・「嘘をついてどうしようもないから」、とこぶが出来るまで叩かれる子どもがいます。
・証拠が揃っているのに、あくまで嘘をつき、絶対に認めようとしません。
・万引きを数限りなくしていて、店の人に見つかっているのに認めません。ポケットに盗んだものが入っているのに、「どうしてポケットに入っているのか知らない」の一点張りなのだそうです。
「絶対に叱らないから」と約束しても、認めません。
親は腹が立って思わず叩いてしまいますが、叩かれても絶対に認めません。
・「どうしてこんなに嘘をつくのか?」、と親から相談がありました。
・これは、こんなふうに考えられるかもしれません。
・「絶対に叱らないから」といくら安心させても、嘘を認めない子どもはいます。
・「嘘をつく」のは自分を守るためです。
・なぜ、自分を守ろうとするのでしょうか?
・自分が盗んだことを認めてしまうことは、自分が「悪い子ども」であるということを公にしてしまうことになります。
・周囲のすべての人に「悪い子」であることがわかってしまい、軽蔑のまなざしに晒されることになります。
・子どもは、周囲の人の蔑視と憎悪を避けようとして嘘をつきます。
・もともと、この子どもは、人と基本的な愛着関係を作れず、人に安心してもたれかかり頼ることが出来ず、つまり、適切な依存関係が形成されておらず、【愛情の器】が空っぽな状態と考えられます。
・心は寂しさや虚しさでいっぱいです。
・そして、【愛情の器】を満たそうとして、万引きをしていると考えられます。
・子どもの心はすさんで、非常に不安定です。
・叱れば叱るほど、殴れば殴るほど、さらに不安定になるばかりで、事態が改善に向かうことはありません。
・子どもの寂しさや虚しさを埋めていくことが必要です。
※これは、20年以上前の「北海道児童相談所 相談事例集」記載されていた相談事例に少し加筆したものです。
・児童デイでも、目撃している人がいても、自分がやったとなかなか認めない子がいます。
なぜなのか?と考えるとき、
この事例集に書かれていることはとても参考になるかと思います。
・子どもの寂しさや虚しさを受け止め、愛情の器に愛情を注いであげることも、児童デイの重要な役割だと僕は思っています。
・その子との信頼関係(ラポート)を作り、
自分の良いところも、失敗やだめなところも全部、分かってもらえているという安心感を育て、「あの先生には本当のことを言おう」「あの先生の前では、本当の自分でいたい」という思いを持ってもらえるように、
時間がかかるかと思いますが、
毎日、子どもたちに寄り添い、関わり、一緒に歩いて行こうと思います。 T.T
【事例】 : 嘘をつかなければいけない理由は?
教室の毎日
22/09/17 22:39