ナルコレプシーの制御できないほど激しく眠くなる症状、その原因や治療法、ナルコレプシーとADHD(注意欠如多動症)との関連まとめ

ライター:発達障害のキホン
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健康な人でも体内時計の関係で日中に眠くなる時があります。ですが、「ただ眠い」だけではない睡眠障害があります。一般的な居眠りや発達障害の一つであるADHD(注意欠如多動症)の症状の眠気などとの区別が難しいとされているナルコレプシーとは、一体どのようなものなのでしょうか。

目次

ナルコレプシーとは

ナルコレプシーとは、日中、場所や状況にかかわらず強い眠気が発生する睡眠障害です。別名「居眠り病」といわれています。

学業や職業にも影響がありますが、日常生活での転倒や交通事故などの危険性もあるため、早期の治療が望まれます。

ナルコレプシーはそれほど珍しい病気ではありません。欧米では2000人に1人、日本では600人に1人程度がナルコレプシーと診断されており、男女間での差はあまり見られません。

15歳前後に発症することが多く、40歳代以降での発症率は低いとされています。

ナルコレプシーは思春期のころに発症した場合、重症化しやすく、肥満や性的早熟につながることも少なくありません。症状自体は年齢を重ねるにつれて明らかに軽くなるとされています。

単なる眠気と区別しにくいことから、ナルコレプシーの発症時から診断されるまでには、平均的に15年と長期にわたる可能性があります。

また、ナルコレプシーは精神疾患を伴うこともあり、双極性障害(双極症)、気分変調症(持続性抑うつ症)、不安障害(不安症)や統合失調症などが認められる場合もあります。
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ナルコレプシーの症状

ナルコレプシーには、4つの代表的な症状があります。

1. 日中に強い眠気に襲われる

ナルコレプシーの人であれば誰にでも見られるのが、日中の強い眠気です。

ナルコレプシーであるかどうかに関わらず、急に眠気に襲われるような経験をしたことがある人は多いと思います。しかし、ナルコレプシーの場合、前日に十分な睡眠をとっていたとしても眠気に襲われてしまう点で多くの人とは異なります。

また、ナルコレプシーの人は、眠ることが許されない場面であっても、突然の眠気に逆らうことができません。人によっては、学校のテストや大事な会議で眠ってしまったり、車の運転中に眠気に襲われて事故を引き起こしてしまったりすることがあります。

ただし、過去3ヶ月間にわたり少なくとも週に3日、この症状が起こっている場合のみナルコレプシーの可能性が疑われます。

2. 情動脱力発作(カタプレキシー)

情動脱力発作とは、大笑いしたり興奮した時など、プラスの感情が強く働いたことがきっかけで、からだの筋肉の緊張が突然消失する発作のことです。

ほほが緩む、ろれつが回らない、まぶたが下がるなど周囲の人に気づかれにくいものから、膝ががくんとする、身体が崩れ倒れるなど重いものまであります。このときは意識は保たれており、呼吸困難や失禁などになることはありません。

カタプレキシーはナルコレプシー以外の睡眠障害では、ほとんど見られません。

3. 入眠時に幻覚を見る

入眠時に通常の夢よりも現実的で、また、その幻覚の中で刺されたら痛みを感じる、といった体感幻覚を伴うこともあります。時に恐怖感も伴い、現実とリアルな夢との境目がわからなくなり、うなされることもあります。

4. 睡眠麻痺(金縛り)がある

睡眠麻痺の際、意識はありますが手足を動かしたり声を出すことはできません。

ナルコレプシーの原因

ナルコレプシーの原因はいまだにはっきりとはわかっていません。

しかし、主な要因としてオレキシン神経系をつくりだす神経細胞のはたらきが低下することが挙げられています。オレキシンとは、欲求達成時の快感を与えたり、睡眠や覚醒を制御するものです。

ナルコレプシーに特有なカタプレキシーが生じるときに、オレキシン神経系を作り出す細胞が働かなくなることが確認されています。

最近の研究では、オレキシン神経系を作り出す細胞のはたらきの低下は、自己免疫疾患や遺伝が組み合わさって生じていると考えられています。

◇自己免疫疾患
ヒトの体にとって敵のみを攻撃するはずの自己免疫システムに障害があり、オレキシン神経系を作り出す細胞を誤って攻撃してしまうことがあります。

◇遺伝
ナルコレプシーを患っている人が家族にいる人は、平均的な人よりも10倍程度ナルコレプシーにかかりやすいという研究データがあります。白血球の血液型であるHLA(ヒト白血球抗原)による遺伝的な要因が関与しているという考えもあります。しかしナルコレプシーとの関連づけには至ってなく、今もなお検討されています。
日本ナルコレプシー協会
http://www2s.biglobe.ne.jp/~narukohp/
次ページ「ナルコレプシーと間違えやすいADHD(注意欠如多動症)の症状」

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