やっぱり親子!アスペルガー娘に、持ち物に触れるとキレる理由を聞いてみた

ライター:GreenDays
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すっかり仲良くなった凸凹コンビの姉弟。しかし、ケンカはなくなりません。その発端になるのはいつも娘の決まった言葉でした。

自分の物を使われると激しく怒る娘。それは食卓の座席ですら許されない!

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わが家には8歳の娘と6歳の息子がいます。
共に自閉症スペクトラムの診断が下りていますが、娘はアスペルガー、息子はADHDの傾向が強く、そのタイプは全く違います。

娘と息子の関係は、最近とても良好になってきました。
両極思考の激しい娘が、今まで「敵」に分類していた息子を「味方」に入れてくれたことで、家の中に2人の笑い声が響くようになったのです。

もちろん、お互い余裕がない時には罵り合い、ケンカになる事もあります。
その中でも、娘の口からよく飛び出すのが「お姉ちゃんの物に触らないで!!!」という言葉です。

例えば娘が勉強している最中、息子が食卓の娘の座席にちょっと腰をかけたときなどは、その瞬間に「そこはお姉ちゃんの席!自分の席に座ってちょうだい!」と怒りモードに突入してしまうのです。

娘の怒りの対象は息子だけでなく、母親である私以外の人物が娘の物を使用したときに、強いストレスを感じます。
「これ使わせてね」ときちんと断りを入れてからだと、何とか許そうとはするのですが、「いいよ」と答える時の娘の顔はひどく歪んでいます。

「今使っていないんだからいいでしょ?」と諭してみますが、「そういう問題じゃない」という答えが返ってきます。
どうして自分の物に他人が触れるということに、そこまでストレスを感じるのでしょうか?

思考回路がそっくりな私と娘。そして、思い当たった2つの答え

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ちなみに、私と娘は思考回路がそっくりで、なにか物事が起こった時に、同時に同じ言葉を発することがよくあります。
そこでまず私が、自分の物を他人に使われて猛烈に嫌だと感じるのはどんな時なのか?、想像してみました。

思いついた答えは2つありました。

(1)物に対する思い入れが強すぎる

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まず1つ目は、物に対する思い入れが強すぎるということです。
私も娘も色に対するこだわりが強いので、全く同じものでも色が違うだけで、その物の扱いが変わってきます。

例えば色違いの毛布が2枚あるとします。気に入った色の毛布に包まれると、それだけでとても幸せな気分になりますが、気にいらない色の毛布は、包まれることを想像するだけでとても居心地が悪く、手に取ろうとも思いません。

両極思考が激しいので例え同じ毛布でも、色によって大切な宝物になるか?どうでもいい存在になるのか?が、決まってきます。
そして宝物となった毛布は、それが目に入るだけで自分を幸せにしてくれる大切な存在となるのです。

娘にとって、その気持ちを理解してくれるのは思考回路が似た私だけであり、自分と同じように大切に毛布を扱ってくれる母親に使われるのは構わないようです。

しかし自分と同じように、大切に毛布を扱ってくれない他人に手を伸ばされるのは、とても心配なことなのだと思います。
警戒心が強く、嗅覚過敏も合わせ持つ娘。
大切な毛布が元の状態で返してもらえるのか、汚れたり傷つけられたりしないか、いつもと違う匂いがついてしまわないか、常に見張っていなければなりません。

色にこだわりのない人からは「どっちでも一緒でしょ」とよく言われますが、私たちにとっては雲泥の差があるのです。

毛布の例を挙げましたが、私と娘は、家にある全ての物にこの「大切な宝物」か「どうでもいいもの」なのかの判定を行っています。色、形、匂い、思い出…。様々な要素が判定材料となり、他人に触れられたくない「大切な宝物」は山のように存在します。

私は子育てをしているうちに、自分のことより子ども優先の生活になったので、最近マシになりましたが、娘は宝物に囲まれて幸せな反面、常にそれが壊されないか気にかけなければならず、苦しいだろうな…と思います。

(2)安全地帯を侵されたくない

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2つ目に、自分の安全地帯を他人に侵されたくない、という気持ちがあります。
警戒心が強いタイプの私は、ここなら大丈夫という「安全地帯」を常に探して生きているような気がします。

例えば、ショッピングモールでトイレに行く必要があったとき。特にこだわりのない方なら、1番近いトイレに入り、その時に空いている個室を何のためらいもなく使われることでしょう。

しかし、私にとっては1度利用した経験のあるトイレこそが安全地帯で、その他のトイレはよくわからない不安に満ちた場所です。よほどのことがない限り、いつも決まった場所のトイレに足を運び、右から何番目の個室を使う、というのも決まっています。

当たり前のことですが外とは違い、自分の家というのは全て知った場所、全て使ったことのある物ばかりなので、私の人生の中で最大の安全地帯です。

私も娘も極力外出を避ける傾向にありますが、それは安全地帯である家の中で過ごすことで、未知の場所に対するストレスに左右されず、のびのびと息ができるからだと思います。
家の中でも、「自分の場所」「自分の物」というのはきちんと決まっています。お風呂上りに使うバスタオルも家族で色分けしてありますので、洗濯が追いつかずに誰かのものを使わなければならないときは、それが例え大切なわが子のタオルであっても、かなり躊躇します。

自分がいつも座っている定位置というのは、家の中でもとりわけ安心できる場所です。そこから見える景色、その椅子に座った感触、右側にあるもの、左側にあるもの、全てをきちんと把握してあるからです。

私と娘にとっては大切な「安全地帯」ですが、夫や息子にはもちろんその境界線が見えるはずもなく、「今は使っていないのだから構わないだろう」とあっさり侵略してきます。

大切な安心できる場所が誰かに荒らされている(ように私たちの目には映る)のを見た瞬間、やはり大きなストレスがかかり、怒りに直結してしまうのだと思います。

2つの理由は娘にも当てはまっていた。では、どうすればその辛さは楽になるのだろう?

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理由に見当がついたところで、さりげなく娘に「こんな風に思うことある?」と、私が思いつく2つの理由を例に出し、聞いてみました。

すると娘は「よくぞわかってくれた!やっぱりママは私の唯一の理解者だ!」と満面の笑顔でしたが、このままでは周りも娘自身も生き辛く感じることでしょう。

長時間一緒にいる家族だからこそ、理解し合い、譲り合って過ごせたら、お互いが楽になるはずです。

まずは私が架け橋となり、息子には「これはお姉ちゃんが大切にしているものだから、触らないようにしようね」と、どれがお姉ちゃんにとっての宝物なのかを教えるようにしています。

他人の感情をくみ取るのが苦手な息子にとっても、一番身近なお姉ちゃんの感情を学ぶことはとても良い経験になってくれると思います。
次ページ「いずれは人と共有できるように…」

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