で大切にしている理念がいくつかあります。
今回は日々子どもたちと向き合ってくださっている保護者の皆様へ、改めてその中の一つについて少しお伝えしようと思います。
今回は「アンダーマイニング効果」について触れてみます。
聞き慣れない言葉かもしれませんが、一言でいうと「自発的に楽しんでやっていたことに『報酬』を与えられると、目的が『報酬をもらうこと』にすり替わり、報酬がないとやらなくなってしまう現象」を指します。
わかりやすい例を挙げてみましょう。
ある子どもが、自発的に宿題に取り組んでいました。
ところがある日、「宿題が終わったらお菓子がもらえる(うまくできないともらえない)」というルールができました。
すると、あんなに進んでやっていた宿題が「お菓子をもらうための作業」になってしまい、ただこなすだけになり、次第に自発的にはやらなくなってしまった……という例です。
人間のやる気には「外発的動機づけ」と「内発的動機づけ」があります。
宿題をやらないと叱られるからやる、ご褒美がもらえるからやる、といった外側からの刺激が「外発的動機づけ」。
一方で、「自分がやりたい!」「知りたい!」という自分の内側から湧き上がる探究心が「内発的動機づけ」であり、こちらは非常に強いパワーを持っています。
ここで誤解していただきたくないのは、「勉強自体が悪い」と言っているわけではありません。学ぶことは本来、子どもにとって楽しいことです。
特に、発達に特性のあるお子さんの場合、「人からやらされるタスク(外発的動機)」に対して強い抵抗感を示したり、自分の中で意味や納得感を見出せないと全く動けなかったりすることがよくあります。
しかし逆に言えば、自分の「好き」や「やりたい」という内発的な動きが始まった時の集中力やエネルギーには、目を見張るものがあります。彼ら・彼女らこそ、この「内発的動機づけ」がないと前に進むのが難しい側面があり、同時に、それが最大の武器にもなるのです。
日常でやりがちな無意識のコントロールというのも存在します。
理論としては分かっていても、現実の育児の現場ではどうでしょうか。
例えば、言うことを聞いてくれない子どもに対して、ついこんな言葉を使っていませんか?
「宿題を終わらせないと、遊んだらダメ!」
「あと〇分待たないと、もうおもちゃ使わせないよ!」
「〇〇をやらなかったから、今日のお出かけは無しね!」
親御さんも毎日休むことなく子育てをされている感情のある人間ですから、日々の忙しさや余裕のなさから、つい言ってしまいがちです。私自身もそのお気持ちはよく分かります。ですから、これを「絶対に言ってはいけない」とゼロにするのは非常に困難です。
しかし、日常的にこのアプローチを使ってしまうとどうなるでしょうか。
特に「宿題をしないと遊べない」という条件付けは、子どもにとって宿題を『遊びの権利を得るために耐えなければならない苦痛な作業(罰)』にしてしまいます。
子どもには無意識のうちに、そうした小さな「罰(ペナルティ)」が累積されていきます。すると子どもは「怒られないためにやる」「罰を回避するために言うことを聞く」ようになります。
これこそがまさに「外発的動機づけ」であり、これを繰り返すことで、子どもが本来持っている「自ら動こうとする力(内発的な動機)」の芽を摘み取ってしまうことがあるのです。
だからこそ、リフライズではこの「内発的動機づけ」を削いでしまうようなアプローチを避け、子どもたちが自ら動くる力を育むために、以下の3つの環境づくりを徹底しています。
「やらされるタスク」ではなく、「本人の興味」を出発点にする
大人の都合で宿題や課題を「強制」しても、それは外発的な動機にすぎません。私たちは、子どもが今何に興味を持っているのか、どんな活動なら目が輝くのかを観察し、その「やりたい!」というタイミングを見逃さずに発達のサポートへと繋げていきます。
「モノ(ご褒美)」ではなく、「プロセス(過程)」に価値を置く
「〇点取ったらお菓子」といった条件付きの報酬は、目的が「モノ」にすり替わってしまいます(アンダーマイニング効果)。私たちが大切にしているのは、子どもが試行錯誤するプロセスそのものを承認することです。「自分で考えてできた!」「新しいことがわかった!」という内側から湧き出る達成感こそが、次に向かう最大の原動力になります。
結果に左右されない「絶対的な安心感(心理的安全性)」を得られる場所にする
「上手くできた時は優しく、ダメな時は厳しい」という大人の対応は、子どもにとって評価という名の「報酬と罰」になります。私たちリフライズでは、活動の結果によって態度を変えません。失敗しても評価が下がらない、ありのままを受け入れてもらえるという安心感があって初めて、子どもは自発的に「もう一回挑戦してみよう」と動くことができるからです。
リフライズが、そして子どもたちの成長に携わる大人が追求すべき本質的な役割は、子どもたちを大人の都合のいい枠にはめて「アメとムチ」で無理やり動かすことではありません。
子どもたち一人ひとりの中にある「内発的な動機づけ(=やりたい気持ち)」の原動力を見出し、それが自然と大きく育っていくようにアプローチすることです。
「やらされる」から「自ら動く」へ。
保護者の皆様と共に、子どもたちの内側から湧き出るエネルギーを大切に育てていく環境を、これからも一緒に作っていければと思います。
今回の写真ですが、今からちょうど8年前にリフライズ開設前に撮影した写真です。
どうやったらよく撮れるかなあと試行錯誤していたことを思い出します。
kids space リフライズ
代表 山口
リフライズを開設してまもなく8年が経ちます。
開設当初から、私たちが根底で大切にしている理念がいくつかあります。
今回は日々子どもたちと向き合ってくださっている保護者の皆様へ、改めてその中の一つについて少しお伝えしようと思います。
今回は「アンダーマイニング効果」について触れてみます。
聞き慣れない言葉かもしれませんが、一言でいうと「自発的に楽しんでやっていたことに『報酬』を与えられると、目的が『報酬をもらうこと』にすり替わり、報酬がないとやらなくなってしまう現象」を指します。
わかりやすい例を挙げてみましょう。
ある子どもが、自発的に宿題に取り組んでいました。
ところがある日、「宿題が終わったらお菓子がもらえる(うまくできないともらえない)」というルールができました。
すると、あんなに進んでやっていた宿題が「お菓子をもらうための作業」になってしまい、ただこなすだけになり、次第に自発的にはやらなくなってしまった……という例です。
人間のやる気には「外発的動機づけ」と「内発的動機づけ」があります。
宿題をやらないと叱られるからやる、ご褒美がもらえるからやる、といった外側からの刺激が「外発的動機づけ」。
一方で、「自分がやりたい!」「知りたい!」という自分の内側から湧き上がる探究心が「内発的動機づけ」であり、こちらは非常に強いパワーを持っています。
ここで誤解していただきたくないのは、「勉強自体が悪い」と言っているわけではありません。学ぶことは本来、子どもにとって楽しいことです。
特に、発達に特性のあるお子さんの場合、「人からやらされるタスク(外発的動機)」に対して強い抵抗感を示したり、自分の中で意味や納得感を見出せないと全く動けなかったりすることがよくあります。
しかし逆に言えば、自分の「好き」や「やりたい」という内発的な動きが始まった時の集中力やエネルギーには、目を見張るものがあります。彼ら・彼女らこそ、この「内発的動機づけ」がないと前に進むのが難しい側面があり、同時に、それが最大の武器にもなるのです。
日常でやりがちな無意識のコントロールというのも存在します。
理論としては分かっていても、現実の育児の現場ではどうでしょうか。
例えば、言うことを聞いてくれない子どもに対して、ついこんな言葉を使っていませんか?
「宿題を終わらせないと、遊んだらダメ!」
「あと〇分待たないと、もうおもちゃ使わせないよ!」
「〇〇をやらなかったから、今日のお出かけは無しね!」
親御さんも毎日休むことなく子育てをされている感情のある人間ですから、日々の忙しさや余裕のなさから、つい言ってしまいがちです。私自身もそのお気持ちはよく分かります。ですから、これを「絶対に言ってはいけない」とゼロにするのは非常に困難です。
しかし、日常的にこのアプローチを使ってしまうとどうなるでしょうか。
特に「宿題をしないと遊べない」という条件付けは、子どもにとって宿題を『遊びの権利を得るために耐えなければならない苦痛な作業(罰)』にしてしまいます。
子どもには無意識のうちに、そうした小さな「罰(ペナルティ)」が累積されていきます。すると子どもは「怒られないためにやる」「罰を回避するために言うことを聞く」ようになります。
これこそがまさに「外発的動機づけ」であり、これを繰り返すことで、子どもが本来持っている「自ら動こうとする力(内発的な動機)」の芽を摘み取ってしまうことがあるのです。
だからこそ、リフライズではこの「内発的動機づけ」を削いでしまうようなアプローチを避け、子どもたちが自ら動くる力を育むために、以下の3つの環境づくりを徹底しています。
「やらされるタスク」ではなく、「本人の興味」を出発点にする
大人の都合で宿題や課題を「強制」しても、それは外発的な動機にすぎません。私たちは、子どもが今何に興味を持っているのか、どんな活動なら目が輝くのかを観察し、その「やりたい!」というタイミングを見逃さずに発達のサポートへと繋げていきます。
「モノ(ご褒美)」ではなく、「プロセス(過程)」に価値を置く
「〇点取ったらお菓子」といった条件付きの報酬は、目的が「モノ」にすり替わってしまいます(アンダーマイニング効果)。私たちが大切にしているのは、子どもが試行錯誤するプロセスそのものを承認することです。「自分で考えてできた!」「新しいことがわかった!」という内側から湧き出る達成感こそが、次に向かう最大の原動力になります。
結果に左右されない「絶対的な安心感(心理的安全性)」を得られる場所にする
「上手くできた時は優しく、ダメな時は厳しい」という大人の対応は、子どもにとって評価という名の「報酬と罰」になります。私たちリフライズでは、活動の結果によって態度を変えません。失敗しても評価が下がらない、ありのままを受け入れてもらえるという安心感があって初めて、子どもは自発的に「もう一回挑戦してみよう」と動くことができるからです。
リフライズが、そして子どもたちの成長に携わる大人が追求すべき本質的な役割は、子どもたちを大人の都合のいい枠にはめて「アメとムチ」で無理やり動かすことではありません。
子どもたち一人ひとりの中にある「内発的な動機づけ(=やりたい気持ち)」の原動力を見出し、それが自然と大きく育っていくようにアプローチすることです。
「やらされる」から「自ら動く」へ。
保護者の皆様と共に、子どもたちの内側から湧き出るエネルギーを大切に育てていく環境を、これからも一緒に作っていければと思います。
今回の写真ですが、今からちょうど8年前にリフライズ開設前に撮影した写真です。
どうやったらよく撮れるかなあと試行錯誤していたことを思い出します。
kids space リフライズ
代表 山口