自分を好きでいられれば世界を肯定的に見られる。うちの子専門家・楽々かあさんが伝えたい「今が100点」
ライター:田中千尋(発達ナビ編集部)
子育てを楽にするアイデアツール発明家、楽々かあさんこと大場美鈴さんが『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』を出版されました。子育てをがんばりすぎてしまうすべてのお母さんに贈りたい一冊です。今回はおすすめのアイデアツールから子育てを少し楽にする工夫、自分を大切にできるようになったきっかけなどについて伺いました。
うちの子専門家・楽々かあさん、明日役に立つ!120のアイデアツールをまとめた子育て本を出版!
発達ナビライターでもあり、Facebookやブログで子育て情報を発信し続けている楽々かあさん。2014年に公開された発達障害児への「声かけ変換表」の記事は、14万件以上シェアされ、大きな話題となりました。
楽々かあさんは、発達に凸凹(でこぼこ)のある3人のお子さんのお母さんです。子育ての中で試行錯誤しながら「子育てを楽にするノウハウ」を次々と編み出してこられました。
楽々かあさんは、発達に凸凹(でこぼこ)のある3人のお子さんのお母さんです。子育ての中で試行錯誤しながら「子育てを楽にするノウハウ」を次々と編み出してこられました。
声かけ変換表の楽々かあさん直伝!子どもへの「声かけの基本」とは?
今、子育てに困っているお母さんに向けられたノウハウ本『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母の毎日ラクラク笑顔になる108の子育て法』が発売されてから1年。待望の第2弾の書籍『大場美鈴/著『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』2017年/刊/ポプラ社』が出版されました。
大場美鈴/著『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』2017年/刊/ポプラ社
https://www.amazon.co.jp/dp/4591153363
今回の書籍では、ちょっとした工夫で簡単にできるSSTや学校の先生とのやりとりのコツ、パニック・かんしゃくのときの対処法など、実践的で明日からすぐに役に立つ120ものアイデアを大公開。
そんな新著の発売を記念して、発達ナビ編集部がアイデアツール発明家の楽々かあさんにインタビューを実施しました。
楽々かあさんイチオシのアイデアツールから、3人の子どもの子育ての中でのご自身の変化、最近のお子さんの様子まで、たっぷりと語っていただきました。
そんな新著の発売を記念して、発達ナビ編集部がアイデアツール発明家の楽々かあさんにインタビューを実施しました。
楽々かあさんイチオシのアイデアツールから、3人の子どもの子育ての中でのご自身の変化、最近のお子さんの様子まで、たっぷりと語っていただきました。
楽々かあさん(大場美鈴)
1975年生まれ。うちの子専門家(専業主婦)。
美術系の大学を卒業後、出版社で医療雑誌の編集デザイナーとして勤務し退社。実父の介護経験を経て、結婚。3人の子宝に恵まれる。長男(小6)はASD+LD+ADHDで、通常学級から支援級に転籍。次男(小4)、長女(小1)はいくつか凸凹特徴のあるグレーゾーン。2013年より、Facebookなどで管理人「楽々かあさん」として、育児の傍ら、発達障害育児に役立つ支援ツールの制作と、日々の子育てのアイデアをシェア・情報発信する個人活動を開始。「声かけ変換表」がネット上で約14万シェアを獲得するなど拡散し話題となり、「AERA」「kodomoe」「東洋経済オンライン」「LITALICO発達ナビ」など、雑誌・ネットメディアに掲載多数。著書に『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母の毎日ラクラク笑顔になる108の子育て法』、『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』2017年/刊/ポプラ社』(大場美鈴:著、汐見稔幸:監修)がある。
※2017年5月1日現在
1975年生まれ。うちの子専門家(専業主婦)。
美術系の大学を卒業後、出版社で医療雑誌の編集デザイナーとして勤務し退社。実父の介護経験を経て、結婚。3人の子宝に恵まれる。長男(小6)はASD+LD+ADHDで、通常学級から支援級に転籍。次男(小4)、長女(小1)はいくつか凸凹特徴のあるグレーゾーン。2013年より、Facebookなどで管理人「楽々かあさん」として、育児の傍ら、発達障害育児に役立つ支援ツールの制作と、日々の子育てのアイデアをシェア・情報発信する個人活動を開始。「声かけ変換表」がネット上で約14万シェアを獲得するなど拡散し話題となり、「AERA」「kodomoe」「東洋経済オンライン」「LITALICO発達ナビ」など、雑誌・ネットメディアに掲載多数。著書に『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母の毎日ラクラク笑顔になる108の子育て法』、『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』2017年/刊/ポプラ社』(大場美鈴:著、汐見稔幸:監修)がある。
※2017年5月1日現在
声かけ変換表で話題になった楽々かあさんって一体どんなひと?
つくった支援ツールは200以上!子どもたちが楽しみながら学んでいける、ひと工夫
編集部(以下、編):いつも発達ナビでコラムを書いていただきありがとうございます。そして、新著の発売おめでとうございます!
楽々かあさん(以下、楽):ありがとうございます。どうぞ今日はよろしくお願いします。
編:よろしくお願いします!楽々かあさんはこれまで数々のアイデアツールを発明されてきましたが、全部合わせるとどれくらいの数になるんですか?
楽:正確には覚えていませんが、前回の書籍で108、新著で120の子育て方法を紹介したので、単純に足し算すると228ですね。でも、失敗も含めてボツになったものもあるので、それも含めるともっとあると思います。子どもが学校に置いてきちゃったりとか、すぐに飽きられたりとか、無駄になっちゃったものが多いんですけれどね。
編:すごい数ですね。支援ツールを作り始めるきっかけは何だったのでしょうか。
楽:きっかけというか…もともと手芸やおもちゃ作りは好きだったので、うちの子が赤ちゃんの頃から、ちょっとしたグッズはよく作っていたんです。例えば、お母さんが服を汚さずに赤ちゃんのお尻を洗うための布グッズとか。
本格的な“支援ツール”と言えるものだと、「ポイント手帳」というのが一番最初の発明ですかね。子どものできたこと・がんばったことをノートに記して、ポイントをつけていって、ポイントが貯まったらお小遣いと交換できるというものです。
楽々かあさん(以下、楽):ありがとうございます。どうぞ今日はよろしくお願いします。
編:よろしくお願いします!楽々かあさんはこれまで数々のアイデアツールを発明されてきましたが、全部合わせるとどれくらいの数になるんですか?
楽:正確には覚えていませんが、前回の書籍で108、新著で120の子育て方法を紹介したので、単純に足し算すると228ですね。でも、失敗も含めてボツになったものもあるので、それも含めるともっとあると思います。子どもが学校に置いてきちゃったりとか、すぐに飽きられたりとか、無駄になっちゃったものが多いんですけれどね。
編:すごい数ですね。支援ツールを作り始めるきっかけは何だったのでしょうか。
楽:きっかけというか…もともと手芸やおもちゃ作りは好きだったので、うちの子が赤ちゃんの頃から、ちょっとしたグッズはよく作っていたんです。例えば、お母さんが服を汚さずに赤ちゃんのお尻を洗うための布グッズとか。
本格的な“支援ツール”と言えるものだと、「ポイント手帳」というのが一番最初の発明ですかね。子どものできたこと・がんばったことをノートに記して、ポイントをつけていって、ポイントが貯まったらお小遣いと交換できるというものです。
楽:この工夫は、子どもの発達障害に気づく前からなんとなくやっていたことなんですけど、やったことの成果やごほうびをわかりやすく「見える化」するというのは、実はうちの子に合ったやり方だったんだって、後で色々勉強してから知りました。支援の用語で言うと「視覚支援」ですね。
私は美術系大学でデザインや造形を学んでいて、もともとお絵かきも好きだったので、ビジュアル化する支援方法というのは自分の得意分野にも合っていて、良かったですね。
編:学生の頃にデザインを勉強されてきたことが今でも活きているのですね。
楽:ええ、活かされています。
長男は大きくなってきましたが、ポイント手帳は今も使っています。最近は物欲がなくなってきたみたいなんですけど、やっぱりあると安心するみたいですね。小さい頃は、「シールがいくつ貯まるとガチャガチャが一回できるよ」とか、物々交換制にしていましたが、小学校になってからはおこづかい制にしました。交換したお金をしばらく貯めてから欲しいゲームやフィギュアを買うとか、お金は自分で好きなように使わせています。
編:ちなみに何ポイントでいくらなんですか。
楽:以前は固定相場制でしたが、現在レートは変動相場制で調節しながらやっています。だいたい、その子の年齢に相応しい金額に収まるように設定していますが、「ちょっと稼いできたな」という時には微妙に調整したりしてます(笑)
編:なるほど、変動相場制(笑)
お子さんにとっては、ただやらされているという義務感ではなく、わくわく感をもって課題に取り組めそうで、いいですね。
楽:そうですね。なにより頑張ったのが「見える」のがいいのだと思います。
編:たくさんのツールを作成する中で、何か生活で変化したことはありましたか?
楽:最初のうちは私が全部作ってあげていたけど、最近は本人たちと相談しながら作る物も増えてきたんですよ。本人に「こういうときにはどうしたらいいのかな」って考えてもらって、自分で支援ツールのアイデアを書いてもらうとか。作り方を少しずつ直伝している感じです。
編:驚きました!自分で作ることができるようになってくるのですか。
楽:最初の頃から、お手本というか、目の前で失敗も含めて見せてきたので。
「あの頃はお母さんがこういうのを作ってたよね。この問題を解決するためにはどうしたらいい?」なんて言って、過去の例を出しながら自分で考えてもらっています。割と好きみたいですね、自分で考えるの。だから、ちょっとずつ自分で出来るように機会をつくっていってます。
最近は逆に子どもたちが私を支援してくれることもあるんですよ。長女はこないだ卒園したばかりですが、とてもしっかり者で、私が幼稚園の支度で細々としたものをすぐ忘れるので、それを絵を描いてリスト化してくれたりとかして(笑)
私は美術系大学でデザインや造形を学んでいて、もともとお絵かきも好きだったので、ビジュアル化する支援方法というのは自分の得意分野にも合っていて、良かったですね。
編:学生の頃にデザインを勉強されてきたことが今でも活きているのですね。
楽:ええ、活かされています。
長男は大きくなってきましたが、ポイント手帳は今も使っています。最近は物欲がなくなってきたみたいなんですけど、やっぱりあると安心するみたいですね。小さい頃は、「シールがいくつ貯まるとガチャガチャが一回できるよ」とか、物々交換制にしていましたが、小学校になってからはおこづかい制にしました。交換したお金をしばらく貯めてから欲しいゲームやフィギュアを買うとか、お金は自分で好きなように使わせています。
編:ちなみに何ポイントでいくらなんですか。
楽:以前は固定相場制でしたが、現在レートは変動相場制で調節しながらやっています。だいたい、その子の年齢に相応しい金額に収まるように設定していますが、「ちょっと稼いできたな」という時には微妙に調整したりしてます(笑)
編:なるほど、変動相場制(笑)
お子さんにとっては、ただやらされているという義務感ではなく、わくわく感をもって課題に取り組めそうで、いいですね。
楽:そうですね。なにより頑張ったのが「見える」のがいいのだと思います。
編:たくさんのツールを作成する中で、何か生活で変化したことはありましたか?
楽:最初のうちは私が全部作ってあげていたけど、最近は本人たちと相談しながら作る物も増えてきたんですよ。本人に「こういうときにはどうしたらいいのかな」って考えてもらって、自分で支援ツールのアイデアを書いてもらうとか。作り方を少しずつ直伝している感じです。
編:驚きました!自分で作ることができるようになってくるのですか。
楽:最初の頃から、お手本というか、目の前で失敗も含めて見せてきたので。
「あの頃はお母さんがこういうのを作ってたよね。この問題を解決するためにはどうしたらいい?」なんて言って、過去の例を出しながら自分で考えてもらっています。割と好きみたいですね、自分で考えるの。だから、ちょっとずつ自分で出来るように機会をつくっていってます。
最近は逆に子どもたちが私を支援してくれることもあるんですよ。長女はこないだ卒園したばかりですが、とてもしっかり者で、私が幼稚園の支度で細々としたものをすぐ忘れるので、それを絵を描いてリスト化してくれたりとかして(笑)
編:長女さん、とてもたのもしいですね。お母さんがお子さんを支援するだけでなくて、お子さんもお母さんのことを支援してくれる、親子で互いにサポートしあっている姿が素敵だと感じます。これから成長してゆくのが楽しみですね。
空気が読めなくたっていいじゃない。思春期を乗り切る「TPOリスト」
編:数ある支援ツールの中でこれぞ一番の自信作!っていうものは?
楽:最近のヒットはTPOリストですね。
楽:最近のヒットはTPOリストですね。
楽:長男は空気が読めない子なんです。空気が読めないことも息子の長所の一つだと、私は思っているんですけどね。でも本人としては、言っちゃいけない悪口は何かとか、ある行動をしていいときと悪いときの区別がつけられないとか、困ることも多いみたいで。
だから、場面に応じてどんな振る舞いをして良いか悪いかを、プログラミングのような要領でリスト化したんです。作る過程でも、「どんな言葉で聞けばいいと思う?」って本人と一緒に確認しながら進めていきました。
編:私も空気読めないので、欲しいです(笑)このカードはずっと増え続けていくんですね。
楽:長男は今年、6年生になったのですが、思春期に近づいてくるとより重宝するんじゃないかな。中学生くらいになると、空気の読み合いみたいになってコミュニケーションのハードルが高くなる時期ですから。
でも、人の都合を事前に確認するとか、イラっとした時にはどうやってスルーするかとか、処世術みたいなものなので。空気が読めなくたって、条件別に言葉で知っておいて実行できれば、それで十分だと思っています。
だから、場面に応じてどんな振る舞いをして良いか悪いかを、プログラミングのような要領でリスト化したんです。作る過程でも、「どんな言葉で聞けばいいと思う?」って本人と一緒に確認しながら進めていきました。
編:私も空気読めないので、欲しいです(笑)このカードはずっと増え続けていくんですね。
楽:長男は今年、6年生になったのですが、思春期に近づいてくるとより重宝するんじゃないかな。中学生くらいになると、空気の読み合いみたいになってコミュニケーションのハードルが高くなる時期ですから。
でも、人の都合を事前に確認するとか、イラっとした時にはどうやってスルーするかとか、処世術みたいなものなので。空気が読めなくたって、条件別に言葉で知っておいて実行できれば、それで十分だと思っています。