・その療育が効果があるか(あったか)どうか、 そのことによるマイナスの結果がないか(なかったか)どうかは、事業所のスタッフの主観や、事業所での子どもたちの表面的な表情や行動で評価するのではなく、家庭や学校でのお子さんの表情や行動と保護者の方の受け止め、そして、お子さん自身の思い、さらに、お子さんの発達状態や内面(心)について、心理検査等による客観的評価などを合わせて、 総合的に行う必要があるように思います。
・発達障害などの障害を持っているお子さん、そして、マルトリートメント(不適切な環境、養育)で育ったお子さんは、 障害を持たないお子さんに比べると、周りの環境の影響を受けやすいと考えられます。
周りの環境とは、家庭、保育園、幼稚園、学校、児童デイ・放デイなどです。
・以前、僕が勤務していた児童デイでは、【生きる力】 【社会で生きていく力】を育てることを療育の大きな目標にしていました。
・【生きる力】 【社会で生きていく力】とは、 様々な知識、技術の習得や、能力の獲得であったりしますが、 それ以上に大切だと思うのは、
・人との関わりや社会の中で、自分が自分らしく行動でき、自分の行動可能性を拓いていける力や方法です。
・自分が愛されているという実感、自分のことを大切に思ってくれる人がいて、その人に自分の心を委ねられる安心感です。
・自分のことを大切に思える心です。
・今はうまく行かなくても、このことが全てではなく、また、自分だけが辛いのではなく、誰でもそういうことがあり、頑張って生きていればそのうち何かいいことがあるかもしれないと思える心です。
・「あの人は、たとえどんなことがあっても、自分を守ってくれる」という安心感、信頼感です。
・そして、知識やテクニックではなく、人の存在、そして、関り方が、子ども達のこういった心や行動を育てるのだと、僕は思っています。
・大人が、その子の心の中に住めるかどうかだと思います。
・子どもが、自分に関わってくれる大人のことを好きになってくれないと、また、信頼してくれないと、その大人がいくら色々なことを教えようとして関わっても、その場ではその行動をやって見せても、それは一時的なものに過ぎないことが多いです。身に付きません。
・時間がかかりますが、まず、その子との信頼関係を作り、その子の心の中に指導する側が住めるように努力することが必要です。
・大人が子どもの心の中に住むようになり、子どもがその大人とのやりとりを喜ぶようになり、「その人のようになりたい」と思い、また、「その人に褒められたい」という気持ちが強まっていけば、子どもは、その大人の言葉や仕種、行動、そして気持ちや考えなどを模倣しようとします。
・その人の話を一生懸命聞こうとし、その人の行動に注目します。
・その人が何を考えているのか、何を求めているのか、何を期待しているのか知ろうとします。
・そして、その人の想いや期待に応えたいと思い、誉められようとして、子どもは行動を起こします。
★僕は、子どもの模倣力を育てることが大切だと思っています。
①身体模倣は、身体イメージの獲得とも関係があります。
・自分や他人の身体イメージがまだ十分ではない子どもは、物にぶつかったり、人にぶつかったりしやすいところがあります。
②多彩な模倣によって、子どもはいろんな行動パターンを身につけるため、色々な場面で、模倣によって身につけた行動を引き出して、その事態に適応することができます。
③また、模倣は、周りの様々な刺激を濾過したり弱めたりする緩衝装置を作ってくれるため、刺激に直接的に脅かされることが少なくなります。
※こぱんはうすさくら札幌太平教室の日々の生活指導や遊びの中で、そして、個別療育などのトレーニングを通じて、模倣が盛んになれば、しめたものです。
※「学ぶ」の語源は「真似ぶ(る)」です。
※大谷翔平、羽生結弦などのスポーツアスリートも、将棋の藤井聡太も、まず、師匠や指導者を模倣し、それを基礎にして自分の世界を作っていったのです。 T.T
【療育の評価】【社会で生きていく力とは】
教室の毎日
22/08/28 13:40