感覚統合と子どもの発達の関係性とは?
感覚統合と発達の関係
発達段階の子どもにとって、物事ができるようになるにはさまざまなステップがあり、一定の順序があります。
例えば、「テーブルで食事ができるようになる」ためにはまず、身体のバランスを調整する前庭覚と筋肉の動きを感じ取る固有受容覚が育つことによって「きちんとした姿勢で一定時間座ることができる」ようになることが必要です。そして姿勢の発達が進むと、手や指などの末端の動きが発達していきます。この発達によって、「お皿を持ってお箸を使うことができる」ようになります。いくつかのステップを一つひとつクリアしていくことで、最終的な目標である「テーブルでの食事」ができるようになります。
例えば、「テーブルで食事ができるようになる」ためにはまず、身体のバランスを調整する前庭覚と筋肉の動きを感じ取る固有受容覚が育つことによって「きちんとした姿勢で一定時間座ることができる」ようになることが必要です。そして姿勢の発達が進むと、手や指などの末端の動きが発達していきます。この発達によって、「お皿を持ってお箸を使うことができる」ようになります。いくつかのステップを一つひとつクリアしていくことで、最終的な目標である「テーブルでの食事」ができるようになります。
例えば「テーブルでの食事がなかなかできない」など、“気になる行動”があったとき、根気良く付き合ってもなかなか解決しなければ、子どもの“発達段階のある過程が抜けている”可能性があります。
この例の場合、チェックするポイントがいくつかあります。食事が上手にできる発達段階のひとつ前のステップ「身体のバランスを保つ」ということがテーブルに座らせる以外の動作でもきちんとできているか、「お箸を持つことができない」のであればほかの手や指の動作は問題がないかなど、発達のステップを一段階降り視点を変えて、子どもの行動を見直してみましょう。そこで問題を見つけることができるかもしれません。
この例の場合、チェックするポイントがいくつかあります。食事が上手にできる発達段階のひとつ前のステップ「身体のバランスを保つ」ということがテーブルに座らせる以外の動作でもきちんとできているか、「お箸を持つことができない」のであればほかの手や指の動作は問題がないかなど、発達のステップを一段階降り視点を変えて、子どもの行動を見直してみましょう。そこで問題を見つけることができるかもしれません。
「どうしてこんな行動するのだろう…」発達段階の過程が抜けるメカニズムとは?
ところで、なぜ“発達段階のある過程が抜ける”という現象が起こり得るのでしょうか。メカニズムをみてみましょう。
子どもにはもともと「成長したい!」「自分でやりたい!」という欲求があり、この欲求に従って、子ども自身がまるで積み木を積み重ねるように発達の段階を踏んでいきます。しかし、この段階はそれぞれ多少順序が入れ替わったりとばされたりしても次の発達段階に進めるようになっていて、そのため見た目上では感覚統合の発達が進み、順調に成長しているとみなされることが多いのです。
ですが、ゆがんだり傾いたりしている土台の上に積みあがった積み木はぐらぐらと不安定ですよね。それと同じように、保護者としては、「自分の子どもは順調に成長している!」と思っていたはずなのに、あるとき「どうしてこんな行動をするのだろう…どうして同い年の子みたいにできないのだろう…」と、子どもの特定の行動に対し課題を感じることがあります。その場合、実はもっと前に達成されているべき段階、土台部分に原因がある可能性があるのです。
集団行動において困りごとが顕在化する場合も、人間関係がその原因のすべてではない場合があります。例えば「すぐ友達に手を出してしまう」など、乱暴な動作が多いという背景には子どもの固有感覚の発達がうまくいっていないことがあるかもしれません。
本人は軽く肩を叩いているつもりが、実際には「痛いほどの強い力で叩いてしまっていた」、ものをただ置くだけのつもりが「強く叩きつけてしまっていた」、これらの行動は固有感覚の未発達によって力の調節がうまくできないことが本当の原因かもしれません。
子どもにはもともと「成長したい!」「自分でやりたい!」という欲求があり、この欲求に従って、子ども自身がまるで積み木を積み重ねるように発達の段階を踏んでいきます。しかし、この段階はそれぞれ多少順序が入れ替わったりとばされたりしても次の発達段階に進めるようになっていて、そのため見た目上では感覚統合の発達が進み、順調に成長しているとみなされることが多いのです。
ですが、ゆがんだり傾いたりしている土台の上に積みあがった積み木はぐらぐらと不安定ですよね。それと同じように、保護者としては、「自分の子どもは順調に成長している!」と思っていたはずなのに、あるとき「どうしてこんな行動をするのだろう…どうして同い年の子みたいにできないのだろう…」と、子どもの特定の行動に対し課題を感じることがあります。その場合、実はもっと前に達成されているべき段階、土台部分に原因がある可能性があるのです。
集団行動において困りごとが顕在化する場合も、人間関係がその原因のすべてではない場合があります。例えば「すぐ友達に手を出してしまう」など、乱暴な動作が多いという背景には子どもの固有感覚の発達がうまくいっていないことがあるかもしれません。
本人は軽く肩を叩いているつもりが、実際には「痛いほどの強い力で叩いてしまっていた」、ものをただ置くだけのつもりが「強く叩きつけてしまっていた」、これらの行動は固有感覚の未発達によって力の調節がうまくできないことが本当の原因かもしれません。
「ほかの子と一緒に同じ行動ができずいつも1人で行動している」背景には聴覚の感覚統合に原因があり、指示内容を正確に聞き取って理解することが難しい、大きな音、ざわざわとした人ごみから発せられる音に拒絶反応を示すからであるかもしれません。
このように、子どもの気になる行動には、感覚統合の発達が関係していることがあります。だからこそ子どもの成長を見守る保護者としては、子どもの行動や言動、子ども同士の関わり方などをよく観察することを心がけましょう。
このように、子どもの気になる行動には、感覚統合の発達が関係していることがあります。だからこそ子どもの成長を見守る保護者としては、子どもの行動や言動、子ども同士の関わり方などをよく観察することを心がけましょう。
感覚統合の発達において重要なサイクル
感覚が統合され、子どもが自分でいろいろなことができるようになるためには、子ども自身のチャレンジ精神がとても重要です。
「感覚は脳の栄養素」と言われることがありますが、子どもは多くの刺激を受け、好奇心からさまざまなことに興味を持ちます。成長するにつれて自分から刺激を求めたり、新しいことに対して「やってみよう!」と思い行動します。そして「できた!」という達成感と成功体験を得、さらに楽しくて刺激が得られる活動にチャレンジしていくという循環により感覚統合がすすむのです。この繰り返しに、難しく複雑な活動もできるようになっていくのです。
「感覚は脳の栄養素」と言われることがありますが、子どもは多くの刺激を受け、好奇心からさまざまなことに興味を持ちます。成長するにつれて自分から刺激を求めたり、新しいことに対して「やってみよう!」と思い行動します。そして「できた!」という達成感と成功体験を得、さらに楽しくて刺激が得られる活動にチャレンジしていくという循環により感覚統合がすすむのです。この繰り返しに、難しく複雑な活動もできるようになっていくのです。
感覚が統合されて成長していくプロセス
※理学療法と作業療法 19 (11), 767-775, 1985-11-15 『講座 小児の運動発達 5.運動行為の発達と感覚統合』 土田玲子の資料をもとに作成
Upload By 医師・専門家監修|発達障害・支援のキホン
◇第一段階 基礎感覚(前庭覚、固有感覚、触覚)と視覚、聴覚の発達
感覚統合の発達は、生まれながらに備わっている、感覚統合において重要な役割を果たす前庭覚・固有感覚・触覚に視覚・聴覚が加わり、見る・聞く・触るなど、刺激を感じ取るところから始まります。
例えば、視覚・聴覚共に未発達の生まれて間もない赤ちゃんであっても、外から自然とさまざまな刺激に晒されます。触覚によって手でお母さんのおっぱいを捉えて母乳を吸い、抱っこやおんぶをされることで自分の身体が動いたり傾いたりするということを前庭覚や固有感覚によって捉えます。このように、生まれつき備わっている基礎感覚に加えて視覚や聴覚が発達すると、より自覚的に多くの刺激を取り込むようになります。
基礎感覚について詳しく知りたい場合は、分かりやすくまとめてある以下のページもご覧ください。
感覚統合の発達は、生まれながらに備わっている、感覚統合において重要な役割を果たす前庭覚・固有感覚・触覚に視覚・聴覚が加わり、見る・聞く・触るなど、刺激を感じ取るところから始まります。
例えば、視覚・聴覚共に未発達の生まれて間もない赤ちゃんであっても、外から自然とさまざまな刺激に晒されます。触覚によって手でお母さんのおっぱいを捉えて母乳を吸い、抱っこやおんぶをされることで自分の身体が動いたり傾いたりするということを前庭覚や固有感覚によって捉えます。このように、生まれつき備わっている基礎感覚に加えて視覚や聴覚が発達すると、より自覚的に多くの刺激を取り込むようになります。
基礎感覚について詳しく知りたい場合は、分かりやすくまとめてある以下のページもご覧ください。
発達ナビ親子のヒント 1人ひとりの「感覚の特性」を考えよう!よく聞く感覚統合ってなあに?
https://h-navi.jp/teaching/professional_articles/100004
◇第二段階 姿勢・眼球運動のコントロール
第一段階で基礎感覚などによる刺激をきちんと感じ取ると、前庭覚と固有受容覚が統合されるようになります。それにより、重力に対して身体を持ち上げ、持続的に姿勢を保つことができるようになり、身体の中心部である首や体幹などの中枢系が発達していきます。具体的には、首が据わり、体幹がしっかりして身体が安定します。また、体幹と首が安定すると、眼の動きも細やかに、多様に発達していきます。動いているものを見失わずに見続けたり、並んでいるものを眼だけで順に追ったり、視点を細やかに移したりすることができるようになります。
◇第三段階 ボディイメージの形成、運動コントロールの基礎
体幹など自分の身体の中心がしっかり発達すると、徐々に身体の末端まで意識が向くようになってきます。そのはじめとして、自分の身体がどれくらいの大きさで、手足がどれくらいの長さなのかというようなボディイメージが形成されるようになります。これによって他の人やものとの距離感を正しくつかめるようになります。
また、運動コントロールもだんだんできるようになります。運動コントロールとは、不慣れな運動に関して、自分で身体の各部位を動かすタイミングを考えながら運動を実行する動きのことを指します。この第三段階でつまずきが見られる場合、身体の動きがぎこちなかったり、ものや人によくぶつかってしまったりします。
第一段階で基礎感覚などによる刺激をきちんと感じ取ると、前庭覚と固有受容覚が統合されるようになります。それにより、重力に対して身体を持ち上げ、持続的に姿勢を保つことができるようになり、身体の中心部である首や体幹などの中枢系が発達していきます。具体的には、首が据わり、体幹がしっかりして身体が安定します。また、体幹と首が安定すると、眼の動きも細やかに、多様に発達していきます。動いているものを見失わずに見続けたり、並んでいるものを眼だけで順に追ったり、視点を細やかに移したりすることができるようになります。
◇第三段階 ボディイメージの形成、運動コントロールの基礎
体幹など自分の身体の中心がしっかり発達すると、徐々に身体の末端まで意識が向くようになってきます。そのはじめとして、自分の身体がどれくらいの大きさで、手足がどれくらいの長さなのかというようなボディイメージが形成されるようになります。これによって他の人やものとの距離感を正しくつかめるようになります。
また、運動コントロールもだんだんできるようになります。運動コントロールとは、不慣れな運動に関して、自分で身体の各部位を動かすタイミングを考えながら運動を実行する動きのことを指します。この第三段階でつまずきが見られる場合、身体の動きがぎこちなかったり、ものや人によくぶつかってしまったりします。
◇第四段階 手指の機能分化・言語機能
<手指の機能分化>
さらに発達が末端に及ぶようになると、手指を細かく動かすことができ、力の入れ具合の微調整ができるようになります。鉛筆やはさみなど手先のこまかな動きを必要とする道具の操作、箸の使用、靴ひもを結ぶという動作が可能になります。
<言語機能>
これまで習得し、統合してきた感覚をもとにつくられたイメージと言葉(聴覚情報)を結びつけることで、言語機能が発達します。
りんごを例にとると、
(1)さまざまな感覚でりんごを捉える
子どもがりんごを見て、「赤い、まるい」(視覚)、鼻を近づけて「甘いにおい」(嗅覚)、触ってみて「つるつる」(触覚)、「固くて重みがある」(固有受容覚)、食べてみて「甘酸っぱい」(味覚)、「サクサクと音がする」(聴覚)、と今まで活用してきた感覚を使ってりんごを捉えます。その中で、大人からの「りんご、おいしいね」という言葉を聞き、自分が今まで感覚で捉えてきたものに言葉が結びつけられます。
(2)感覚の統合と概念の形成
このような感覚の統合のくりかえしと「これはりんごだ」という言葉との結びつきによって、「赤くてまるくてつるつるした触感で、甘酸っぱい味のするもの」=「りんご」という双方向の概念がつくられます。一度概念がつくられると、色や形などが変わっても「りんご」であると理解できるようになります。さらに、この感覚統合と概念の形成を繰り返すことで論理的思考や行動の順序立てができるようになり、文章を話す力がつきます。
◇第五段階 学習や運動の達成・高度化
今まで挙げてきた感覚統合がくりかえし成功することで、最終的にある程度の集中力を必要とする教科学習や、自分自身の行動を振り返り客観的に評価すること、自分の衝動・欲望を抑制することができるようになります。感覚統合のくりかえしによって子どもが自分の力でできることが増え、自信や自尊心も高まります。
<手指の機能分化>
さらに発達が末端に及ぶようになると、手指を細かく動かすことができ、力の入れ具合の微調整ができるようになります。鉛筆やはさみなど手先のこまかな動きを必要とする道具の操作、箸の使用、靴ひもを結ぶという動作が可能になります。
<言語機能>
これまで習得し、統合してきた感覚をもとにつくられたイメージと言葉(聴覚情報)を結びつけることで、言語機能が発達します。
りんごを例にとると、
(1)さまざまな感覚でりんごを捉える
子どもがりんごを見て、「赤い、まるい」(視覚)、鼻を近づけて「甘いにおい」(嗅覚)、触ってみて「つるつる」(触覚)、「固くて重みがある」(固有受容覚)、食べてみて「甘酸っぱい」(味覚)、「サクサクと音がする」(聴覚)、と今まで活用してきた感覚を使ってりんごを捉えます。その中で、大人からの「りんご、おいしいね」という言葉を聞き、自分が今まで感覚で捉えてきたものに言葉が結びつけられます。
(2)感覚の統合と概念の形成
このような感覚の統合のくりかえしと「これはりんごだ」という言葉との結びつきによって、「赤くてまるくてつるつるした触感で、甘酸っぱい味のするもの」=「りんご」という双方向の概念がつくられます。一度概念がつくられると、色や形などが変わっても「りんご」であると理解できるようになります。さらに、この感覚統合と概念の形成を繰り返すことで論理的思考や行動の順序立てができるようになり、文章を話す力がつきます。
◇第五段階 学習や運動の達成・高度化
今まで挙げてきた感覚統合がくりかえし成功することで、最終的にある程度の集中力を必要とする教科学習や、自分自身の行動を振り返り客観的に評価すること、自分の衝動・欲望を抑制することができるようになります。感覚統合のくりかえしによって子どもが自分の力でできることが増え、自信や自尊心も高まります。
まとめ
感覚統合の発達には子ども自身の「楽しそう!」「やってみたい!」という気持ちと周囲の励まし、成功体験ができるような環境づくりと工夫が重要です。
感覚統合がうまくいかない子どもに対して「ちゃんとしなさい」「~してはいけないよ」と言っても、子どもにとっては何がいけないのか、どうしていけないのか分からない、分かってはいるけどやめられないという場合もあります。また、うまくできないという不安から緊張をもたらし、ますます失敗してしまうという悪循環に陥り、ストレスを抱えたり自信をなくしてしまったりすることがあります。
保護者や周りの大人は、子どもができていないことだけに着目するのではなく、できていないという背景には感覚統合がうまくいっていないのではないか、感覚の使い方がうまくいっていないことが影響しているのではないか?と考えてみるとよいかもしれません。
子どものある動作が気になる、どうしてこんなに不器用なのか、ほかの子と一緒にできないのか...そう思ったら、一度その動作を支える"感覚"の発達に戻ってみましょう。そして、子どものやる気、成長体験を大事にしながら、もう一度感覚統合を積み上げなおしてみることが、子どもの感覚の発達や困りごとの解決につながるかもしれません。
感覚統合がうまくいかない子どもに対して「ちゃんとしなさい」「~してはいけないよ」と言っても、子どもにとっては何がいけないのか、どうしていけないのか分からない、分かってはいるけどやめられないという場合もあります。また、うまくできないという不安から緊張をもたらし、ますます失敗してしまうという悪循環に陥り、ストレスを抱えたり自信をなくしてしまったりすることがあります。
保護者や周りの大人は、子どもができていないことだけに着目するのではなく、できていないという背景には感覚統合がうまくいっていないのではないか、感覚の使い方がうまくいっていないことが影響しているのではないか?と考えてみるとよいかもしれません。
子どものある動作が気になる、どうしてこんなに不器用なのか、ほかの子と一緒にできないのか...そう思ったら、一度その動作を支える"感覚"の発達に戻ってみましょう。そして、子どものやる気、成長体験を大事にしながら、もう一度感覚統合を積み上げなおしてみることが、子どもの感覚の発達や困りごとの解決につながるかもしれません。
参考文献
乳幼児期の感覚統合遊び
クリエイツかもがわ
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学校・家庭で楽しくできる 発達の気になる子の感覚統合あそび (発達障害を考える心をつなぐ)
ナツメ社
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ナツメ社
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