【障害者総合支援法】自立支援給付の申請方法・利用者負担額をわかりやすく解説します!

ライター:発達障害のキホン
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障害者総合支援法は、住み慣れた地域での生活を実現するために、障害がある方に対して総合的な支援を行う法律です。この法律に基づくサービスの一つ、自立支援給付は利用するサービス費用の一部を行政が障害のある方へ個別に給付するものです。様々なサービスがあり、それぞれ申請方法が異なるため、複雑に感じる人も少なくないようです。今回は申請方法と利用者負担について紹介します。

目次

障害者総合支援法の自立支援給付とは?

障害者総合支援法が定めるサービスには、大きく「自立支援給付」と「地域生活支援事業」の2つの種類があります。

自立支援給付は、利用するサービス費用の一部を行政が障害のある方へ個別に給付するものです。具体的には、障害に関する医療や福祉サービス、福祉用具(補装具)などの費用が給付されます。自立支援給付の基本的な運用ルールは、国(厚生労働省)が定めます。

これに対し、地域生活支援事業は、国が一律に運用ルールを定めるのではなく、障害のある方がお住まいの各地域で運用ルールを定めて実施した方が実情に応じた対応を期待できる事業や、一般的な相談対応のように個別の給付には当たらない事業をまとめたものです。

例えば1人では外出が困難な方への付き添いを提供する「移動支援」や、手話通訳者や要約筆談ができる人を派遣・設置する「コミュニケーション支援」といった事業が挙げられます。

詳しい法律の概要やサービスの内容などは次のリンクを参考にしてください。この記事では、自立支援給付の利用申請方法・利用負担額を詳しく解説していきます。
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障害者総合支援法の給付サービスの申請方法

自立支援給付の利用手続きはサービスごとに申請方法が異なります。それぞれの申請方法を詳しくご紹介します。

障害福祉サービス(介護給付、訓練等給付)の利用手続き

障害福祉サービスには「介護給付」と「訓練等給付」の2種類があり、それぞれ申請の流れが多少異なります。介護給付を希望する場合は障害のある方の生活環境を踏まえ、どのような支援をどの程度必要とするかといった度合いを測る「障害支援区分(以下、支援区分)認定」を受けることが必要になります。

訓練等給付を希望する場合には原則として支援区分の認定は不要ですが、共同生活援助(グループホーム)を利用する場合には、支援区分認定が必要となります。

支援区分は、7段階の区分に分かれ、もっとも支援の必要性が高い区分が「6」、以下「5・4・3・2・1」と続き、もっとも支援の必要性が低い場合は「非該当」となります。この支援の必要性の区分によって、支給されるサービスの時間に違いが出てきます。一部のサービスは支援区分が低いと利用できないこともあります。

以下が申請からサービス利用までの流れです。
1. 市区町村の障害福祉担当窓口へ申請
申請の際には、状況に応じて障害者基礎年金1級の受給の有無や介護保険申請の状況などを聞かれる場合があります。

2. 障害者支援区分認定調査
市区町村の認定調査員による面接が行われ、全国共通の質問票から心身の状況に関する80項目と状況の調査が行われます。詳しくは次のリンクをご覧ください。
参考:障害者総合支援法における「障害支援区分」の概要|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/kubun/index.html
3.一次判定
認定調査の結果に基づき、コンピューター判定が行われます。

4.二次判定
一次判定の結果と状況調査、医師意見書などを踏まえ、市区町村が主催する、支援区分や特別な支給決定(必要とするサービス量が基準よりも多い支給決定など)を審議する「審査会」で二次判定が行われます。医師意見書とは、医師が申請した方の心身の状態、特別な医療などに意見を付すものです(市区町村が依頼します)。

5.障害区分認定
二次判定の結果に基づき、非該当、区分1~6の全7段階で支援区分認定が行われます。各サービスの区分ごとのサービス量は上記のリンクを参考にしてみてください。

6.サービス利用意向の聴取・サービス等利用計画案の提出
支援区分の認定と並行して、市区町村から福祉サービスの利用等に関する計画(サービス等利用計画、または障害児支援利用計画と呼びます)の案を提出するように求められます。サービス等利用計画案、障害児支援利用計画案は市区両村から指定された特定相談支援事業者、障害児相談支援事業所が作成しますが、申請者自身による作成も可能です(申請した方自身が作成する計画をセルフプランと呼びます)。

7.支給決定
支援区分や本人の状況、家族・家庭の状況、現在の困りごとや将来に向けた希望、福祉サービスの利用意向、サービス等利用計画案などを踏まえてサービスが支給決定され、受給者証が申請者に通知されます。

8.サービス担当者会議
申請した方が利用する全サービスの担当者(サービス管理責任者)が出席し、利用する方に適したサービス提供のあり方や、事業所ごとに作成する「個別支援計画」の方向性などについて話し合われます。

9.支給決定時のサービス等利用計画の作成
市区町村の支給決定やサービス担当者会議での案協議をもとに、最終的なサービス等利用計画を作成します。(セルフプランの場合には、8・9が省略されることがあります)

10.サービスの利用開始
申請した方はサービスを提供する事業所と利用契約を結び、サービスの利用を開始します。サービスの量や内容については、サービス利用開始後であっても必要に応じて見直すことができます。
障害福祉サービスの利用に関する、申請から利用開始までのフロー図
障害福祉サービスの利用に関する、申請から利用開始までのフロー図
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自立支援医療・相談支援事業の利用手続き

自立支援医療には、育成医療・更生医療・精神通院医療があります。育成医療は身体障害のある子ども向け、更生医療は身体障害のある方向け、精神通院医療は精神疾患があって定期的に通院している方向けに、医療の給付を行うものです。利用手続きに関しては市区町村ごとに異なるため、最寄りの市区町村または都道府県窓口に問い合わせてください。申請の際には下記のような事項や持ち物が必要になります。

育成医療: 申請書、所得が確認できる書類、医師の意見書など
更生医療: 身体障害者手帳
精神通院医療: 指定医療機関の中から通院先を決めておくこと

補装具費の利用手続き

車いすや義足、補聴器や白杖などの補装具を製作・修理する際に要する費用の給付を「補装具費」と呼びます。補装具費の給付を受けるためには、障害のある子どもの保護者または障害のある本人が、お住まいの市区町村に申請します。

市区町村は医師の意見書による身体障害者更生相談所の判定・意見を依頼し、補装具の製作や修理が必要かどうか決定し、給付が認められると補装具費支給決定通知書、補装具費支給券が発行されます。

その後、補装具業者と製作・修理の契約を結び、完成品を受け取るとともに利用者負担(原則1割負担)を支払うことになります。

障害者総合支援法の自立支援給付、利用者負担額はいくら?

障害福祉サービスの利用者負担

障害者総合支援法の障害福祉サービスを利用した際の利用者負担は、原則として「1割」です。ただし、世帯ごとの前年の収入に応じて負担額の月額上限が定められているため、その金額以上の自己負担は生じないことになっています。利用月額が0円に免除される場合もあります。特に、生活保護を受けている世帯や住民税が非課税の世帯については、利用者負担はありません。

世帯の範囲には、障害がある大人(18歳以上)の場合は利用する本人と配偶者が含まれ、本人と配偶者の前年の収入を参考に負担額を決定します。親の収入は本人の前年の収入には換算されないことになっています。障害がある子ども(18歳以下)の場合は、保護者の属する住民基本台帳での世帯が範囲となります。※施設に入所している18、19歳は子どもの種別に含まれます

月額上限負担額の目安として、下記を参考にしてみてください。

■障害者の利用者負担
・生活保護受給世帯・・・0円
・市区町村民税非課税世帯・・・0円 ※3人世帯で障害者基礎年金1級受給の場合、収入が約300万円以下の世帯が対象
・市町村民税課税世帯(収入が約670万円以下の世帯)・・・9,300円 ※入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者を除く
・収入が約670万円以上の世帯・・・37,200円 ※入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者を含む

以上が障害のある方に提供している障害福祉サービスの利用者負担額になります。ただし、サービス事業所やグループホームなどで発生する食費、光熱費、交通費などの生活費などは別途に自己負担となります。
参考:障害者の利用者負担|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/hutan1.html
参考:障害福祉サービスの利用について|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/0000059663.pdf

自立支援医療の上限負担額

自立支援医療の場合には、下記の条件に当てはまる方であれば、0円~20000円までの月額負担上限となります。下記の条件に当てはまらない場合は原則1割負担となっています。また、入院時の食事療養費又は生活療養費(いずれも標準負担額相当)については原則自己負担になります。

・生活保護世帯・・・0円
・市町村民税非課税世帯で本人収入が80万円未満・・・2500円
・市町村民税非課税世帯で本人収入が80万円以上・・・5000円
・市町村民税を33000円以上納めている・・・育成医療の経過措置5000円
・市町村民税を33000円未満から23.5万円以下納めている・・・育成医療の経過措置10000円
・市町村民税を23.5万円未満以上納めている高額治療継続者・・・20000円
参考:自立支援医療における利用者負担の基本的な枠組み|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/jiritsu/dl/01.pdf

補装具費の利用者負担額

補装具費の利用者負担額は原則1割です。ただし世帯の所得に応じて負担上限額が設定されています。

・生活保護世帯・市町村民税非課税世帯・・・0円
・それ以外の世帯・・・37,200円

また、補装具費については障害者本人または世帯が一定所得以上(市町村民税所得割の最多納税者の納税額が46万以上)の場合、給付対象外となります。

また、例えば補装具を購入すると世帯の所得状況によっては生活保護の対象になってしまう場合があります。それでは本末転倒ですので、その場合は利用者が負担する費用は生活保護の対象とならない範囲まで減免することになっています。
出典:補装具の利用者負担|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/yogu/hutan.html
次ページ「障害者総合支援法が定める、医療費や食費の免除・減免制度」

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