解離性障害って治るもの?

子どもの解離性障害は、身体にあらわれる症状が少ないことが知られています。

家庭環境に大きな問題がない場合には、数週間から数ヶ月ほどの短期間で治ることが多いと報告されています。
緒川和代/著『子どもの解離性障害に関する研究展望 ―事例論文を中心に―』(Bulletin of the Graduate School of Education and Human Development, Nagoya University 、 2014)
https://ci.nii.ac.jp/naid/120005553613
大人では、症状などに個人差が大きいため、数か月で改善がみられる場合もあれば数年かかる場合もあります。一般的に大人の解離性障害は、強いストレス下におかれている場合が多いことから、治療期間が長くなりがちのようです。

例えば、解離性同一性障害では、3~5年の比較的長い期間での治療が必要であるとされています。
平島奈津子先生に「解離性障害」を訊く|日本精神神経学会
https://www.jspn.or.jp/modules/forpublic/index.php?content_id=28

解離性障害の人に周りができるサポート

解離性障害では周囲の人のみならず、本人も大きな戸惑いとつらさを感じています。だんだんと、自分も他人も信じられなくなってしまうことも珍しくありません。

また、解離性同一性障害の場合などでは、家族と同じように過ごしていた別人格が治療で消えてしまうことに抵抗を感じたり、障害を受け入れられない人もいます。

大切なのは、患者さんの解離症状の特徴について理解することです。患者さんにとって、自分の症状を分かってくれる、つらさを理解してくれる人が周りにいることは、治療への大きな力となります。

また、解離性障害はストレスとの関連が強いので、日常生活でストレスをできるだけ少なくするような工夫も必要です。患者さんと周りとの人間関係にストレスの原因があるのであれば、その関係性を見直すことも考えてみましょう。

病気について分からないことがある、もしくは患者さんとの関係性に悩みを抱えている際には、専門医に家族相談という形で面談をするのも有効な手段です。

どんな小さなことでも相談できる窓口があります

解離性障害の原因に虐待が疑われる場合には、子ども本人の環境を改善する必要があります。解離性障害を治療したとしても、その子の環境が変わらないと原因となるストレスがなくならないためです。

この記事を読んでくださっている方のなかで、子どもをつい叩いてしまう、感情のままに怒鳴ってしまう…本当はやめたいけれど、知っている人には相談できないと思い悩んでいる方はいませんか。

そんな場合には、電話窓口やインターネットなど、顔の見えない相手に相談することを考えてみてください。虐待してしまって悩んでいる人の相談を聞いてくれる窓口があります。すべての相談窓口は匿名で話を聞いてくれます。個人情報を知られることなく相談できますので、もし悩んでいる方がいらしたらためらわずに電話してみてください。

189(いちはやく):児童相談所全国共通ダイヤル

虐待を通告する制度として知られている番号ですが、虐待してしまっていることを相談する窓口としても機能しています。「189」番を押すと、固定電話であればお近くの児童相談所に転送してくれます。携帯電話の場合はガイダンスに従って、お住まいの地域の児童相談所に転送されますが、どちらの場合であっても、個人が特定されることはありません。
189(いちはやく):児童相談所全国共通ダイヤル|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/gyakutai/

日本子どもの虐待防止民間ネットワーク

メールで相談できるサイトです。こちらも匿名で相談でき、秘密は守られます。虐待でなくても、育児の不安やご自身が過去に受けた虐待についても相談することができます。
日本子どもの虐待防止民間ネットワーク
http://www.jcapnet.jp/consult/kiyaku.php

チャイルドライン

18歳までの子どもが相談する電話窓口です。電話で名前や学校を言う必要はありませんし、相談した内容の秘密は守られます。最初は相談できなくても、「誰かと話したい」といった場合にでも気軽に電話をかけられます。
チャイルドライン|NPO法人チャイルドライン支援センター
https://childline.or.jp/
次ページ「まとめ 」

追加する

バナー画像 バナー画像

年齢別でコラムを探す


同じキーワードでコラムを探す



放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

コラムに対する投稿内容については、株式会社LITALICOがその内容を保証し、また特定の施設、商品及びサービスの利用を推奨するものではありません。投稿された情報の利用により生じた損害について株式会社LITALICOは一切責任を負いません。コラムに対する投稿内容は、投稿者の主観によるもので、株式会社LITALICOの見解を示すものではありません。あくまで参考情報として利用してください。また、虚偽・誇張を用いたいわゆる「やらせ」投稿を固く禁じます。「やらせ」は発見次第厳重に対処します。