発達障害の診断・検査方法は?診断・検査は受けるべき?発症年齢や検査・診断の方法を紹介します【専門家監修】

ライター:発達障害のキホン
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自分の子どもに発達障害があると思われる場合、いつごろからどこに診断を受けに行くべきでしょうか?また診断方法や診断の基準はどのようなものなのでしょうか?医療機関での詳しい診断方法や診断の流れなどをご紹介します。

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監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。
目次

発達障害とは?

発達障害とは、先天的な脳機能の障害で、想定される時期に年齢相応の発達が見られない、または年齢相応のスキルが獲得できないことで日常生活に様々な困難が生じ、それらが持続する状態を指します。その症状は、通常低年齢の発達期において発現します。
発達障害はいくつかのカテゴリーに分類され、主なものとして「ASD(自閉スペクトラム症)」「ADHD(注意欠如・多動症)」「LD(学習障害/限局性学習症)※1があります。
これらは互いに重なり合っている場合もあり、また知的障害(知的発達症)※2が併存する場合もあります。

※1…現在は「SLD(限局性学習症)」という診断名となっていますが、一般的には最新版DSM-5以前の診断名である「LD(学習障害/限局性学習症)」と呼ばれることが多くあるため、ここでは「LD(学習障害/限局性学習症)」と表記します。
※2…以前は「知的障害」との表記でしたが、DCM-5以降は「知的発達症」との表記となりました。ここでは一般的に使用されている「知的障害」と併記し「知的障害(知的発達症)」と記載しています。
発達障害の種類と概念図
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発達障害とは?特徴・症状・分類や診断方法について【専門家監修】

発達障害の診断・検査は受けるべき?

発達障害のある人が苦手とする年齢相応のスキルとは、言葉やコミュニケーションのスキルや、学習面での読む・書くなどの能力、集団生活でのルールを守るなど、一人ひとり多種多様ですが、それらの獲得が難しいことによって社会で暮らしていく上での困りごとが生じることがあります。

身体の障害などと違い、発達障害はなかなか第三者から分かりにくいことがあり、「見えない障害」と呼ばれることもあります。発達障害の症状や特性、困りごとは一人ひとり違います。そして周りからは困りごとが見えにくいこと、また発達障害自体が日本で広く知られるようになったのもここ20年ほどであり、誤解されてしまったり理解を得られないこともあるのです。

ですが、専門機関に相談することで、それらの特性に気づき、早期にサポートをすることで困りごとが軽減できる場合もあります。持続的な支援のためには、検査や診断があった方が本人の状態がより専門的に把握でき、密な支援が受けられる場合があるのです。また、近年、発達障害者支援法をはじめ、さまざまな法や制度も整備されつつあり、診断や検査を受けることによってそれらの支援や治療法の幅が広がります。

本人の障害について理解し、困難に合わせた適切な支援につなげるために、検査や診断は有効な手段の一つだといえます。どのように診断・検査が行われるのか、以下でご説明します。

発達障害はいつ分かる?診断・検査の前の発症年齢は?

発達障害は、症状や困りごとが現れて初めてわかる疾患です。そのため、障害の種類や程度、性別によっても発症年齢や特徴は異なると言われています。

また、必ずしも医療機関による診断がなくても受けられる支援もありますし、検査やアセスメントを受けることで困りごとや特性が把握できることもあります。医療機関を受診するかどうかや、そのタイミングを決めるのは本人や保護者の判断となります。なんらかの症状や困りごとが現れていないか、早期に気づき相談・診断を受け、適切な支援を受けることで、二次障害などを予防しやすくなります。

発達障害は、その種類や症状にもよりますが、乳幼児期ごろに傾向が見え始めることが多いと言われています。3~4歳ごろには、保育園や幼稚園での集団生活も始まり、ことばやコミュニケーション面など、特徴的な行動や発達の遅れが目立ち始めます。地域の3歳児健診で指摘されたり、園から相談機関を紹介される場合もあります。乳児期のころであっても、表情が乏しさや視線の合いにくさ、集団の遊びができなかったり、言葉に遅れが見えるなどといった症状から、何らかの違和感に気づくこともあります。

また、LD(学習障害/限局性学習症)の場合は、読み書きや算数といった学習が始まってから症状が明らかになるため、就学前後の年齢になってから気づく場合がほとんどです。

乳幼児期は成長に従い症状や困りごとが軽減したり大きく変わりやすいこともあり、一度出た診断が見直されたり変わることもあります。以前よりは発達障害の認知度が上がったものの、症状が分かりにくい人もいて、支援の得られない状況で悪化したり、診断が遅くなったりすることがあります。周りが障害に気づかず、見逃されている場合も少なくありません。大人になってから初めて診断される場合もあります。
参考:厚生労働省 発達障害
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_develop.html
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