アスペルガー症候群の恋愛・結婚|知っておきたい恋愛のキホンや当事者体験談をご紹介します!

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アスペルガー症候群の人で、「恋愛や結婚の願望はあるけどなかなか難しい…」「どうやって好きな人にアタックすればいいの?」と悩んでいる人はいませんか?この記事では、アスペルガー症候群の特性を詳しく解説しながら、恋愛や結婚をするうえで気をつけたいことや、当事者の皆様から寄せられた恋愛・結婚体験談をご紹介します。

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発達障害のキホン
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監修: 井上 雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
専門行動療法士
自閉症支援士エキスパート
LITALICO研究所 客員研究員
公認心理師
目次 アスペルガー症候群とは? アスペルガー症候群の人が恋愛で困ることって? 恋愛で困ったら?アスペルガー症候群の人がやるべきこと アスペルガー症候群の人が知っておきたい!恋愛のキホンとは パートナーがアスペルガー症候群の場合、心がけたいこととは? アスペルガー症候群の人の恋愛体験談 まとめ

アスペルガー症候群とは?

アスペルガー症候群とは発達障害の一つです。主な症状としては、「コミュニケーションの障害」「対人関係の障害」「限定された物事へのこだわり・興味」の大きく3つが挙げられます。対人関係の中でも特に複雑といえる恋愛や結婚に関して、その症状・特性ゆえに難しく感じたり悩みを持ったりしている人は少なくありません。

アスペルガー症候群は、世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)(※)や、アメリカ精神医学会の『DSM-Ⅳ-TR』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第4版 テキスト改訂版)という診断基準における疾患名です。2013年に発行された『DSM-5』においては「自閉症スペクトラム障害(ASD)」という別の診断名に統合されたため、最近は自閉症スペクトラム(ASD)という名称で呼ばれることが増えています。

ただし、恋愛や結婚について考えたり経験したりする思春期のお子さんや成人の方の中には、すでにアスペルガー症候群という診断名のある人も多いと考えられます。そこで今回は、アスペルガー症候群という診断名に統一して解説していきます。

※ICD-10について:2019年5月、世界保健機関(WHO)の総会で、国際疾病分類の第11回改訂版(ICD-11)が承認されました。日本国内ではこれから、日本語訳や審議、周知などを経て数年以内に施行される見込みです。
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アスペルガー症候群の人が恋愛で困ることって?

アスペルガー症候群の人には大きく分けて3つの特徴がある、とご紹介しましたが、その特徴は具体的にどのような場面で困り感をもたらすのでしょうか。

コミュニケーションの障害

アスペルガー症候群の人は、会話そのものは問題なくできる場合がほとんどです。しかし、言葉をそのままの意味で受け取ってしまう傾向があるため、人の言葉を勘違いしやすく、傷つきやすいと言われています。具体的には以下のようなことが困りごととして考えられます。
■相手の気持ちを察することが難しい
人と人との会話においては、必ずしも目的や要求がすべて言葉に表れるとは限りません。また、コミュニケーションは言葉だけでなく相手の表情や目線を読み取ることも求められます。アスペルガー症候群の人は言葉の裏や行間を読むことや、言葉ではないあいまいなコミュニケーションを取ることが難しいと感じる時があります。

相手と恋愛を進めていくためには、相手がどのような表情で会話しているかで相手の気持ちを読み取ったり、発言のトーンや語尾から相手の喜怒哀楽を察したりするなど、はっきりと言葉として表れないようなやりとりも必要になってきます。アスペルガー症候群の人はそのようなあいまいさを的確に解釈するのに困ることがあり、そのため恋愛を進めていくうえで苦労することが多いといえます。

■不適切な表現や言動で相手を傷つけてしまう
アスペルガー症候群の人は、自分の思ったことをその場面や状況に関係なく素直に発してしまうことがあります。伝えたいことを遠回しに伝えることに難しさを感じることがあり、言い方が直接的すぎたり、キツくなったりしてしまいがちです。

そのため、パートナーを知らず知らずのうちに傷つけてしまっていることもあるかもしれません。傷ついたパートナーが悲しんでいたり、怒ったりしても「自分が思ったことをそのまま言っただけなのに、どうして泣かせてしまったのだろう。ケンカになってしまったのだろう。」と自分が相手を傷つけている理由がわからなくて悩むケースも多いようです。

■言葉どおりに受け取ってしまう
「何でもいいよ」「何もしなくていいよ」などと言われ、その通りにしたら相手に嫌われてしまったというケースもあります。世の中には、純粋に相手のことを好きだからデートに誘ったり、気持ちを伝えたりする人もいれば、そうではない人もいます。例えば、他に恋人や配偶者がいるのにも関わらずそのことを隠して近づいてくる人、その人自身ではなく、その人が持っているもの(お金など)が欲しいために恋愛関係を利用して近づいてくる人などがいることも事実です。

そのような人達と、純粋に恋愛感情を抱いてくれている人達を見分けることは誰にとっても難しいことです。その中でもアスペルガー症候群の人は気持ちの裏が読めないので、相手の好意的な言葉を信じきってしまうようなことが多くあるようです。その結果、相手のことを誤解したまま、悲しい思いをしてしまう人も少なくありません。

対人関係の障害

コミュニケーションの障害とも関係して、アスペルガー症候群の人は対人関係にも苦労することが多いと言います。例えばこのようなことが考えられます。
■他人にノーと伝えるのが苦手で傷つきやすい
アスペルガー症候群の人は「お互い恋愛感情を持って思いやっているのだから、相手の要求はすべて呑んであげなくてはならない」「パートナーに自分の意見を否定されてしまった。もう自分のことは嫌いになってしまったのか」など、極端な考え方になってしまったり、相手の言葉や行動に敏感で、ささいなことで傷ついたりしてしまうことがあります。

■相手に依存しすぎてしまったり、相手を束縛しすぎてしまう
片思いの段階でも相手の反応をうかがうことなくアプローチし続けてしまう、「相手が好き、相手のすべてを知りたい」と言う気持ちから相手につきまとってしまい、ストーカーと思われてしまった経験がある人もいるようです。

「好きな人を独占したい」「自分だけを見てほしい」と言う気持ちは誰でも少なからず持っている気持ちですが、この気持ちが強くなってしまうと、アスペルガー症候群の特性の一つであるこだわりと結びついて問題行動に発展してしまい、相手を過度に束縛してしまうこともあるようです。

また交際や結婚に至った場合でも、「パートナーのことが好き!」という気持ちに一直線になりすぎて相手に過度に関わりを持とうとしてしまったり、自分を理解してくれるパートナーに何でもかんでも頼ってしまったりすることがあるようです。

■他人と長時間一緒にいられない
コミュニケーションがうまく取れない、人とうまく付き合えないと自覚しているために自分から人と距離を置いたり、恋人や夫婦になっても一人の時間を強く求めたりするようなアスペルガー症候群の人もいます。

限定された物事へのこだわり・興味

アスペルガー症候群の人は、一度あることに興味を持つと過剰といえるほど熱中し、こだわる特性がある人が多いと言われています。きちんとした法則性や規則性を好む傾向があり、それが崩れるとひどく困惑したり、パニックになったりする傾向があります。恋愛においては次のような困り感につながることがあります。

■約束や両者で決めたルールを完璧に守ろうとする、それらの変更に対応できない
法則や規則できちんと決められている状態に安心を感じるアスペルガー症候群の人は、デートの約束や恋人・夫婦間で決めたルールも完璧に守ろうとすることがあります。ただ、このような約束事は人と人との間で決めたものなので、やむを得ず守ることができなかったり、破ってしまったりすることもありますよね。

アスペルガー症候群の人は「決して故意で約束を破ったわけじゃない、どうにもならなかったんだ」などと説明されても「約束を破った」の一点張りで許すことができなかったり、それによる予定などの変更にひどく混乱してしまったりすることがあります。

恋愛で困ったら?アスペルガー症候群の人がやるべきこと

アスペルガー症候群の人がその特性ゆえに恋愛や結婚に関して悩んだ時、どのように乗り越えていけばよいかを解説します。

自分の特性・相手の特性を理解する

恋愛や結婚で「うまくいかない…困った…」と感じたら、まずはその困りごとの裏側にある自分の特性を、自分自身で理解することが大切です。アスペルガー症候群の特徴はなんなのか、自分はどんな特性がとりわけ見られるのかについて考えていきましょう。自分自身ではもちろん、わからなかったら心理士などの専門家や身近な友人に相談するとよいでしょう。

また、自分に特性があるように、相手にも自分とは違う特性があります。自分と相手はいくら仲が良くても違う人間である、自分では考えられないような特性をもっている場合もある、ということへの理解も重要です。お互いの特性を理解することで、苦手なことを補い合っていける良い関係を築くことにもつながるでしょう。

相談できる場をもっておく

恋愛や結婚に関しては、これと言った決まった正解がないために、一人で考えていてもどうしたらよいかわからないことがあると思います。そんな時、恋愛や結婚に関して相談できる人や場を見つけておくことが、恋愛や結婚に関するお悩み解消の手立てとなることがあります。

相談する人の例として、家族や友人、自分を診てもらっている医師やカウンセラーの人などが一番身近と言えます。もし、そのような身近な人に相談するのが難しい場合は、自助団体などの困りごとを共有・共感してくれるような場や、発達障害者支援センターなどの相談支援を行っている機関に相談するのも一つの手段でしょう。発達障害者支援センターでは匿名で電話相談やメールをすることも可能なので、恋愛や結婚などの相談も比較的持ちかけやすいかもしれません。

恋愛関係におけるルールがわかりやすく書かれた本やサイトを読んでみる

学校では、保健体育の授業などで「思春期になったら異性を意識しはじめる」程度のことしか教えてもらえません。「交際するとはどういうことなのか」「恋愛関係や結婚に至るにはどのようなプロセスを踏めばいいのか」など、恋愛に関する詳しいことは自然に習得することを暗に求められています。

しかし、アスペルガー症候群をはじめとする発達障害のある人は、暗黙の了解とされているようなあいまいな物事を理解するのに苦労する傾向があります。そのため、恋愛や結婚をするうえでのルールやプロセスが解説された本やウェブサイトで、恋愛や結婚を進めるためにどう行動すればよいのかを学んでみることをおすすめします。このような本やウェブサイトで紹介されている情報が全部正しい、というわけではなく、全てが自分にあてはまるわけでもありませんが、それらを読んでみることで困り感や悩み解決の第一歩になるかもしれません。

アスペルガー症候群の人向けの恋愛アドバイス本も多数出版されているので、興味をそそられたものを手に取ってみるのもよいでしょう。
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対人関係をうまく進めるためのマナーを意識する

恋愛をしようという時に、なによりはじめに異性との付き合い方や好きになってもらう方法を考える人が多いかもしれません。ですが、「恋愛をしたい、好きな人にアプローチしたい」と思ったらまず、誰にとっても「話してみたい、仲良くなりたい」と思ってもらえるよう、対人関係における基本的なマナーを身につけることです。例えば、以下のようなものがあります。

・身だしなみを整える(髪の毛や爪の長さ、服装など)
・適切な対人距離を心がける(相手が顔をそむけたくなったり、びっくりしたりするほど近づきすぎないなど)
・視線の使い方に気をつける(人と話すときは相手の目、難しかったら相手の顔のどこか一部分を見るように心がける、相手の顔をじろじろ見続けないなど)
・人に会ったら挨拶をする など

まずはこのような、相手に好感をもってもらうための基本的なマナーの理解と実践を意識することが恋愛のファーストステップとなります。
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