リタリンとコンサータってどう違うの?

さきほどご紹介したように、リタリンとコンサータはメチルフェニデート塩酸塩という同じ成分の薬です。リタリンは、薬の効き目が4時間程度であったのに対して、コンサータは安定的な効果が約12時間続きます

コンサータは浸透性徐放効果送出システムという最新技術を活用して作られたカプセル薬で、薬成分がゆっくりと溶け出すように設計された徐放剤です。薬への依存リスクが低くなるように設計されているほか、不正使用ができないようにも工夫が凝らされています

カプセルの表面には、薬成分が塗布されており、カプセル内は3層構造となっています。上部に濃度の低い薬成分・真ん中に濃度の高い薬成分・下に空洞の部屋ができていて、最上部に開けてある小さな穴から薬成分が放出されます。
コンサータを服用すると、表面の薬剤が徐々に溶け出します。

表面の薬剤が溶け出すと、カプセルの中にある一番下の空洞部分に体の水分が取り込まれるようになります。カプセル内に取り込まれた水分で空洞の部屋が膨らみ、カプセルにあいた小さな穴から上部に入っている薬が少しずつ押し出されるのです。
ADHD(注意欠如多動症)のある人に処方される薬コンサータの効果や副作用、コンサータとストラテラ違いも解説【精神科医監修】のタイトル画像

ADHD(注意欠如多動症)のある人に処方される薬コンサータの効果や副作用、コンサータとストラテラ違いも解説【精神科医監修】

それではコンサータ(中枢刺激薬)に薬物依存はないの?

薬物依存は、薬物の乱用を繰り返すことで陥る状態です。コンサータはリタリンと同様の薬理作用をもつことから、理論的にはコンサータであっても薬物依存に陥る可能性があります。

しかし、医師の診断のもとで適切に服用すれば乱用にはつながらず、依存のリスクはとても低いと言えます。

なお、コンサータもリタリンと同様に「コンサータ錠適正流通管理委員会」が設置されています。処方上限日数も30日と定められ、適正な使用となるように厳格に管理されています
薬物の乱用を繰り返すと、薬物依存という「状態」に陥ります。薬物依存と言う状態はWHO(世界保健機関)により世界共通概念として定義づけられていますが、簡単に言えば、薬物の乱用の繰り返しの結果として生じた脳の慢性的な異常状態であり、その薬物の使用を止めようと思っても、渇望を自己コントロールできずに薬物を乱用してしまう状態のことです。

引用:ご家族の薬物問題でお困りの方へ(厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課発行)|厚生労働省
出典:http://www.mhlw.go.jp/topics/2007/12/dl/tp1219-2h.pdf
参考:コンサータの流通管理について(ヤンセンファーマ(株)提出資料)|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/10/dl/s1017-5f.pdf
ADHD(注意欠如多動症)のある人は何かに依存する性質があるといわれているため、薬物治療が原因で将来薬に依存してしまうのではないかと心配している人もいるかもしれません。しかし、ADHD(注意欠如多動症)のある人が中枢神経刺激薬を使用して薬物治療を行った場合に、薬物依存リスクは高まらないことがいくつかの研究で明らかになっています
サウスカロライナ医科大学の教授で、ADHD(注意欠如多動症)分野の国際的な権威であるBerkeley博士は、中枢刺激薬で治療していたADHD(注意欠如多動症)患者の子どもを13年間にわたって追跡調査しました。その結果、子ども時代の中枢刺激薬の治療は、成人での薬物依存リスクを高めることにはつながらないことをつきとめました。
参考:Does the treatment of attention-deficit/hyperactivity disorder with stimulants contribute to drug use/abuse? A 13-year prospective study.|Barkley RA, et al.(2003),National Center for Biotechnology Information
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12509561
また、アメリカにあるマサチューセッツ総合病院につとめるWilens医師が複数の論文を横断的に分析したところ、子ども時代の中枢神経刺激薬でのADHD(注意欠如多動症)治療は、大人になってからのアルコール依存や薬物依存リスクを約1/2に減らすことが明らかとなりました。
参考:Does stimulant therapy of attention-deficit/hyperactivity disorder beget later substance abuse? A meta-analytic review of the literature.|Wilens TE, et al. ,Pediatrics, (2003) , National Center for Biotechnology Information
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12509574

まとめ

今回の記事では、ナルコプレシーにだけ処方される薬のリタリンをご紹介しました。リタリンに限らず、薬は用法・用量などの決まりを守って処方することがとても大切です。必ず医師の指示に従って、用法・用量を守りましょう。また、決してほかの人に渡したりしてはいけません。

リタリンを服用して、副作用を感じたらすぐに医師に相談してください。また、リタリンについて少しでも不安を覚えたら、迷わず医師に相談してください。
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