この病はいつまで続く?息子を「情けない子だ」と思った私の心

思い返せば私の「比べる病」が最も重症だったのは、息子が2歳で自閉症だと診断された直後の時期。健常児の姿を見ることが、私の最大のストレスでした。

息子を保育園に迎えに行くと、他の親は保育士から「今日も一日楽しく過ごしていました」と言われているのに、私は担任から「今日も一日、保育室に入れず朝からずっと玄関にいます」と報告を受けます。

「私が仕事であちらこちら訪問し、昼にはランチし、変化のある充実した時間を過ごしているのに、息子は朝からずっとこの状態なんだ」と思うと胸が締め付けられました。

いつしか健常児とその家族に対する「羨ましい」という気持ちは、「妬ましい」→「憎らしい」と加速していき、異常な心理状態に陥っていきました。ついに私は鬱になり、外出するのも嫌になって家に引きこもるように。

障害児と健常児を「比べる病」、私は卒業したはずだったのにの画像
出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10685000736
でも、そんな私もだんだんとわが子の特性を受け入れ、周りと比較することはなくなっていきました。

だから「卒業できた」と思っていたのです。

それなのに、息子が16歳になってもなお、“比べる病”は消えてはいませんでした。

息子と周りの子を比べることは、ミスユニバースに選ばれる人と自分の体型を比べるようなもの。大富豪と自分の生活を比べるようなもの。バカげたことなのに、そんなことわかっているのですが……

いつもは偉そうに子育てコラムなど書いている私ですが、この日は自己嫌悪に陥り、悲しい気持ちでいっぱいになりました。

最後に主催者の方が息子に「今日は来てくれて本当にありがとう」と言ってくださいました。これに少し救われて帰路につきました。息子はすっかり疲れてしまいその夜はすぐに寝てしまいました。

ハロウィンパーティーで、あなたのことを「情けない子だ」と思ったお母さんを、どうか許してほしいです。

でも、でも……

一体、いつ治るのかな?この病……

皆さんの比べる病は完治していますか?

この記事を書いた人の著書

立石流 子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方
立石美津子(著),市川宏伸(監修)
Amazonで詳しく見る
立石美津子(著)、すばる舎『立石流 子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方』
https://www.amazon.co.jp/dp/4799105566
ASD(自閉スペクトラム症)とは?専門機関や診断基準を解説【専門家監修】のタイトル画像

ASD(自閉スペクトラム症)とは?専門機関や診断基準を解説【専門家監修】

「個性を大切に」と唱えていながら、学校で障害者排除が起きる理由のタイトル画像

「個性を大切に」と唱えていながら、学校で障害者排除が起きる理由


追加する

バナー画像 バナー画像

年齢別でコラムを探す


同じキーワードでコラムを探す



放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

コラムに対する投稿内容については、株式会社LITALICOがその内容を保証し、また特定の施設、商品及びサービスの利用を推奨するものではありません。投稿された情報の利用により生じた損害について株式会社LITALICOは一切責任を負いません。コラムに対する投稿内容は、投稿者の主観によるもので、株式会社LITALICOの見解を示すものではありません。あくまで参考情報として利用してください。また、虚偽・誇張を用いたいわゆる「やらせ」投稿を固く禁じます。「やらせ」は発見次第厳重に対処します。