アスペルガー症候群の恋愛・結婚|知っておきたい恋愛のキホンや当事者体験談をご紹介します!【専門家監修】

ライター:医師・専門家監修|発達障害・支援のキホン
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アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の人で、「恋愛や結婚の願望はあるけどなかなか難しい……」「どうやって好きな人にアタックすればいいの?」と悩んでいる人はいませんか?この記事では、アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の特性を詳しく解説しながら、恋愛や結婚をするうえで気をつけたいことや、当事者の皆様から寄せられた恋愛・結婚体験談をご紹介します。

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監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。
目次

アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)とは?

アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)とは発達障害の一つです。主な症状としては、「コミュニケーションの障害」「対人関係の障害」「限定された物事へのこだわり・興味」の大きく3つが挙げられます。対人関係の中でも特に複雑といえる恋愛や結婚に関して、その症状・特性ゆえに難しく感じたり悩みを持ったりしている人は少なくありません。

アスペルガー症候群という名称は、言葉や知的の発達に遅れがない場合に用いられていましたが、アメリカ精神医学会発刊の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)において自閉的特徴を持つ疾患が統合され、2022年発刊の『DSM-5-TR』では「自閉スペクトラム症」という診断名になりました。

ただし、恋愛や結婚について考えたり経験したりする思春期のお子さんや成人の方の中には、すでにアスペルガー症候群という診断名のある人も多いと考えられます。そこで本記事では、アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)という診断名に統一して解説していきます。
アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)とは?特徴と相談先【専門家監修】のタイトル画像

アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)とは?特徴と相談先【専門家監修】

【専門家監修】ASD(自閉スペクトラム症)の子どもの0歳~6歳、小学生、思春期まで年齢別の特徴、診断や治療、支援、接し方などのタイトル画像

【専門家監修】ASD(自閉スペクトラム症)の子どもの0歳~6歳、小学生、思春期まで年齢別の特徴、診断や治療、支援、接し方など

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アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の原因は?遺伝する確率はある?【専門家監修】

アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の恋愛の特徴とは?恋愛で困ることって?

アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の人の恋愛傾向には、アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の大きく分けて3つの特徴「コミュニケーションの障害」「対人関係の障害」「限定された物事へのこだわり・興味」が影響していることもあります。例えば以下のような恋愛傾向がある場合があります。

■相手の気持ちを察することが難しい
■不適切な表現や言動で相手を傷つけてしまう
■言葉どおりに受け取ってしまう
■他人にノーと伝えるのが苦手で傷つきやすい
■相手に依存しすぎてしまったり、相手を束縛しすぎてしまう
■他人と長時間一緒にいられない
■約束や両者で決めたルールを完璧に守ろうとする、それらの変更に対応できない

など

「コミュニケーションの障害」「対人関係の障害」「限定された物事へのこだわり・興味」の恋愛への影響、具体的にどのような場面で困り感をもたらすのか詳しく解説していきます。

アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の特徴「コミュニケーションの障害」がもたらす恋愛での困り

アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の人は、言葉をそのままの意味で受け取ってしまう傾向があるため、人の言葉を勘違いしやすく、傷つきやすいと言われています。具体的には以下のようなことが困りごととして考えられます。

・相手の気持ちを察することが難しい
・不適切な表現や言動で相手を傷つけてしまう
・言葉どおりに受け取ってしまう

それぞれについて解説していきます。
■相手の気持ちを察することが難しい
人と人との会話においては、必ずしも目的や要求がすべて言葉に表れるとは限りません。また、コミュニケーションは言葉だけでなく相手の表情や目線を読み取ることも求められます。アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の人は言葉の裏や行間を読むことや、言葉ではないあいまいなコミュニケーションを取ることが難しいと感じる時があります。

相手と恋愛を進めていくためには、相手がどのような表情で会話しているかで相手の気持ちを読み取ったり、発言のトーンや語尾から相手の喜怒哀楽を察したりするなど、はっきりと言葉として表れないようなやりとりも必要になってきます。アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の人はそのようなあいまいさを的確に解釈するのに困ることがあり、そのため恋愛を進めていくうえで苦労することが多いといえます。

■不適切な表現や言動で相手を傷つけてしまう
アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の人は、自分の思ったことをその場面や状況に関係なく素直に発してしまうことがあります。伝えたいことを遠回しに伝えることに難しさを感じることがあり、言い方が直接的すぎたり、キツくなったりしてしまいがちです。

そのため、パートナーを知らず知らずのうちに傷つけてしまっていることもあるかもしれません。傷ついたパートナーが悲しんでいたり、怒ったりしても「自分が思ったことをそのまま言っただけなのに、どうして泣かせてしまったのだろう。ケンカになってしまったのだろう。」と自分が相手を傷つけている理由がわからなくて悩むケースも多いようです。

■言葉どおりに受け取ってしまう
「何でもいいよ」「何もしなくていいよ」などと言われ、その通りにしたら相手に嫌われてしまったというケースもあります。世の中には、純粋に相手のことを好きだからデートに誘ったり、気持ちを伝えたりする人もいれば、そうではない人もいます。例えば、他に恋人や配偶者がいるのにも関わらずそのことを隠して近づいてくる人、その人自身ではなく、その人が持っているもの(お金など)が欲しいために恋愛関係を利用して近づいてくる人などがいることも事実です。

そのような人達と、純粋に恋愛感情を抱いてくれている人達を見分けることは誰にとっても難しいことです。その中でもアスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の人は気持ちの裏が読めないので、相手の好意的な言葉を信じきってしまうようなことが多くあるようです。その結果、相手のことを誤解したまま、悲しい思いをしてしまう人も少なくありません。
司馬 理英子/著『シーン別アスペルガー会話メソッド―日本初! コミュニケーション力がぐんぐん身につく 』2013年/主婦の友インフォス情報社
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アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の特徴「対人関係の障害」がもたらす恋愛での困り

アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の人は、コミュニケーションの障害とも関係して、対人関係にも苦労することが多いと言います。例えばこのようなことが考えられます。

・他人にノーと伝えるのが苦手で傷つきやすい
・相手に依存しすぎてしまったり、相手を束縛しすぎてしまう
・他人と長時間一緒にいられない

それぞれについて解説していきます。
■他人にノーと伝えるのが苦手で傷つきやすい
アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の人は「お互い恋愛感情を持って思いやっているのだから、相手の要求はすべて呑んであげなくてはならない」「パートナーに自分の意見を否定されてしまった。もう自分のことは嫌いになってしまったのか」など、極端な考え方になってしまったり、相手の言葉や行動に敏感で、ささいなことで傷ついたりしてしまうことがあります。

■相手に依存しすぎてしまったり、相手を束縛しすぎてしまう
片思いの段階でも相手の反応をうかがうことなくアプローチし続けてしまう、「相手が好き、相手のすべてを知りたい」と言う気持ちから相手につきまとってしまい、ストーカーと思われてしまった経験がある人もいるようです。

「好きな人を独占したい」「自分だけを見てほしい」と言う気持ちは誰でも少なからず持っている気持ちですが、この気持ちが強くなってしまうと、アスペルガー症候群の特性の一つであるこだわりと結びついて問題行動に発展してしまい、相手を過度に束縛してしまうこともあるようです。

また交際や結婚に至った場合でも、「パートナーのことが好き!」という気持ちに一直線になりすぎて相手に過度に関わりを持とうとしてしまったり、自分を理解してくれるパートナーに何でもかんでも頼ってしまったりすることがあるようです。

■他人と長時間一緒にいられない
コミュニケーションがうまく取れない、人とうまく付き合えないと自覚しているために自分から人と距離を置いたり、恋人や夫婦になっても一人の時間を強く求めたりするようなアスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の人もいます。
デビ・ブラウン/著 『アスピーガールの心と体を守る性のルール 』2017年/東洋館出版社
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アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の特徴「限定された物事へのこだわり・興味」がもたらす恋愛への困り

アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の人は、一度あることに興味を持つと過剰といえるほど熱中し、こだわる特性がある人が多いと言われています。きちんとした法則性や規則性を好む傾向があり、それが崩れるとひどく困惑したり、パニックになったりする傾向があります。恋愛においては次のような困り感につながることがあります。

■約束や両者で決めたルールを完璧に守ろうとする、それらの変更に対応できない
法則や規則できちんと決められている状態に安心を感じるアスペルガー症候群の人は、デートの約束や恋人・夫婦間で決めたルールも完璧に守ろうとすることがあります。ただ、このような約束事は人と人との間で決めたものなので、やむを得ず守ることができなかったり、破ってしまったりすることもありますよね。

アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の人は「決して故意で約束を破ったわけじゃない、どうにもならなかったんだ」などと説明されても「約束を破った」の一点張りで許すことができなかったり、それによる予定などの変更にひどく混乱してしまったりすることがあります。

恋愛で困ったら? アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の人がやるべきこと

アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の人がその特性ゆえに恋愛や結婚に関して悩んだ時、どのように乗り越えていけばよいかを解説します。

自分の特性・相手の特性を理解する

恋愛や結婚で「うまくいかない……困った……」と感じたら、まずはその困りごとの裏側にある自分の特性を、自分自身で理解することが大切です。アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の特徴はなんなのか、自分はどんな特性がとりわけ見られるのかについて考えていきましょう。自分自身ではもちろん、わからなかったら心理士などの専門家や身近な友人に相談するとよいでしょう。

また、自分に特性があるように、相手にも自分とは違う特性があります。自分と相手はいくら仲が良くても違う人間である、自分では考えられないような特性をもっている場合もある、ということへの理解も重要です。お互いの特性を理解することで、苦手なことを補い合っていける良い関係を築くことにもつながるでしょう。

相談できる場をもっておく

恋愛や結婚に関しては、これと言った決まった正解がないために、一人で考えていてもどうしたらよいかわからないことがあると思います。そんな時、恋愛や結婚に関して相談できる人や場を見つけておくことが、恋愛や結婚に関するお悩み解消の手立てとなることがあります。

相談する人の例として、家族や友人、自分を診てもらっている医師やカウンセラーの人などが一番身近と言えます。もし、そのような身近な人に相談するのが難しい場合は、自助団体などの困りごとを共有・共感してくれるような場や、発達障害者支援センターなどの相談支援を行っている機関に相談するのも一つの手段でしょう。発達障害者支援センターでは匿名で電話相談やメールをすることも可能なので、恋愛や結婚などの相談も比較的持ちかけやすいかもしれません。
発達障害者支援センター・一覧|出典:国立障害者リハビリセンター
http://www.rehab.go.jp/ddis/action/center/
一般社団法人 日本自閉症協会 相談事業のご案内
http://www.autism.or.jp/infomation05/consultation201910.htm

恋愛関係におけるルールがわかりやすく書かれた本やサイトを読んでみる

学校では、保健体育の授業などで「思春期になったら異性を意識しはじめる」程度のことしか教えてもらえません。「交際するとはどういうことなのか」「恋愛関係や結婚に至るにはどのようなプロセスを踏めばいいのか」など、恋愛に関する詳しいことは自然に習得することを暗に求められています。

しかし、アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)をはじめとする発達障害のある人は、暗黙の了解とされているようなあいまいな物事を理解するのに苦労する傾向があります。そのため、恋愛や結婚をするうえでのルールやプロセスが解説された本やウェブサイトで、恋愛や結婚を進めるためにどう行動すればよいのかを学んでみることをおすすめします。このような本やウェブサイトで紹介されている情報が全部正しい、というわけではなく、全てが自分にあてはまるわけでもありませんが、それらを読んでみることで困り感や悩み解決の第一歩になるかもしれません。

アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の人向けの恋愛アドバイス本も多数出版されているので、興味をそそられたものを手に取ってみるのもよいでしょう。
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アスペルガー女子へ贈る性と恋愛ガイド!『アスピーガールの心と体を守る性のルール』

アスペルガーの男性が女性について知っておきたいこと
マクシーン アストン (著), Maxine Aston (原名), テーラー 幸恵 (翻訳)
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ボクの彼女は発達障害―障害者カップルのドタバタ日記 (ヒューマンケアブックス)
くらげ (著), 梅永雄二 (監修)
学研プラス
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対人関係をうまく進めるためのマナーを意識する

恋愛をしようという時に、なによりはじめに異性との付き合い方や好きになってもらう方法を考える人が多いかもしれません。ですが、「恋愛をしたい、好きな人にアプローチしたい」と思ったらまず、誰にとっても「話してみたい、仲良くなりたい」と思ってもらえるよう、対人関係における基本的なマナーを身につけることです。例えば、以下のようなものがあります。

・身だしなみを整える(髪の毛や爪の長さ、服装など)
・適切な対人距離を心がける(相手が顔をそむけたくなったり、びっくりしたりするほど近づきすぎないなど)
・視線の使い方に気をつける(人と話すときは相手の目、難しかったら相手の顔のどこか一部分を見るように心がける、相手の顔をじろじろ見続けないなど)
・人に会ったら挨拶をする など

まずはこのような、相手に好感をもってもらうための基本的なマナーの理解と実践を意識することが恋愛のファーストステップとなります。
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アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の人が知っておきたい!恋愛のキホンとは

ここではアスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の人が誤解しやすい、恋愛や結婚に関する基本的なルールを解説していきます。

出会い~片想い

幸運にも好きな人と出会うことができた時、両思いを願いながらアプローチしていくのは勇気がいることだと思います。この段階で念頭に置いておきたいことは、自分が相手のことを好きだからといって、相手も自分のことが好きかどうかはわからないということ、勇気を出して気持ちを告白したとしても、断られる場合もあるということです。

アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の人は、自分が相手のことを好き、という気持ちのみで突っ走ってしまうことがあります。ですが、自分と相手の気持ちが常に一致するとは限らないこと、相手には相手の気持ちがあるということを理解しなくてはなりません。

他にも、この段階で気をつけたいことは以下のようなものが挙げられます。

・デートやプレゼントだけが好意や愛情を示す手段ではない
・メールや電話は直接顔を合わせないが、相手のことを考えてする必要がある(メールや電話をする頻度を相手と同じくらいに合わせてみる、丁寧な文面・話し方を心がけるなどの配慮が必要)
・相手の気持ちは言葉だけでは図ることができない 
・嫌な時はきちんと「嫌です」「やめてください」などと断る
・許可なく急に異性に触らない


交際をスタートさせるまでは、相手が自分のことをどのように思っているか、なかなかわかりません。だからこそ、相手のことを思いやったアプローチを心がけましょう。

また、残念ながらアプローチに対して断られてしまった場合、すぐに諦めたり切り替えたりすることは大変難しいと思います。ですがこの時も相手には相手の気持ちがある、という考え方を忘れないこと、むやみにアプローチを続けようとしないことを意識し、ゆっくりと時間をかけてでも相手の答えを受け入れていくことが大切です。

交際スタート~結婚

見事、好きな人と交際ができた、結婚したなど、好きな人がパートナーとなった場合も心がけておくことがあります。例えば、このようなことが考えられます。

・勉強や仕事と恋愛のバランスが極端に偏りすぎないように心掛ける(依存しない)
・恋人だからといってなんでも言われた通りにしない
・相手との間に完璧を求めすぎない、妥協点をさぐる
・別れることになっても執着しすぎない、追いかけ過ぎない


相手と両思いになった、結婚し、生涯のパートナーになったという場合でも、「自分は自分、相手は相手」という考え方を忘れてはいけません。自分にも相手にもそれぞれ抱えている事情があります。そのうえで2人で折り合いをつけつつお互いの気持ちを尊重し合う、お互いに勉強や仕事をするべき時は学習や業務に集中し、恋愛が生活の100%にならないよう声を掛け合う、など工夫することで良い関係性を築いていくことにつながるでしょう。

パートナーがアスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の場合、心がけたいこととは?

アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)について理解を深める

アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)のパートナーに対して、「どうして相手に構わずストレートな物言いをするのだろう」「約束を守れなかったのはわざとではなく事情があるのに、いくら説明してもわかってくれない」など、さまざまな不満や困り感を抱いている人は多いのではないでしょうか。

パートナーがアスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の場合、まずアスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)にはどのような特性があり、生活の場面で何につまずいてしまいがちなのかを理解することからはじめましょう。相手からの言葉や行動から、むやみに「自分のことをわかっていない」「実は相手は自分のことを好きではないのかも」と捉えてしまうと、お互いが本当に理解しあう前に関係が破綻してしまうこともあります。

アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の特性を知ることで「わざとあんな言い方をしてるのではなくて、あいまいなコミュニケーションが苦手だからなんだ」「規則や約束を何があっても完璧に守ろうとする特性があるから、予定を変更するとパニックになるのか」とパートナーへ抱いていた不満や悩みが、特性ゆえのものであることが納得できると思います。特性とパートナーの困り感を結びつけて理解できると、困り感の改善方法は2人にとってよりよいものになります。そしてより前向きな姿勢で相手との関係をつくりあげていくことにつながります。

相手に対して直してほしいこと、嫌だと思ったことについて、伝え方を工夫する

前の記述でも詳しく説明したように、アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の人はあいまいなコミュニケーションが苦手という特性があります。そのため、アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)のパートナーに対して不満があった時に「あなたのこういうところが嫌!直して!」とただ感情的に気持ちをぶつけてもアスペルガー症候群の人にとってはなぜ嫌なのか、なぜそんなに感情的なのか、わからないことが多くあるそうです。パートナーに直してほしいところがあり、それを伝えたいと思った場合、次の3ステップを意識してみることをおすすめします。

1. 自分が不満に思った、相手の言葉や行動を詳しく説明する
2. その言葉や行動に対してどんな感情を抱いたのか
3. 相手にはこれからどのような言葉・行動を心がけてほしいのか


この3ステップに則ってはっきりと具体的に伝えてあげることで、アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の人も相手の考えに納得することができ、不満や困り感が解消されるかもしれません。
アスペルガーのパートナーのいる女性が知っておくべき22の心得
ルディ・シモン (著), エマ・リオス (イラスト), 牧野 恵 (翻訳)
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旦那さんはアスペルガー ウチのパパってなんかヘン!?
野波 ツナ (著), 宮尾益知 (監修)
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あらかじめ二人で話し合っておく

アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の人は、他の人の気持ちを察するのが苦手であり、またパターン化した状況から柔軟な対応が難しいことがあります。

たとえば、風邪で寝込んでいるパートナーに対しても「ご飯をつくって」と言い、自分はマイペースにゲームに没頭してしまうなど、がっかりさせたりイライラさせてしまうことがあります。

そうした事態を避けるために、「忙しい時や体調が悪い時は家事分担していても例外として代わることもある」などとあらかじめ決めておくなどするとよいでしょう。もし、その場で伝える場合には感情的にならず、どうしてほしいかを具体的に言うようにします。

相談できるような人や場を探しておく

これまでアスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)のパートナーとうまくつきあっていくための工夫を紹介してきましたが、そうはいっても相手とのコミュニケーションに悩んだり、困ったりする場面は多いと思います。そんな時、家族や友人をはじめ、相談しやすい人が誰かを把握し、少し悩んだらすぐ相談できるような環境を整えておくことが大切です。家族や友人には話しづらい…という方は、パートナーがアスペルガー症候群の人が立ち上げたネット上のコミュニティなどで同じ悩みを持つ人を探してみたり、体験談を読んでみたりするのもよいでしょう。

アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の人とのコミュニケーションがうまくいかず、深く悩んでしまうと、カサンドラ症候群と呼ばれる二次障害が生じることもあります。悩みが深刻化し、そのような二次障害を発症する前に、周りの人やコミュニティの中で、相談できるところをいくつか見つけておくことをおすすめします。
発達ナビコミュニティ カサンドラ症候群に悩まされて
https://h-navi.jp/community/communities/52
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カサンドラ症候群の症状・原因・対処法、ASD(自閉スペクトラム症)のある家族とお互いに無理なく過ごすための4つのヒント【専門家監修】

アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の人の恋愛体験談

ここで発達ナビに寄せられた、恋愛体験談を紹介します。

まずはパートナーにアスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の傾向があるという人の経験談です。アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の特性に対する理解が相手と関係を築いていくうえで大切である、ということを実際に感じたとのことです。
私は、自分が先天性の「ろう者」で、アスペルガーの夫がいます。
夫が、アスペルガーと分かったのは結婚して一緒に暮らしてから、だんだんとアレ?!と思う事が色々と起きて、友達の家でひょんなことから目にした本の中にアスペルガー関連の事が載っていて、思い当たる事がいっぱいあり、夫抜きで1人で発達障害専門の病院へ相談をしに行ったら、アスペルガーの可能性が90%ですね!(残りは本人がいないから) と言われて、やっぱり!!!とモヤモヤしていたのが消えたんです。
私も、先天性の障害だから、アスペルガーも先天性の障害なので、こんなものか!と軽く捉えるようになり、夫が突然パニックを起こしても、あまり気にならなくなりました笑
やっぱり、お互いの事を理解すればするほど、「なんで?」と思わなくなるし、新しい発見もあったりして楽しいです。
出典:https://h-navi.jp/qa/questions/29288
パートナーに感じていた疑問や不満も、アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の特性ゆえなんだ!と気づくことで、ある程度解消されるケースは多いようです。お互いの理解が深まるうちに疑問や不満が少なくなり、代わりに「新しい発見」として楽しむことができると、2人の関係性もより素敵なものになりますね。

次に、高機能自閉症当事者の方の恋愛体験談です。
異性との接し方が全くわからないので、自分からは全く動けない。
恋愛感情が芽生えたことは頻繁にあっても、自分を誤魔化し続けるのが精一杯。

(中略)

女性との仕事の話や、自分が客として女性店員と接するのに、最近ようやく慣れたところ。
出典:https://h-navi.jp/qa/questions/56275?community_category=trouble&order=desc
異性との接し方ははっきり教えてくれるような場がなく、世の中にはぼんやりとした、それでいてさまざまな情報が出回っています。そのため、どのように異性と接すればよいかわからず、誰かに好意を抱いてもアプローチなどできない、と思っている人は少なからずいるのではないでしょうか。

体験談を寄せてくださった方は、女性と仕事の話を通して関わりをもってみる、店員と客という立場を通して女性と話してみるという方法で、女性と接することに対して慣れようと試みているそうです。

このように、恋愛や結婚を目指す前に、異性とのコミュニケーションに慣れるという目的で、異性の店員さんなどに話しかけることもひとつの方法と言えます。さまざまな人と話すうちに、異性の中でも性格や趣味、興味などが違うこともわかってくると思います。異性と接することに慣れていくうちに、自分に合う人の特徴も徐々にはっきりとわかってくるかもしれません。
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高機能自閉症とは?アスペルガー症候群とは違うの?【専門家監修】

まとめ

アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の人は、「コミュニケーションの障害」「対人関係の障害」「限定された物事へのこだわり・興味」に代表される3つの特性ゆえに、恋愛や結婚において、相手とのやりとりや関係性を築いていくのに苦労することがあります。

「恋愛や結婚をしたい!」と思ったら、まず自分が何に困るのかを把握することが大切です。それと同時に、恋愛に関するルールを、相談しやすい人物や機関、また書籍やウェブサイトから少しずつ学んでいくのもよいでしょう。

自分が思いを寄せていたり、既にカップルとして関係が築けていたりしたとしても、自分と相手は違う人間です。どんな特性をもっていて、どんなことを嫌に思うのかは人それぞれ異なります。自分がアスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)である、パートナーがアスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)である、どちらの場合であっても自分と相手の違うところを認め、理解しあうことで素敵な関係を築いていきたいですね。
アスピーガールの心と体を守る性のルール
デビ・ブラウン (著), 志村貴子 (イラスト), 村山光子 (翻訳), 吉野智子 (翻訳)
東洋館出版社
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