【専門家監修】機能不全家族、アダルト・チルドレンにとは?原因、特徴、相談先や家族の立て直し方をご紹介
機能不全家族とは学術的な用語ではなく、書籍で使われたことがきっかけで広まった俗称で、ストレスが日常的に存在している家族状態のことを指して使われる言葉です。主に保護者から子どもへの虐待・ネグレクト(育児放棄)・子どもに対する過剰な期待などのさまざまな要因が家庭内にあり、子育てや生活などの家庭の機能がうまくいっていない状態を言います。機能不全家族とアダルト・チルドレンの関係や機能不全家族を立て直す方法、また心の限界や命の危険を感じたときの、頼り先をまとめています。
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
機能不全家族とは?
このコラムで分かること
- 「機能不全家族」と「アダルト・チルドレン」の言葉の定義と、その深い関係性
- 虐待・ネグレクト・過干渉などが子どもの自己肯定感や対人関係に及ぼす具体的な影響
- 「虐待の世代間連鎖」や親子間の「共依存」の仕組みと、生きづらさの正体
- 限界を感じた時に身を守るための、児童相談所や専門機関などの具体的な相談先リスト
機能不全家族においてダメージを受ける存在は、家庭内で弱い立場になりやすい高齢者や子どもである場合がほとんどです。身体的・精神的ダメージには例えば、虐待やネグレクト(育児放棄)といった行為、また家族同士の不仲による対立や生活貧困、子どもに対する過剰な期待などが含まれます。
健康的に家族という集団が機能していると、子どもは自分に身近な大人や友人を見本に、生きる上で必要なさまざまな能力を身につけていきます。人格を形成していく大切な時期に周りの大人、特に家族から合理的・道徳的な物事の考え方を学んでいきます。
ところが、保護者が偏った考え方を持っているような機能不全家族のなかでは、健全な学びの体得が難しい状況と言えます。機能不全家族で幼少期を過ごした人は、アダルト・チルドレンと言って自己認識の歪みや、対人関係が上手くいかないなどの生きづらさを抱えることがあります。
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「Toxic parents(毒なる親)」と機能不全家族の関係性って?
一概にはいえませんが、毒親に育てられた人の特徴として、自尊心が低い、嫌だと思っても断れない、生活の中に楽しみを見出すことが苦手、他人に認められないことに強い不安を覚える、自傷行為をしてしまうなどの傾向があるといわれています。
機能不全家族はアダルト・チルドレンの原因になる?
アダルト・チルドレンとは、幼少期に心に傷を負ったまま成長したため、大人になった後も自尊心の低さなどが見られる人に使われる言葉です。アダルト・チルドレン研究の創始者のアメリカの著述家・ジャネット・G. ウォイティッツは1983年に発行した『アダルト・チルドレン―アルコール問題家族で育った子供たち』という著書の中で特徴を以下のように説明しています。
※しかしこのような特徴があるからといって、アダルト・チルドレンであるとは限りません。
アダルト・チルドレンの感情の特徴
・頼み事を断れない
・精神的なしがみつきと愛情が混同することがある
・生活の中に楽しみを見出すことが苦手
・物事に心から楽しめない
・他人に承認されることを渇望する
・自傷行為の傾向がある
機能不全家族で育った子どもは、機能不全状態にある家庭の中で生きていくために、自然に自分を演じてしまうことがあります。さらに、その役割を背負った子どもは、自分の感情を押し殺したり、傷ついたりしながら生きていることがあるといわれています。
例えば、保護者から頼られ信頼されることによって家族のバランスを保とうとしたり、よくトラブルを起こすことで自分の存在を主張しようとしたり、自分に関心が向けられることを避けたいために自分の存在を隠そうとしたりすることがあります。
機能不全家族に育った人は、無意識のうちに自分の感情に反する姿を演じてしまい、大人になった後も役割から逃れることができずアダルト・チルドレンになる傾向があると言われています。
機能不全家族が子どもに及ぼす影響とは?
機能不全家族で育った人の特徴
しかし、虐待・ネグレクト・過度な期待などに見舞われると、愛情形成や家族との良好な関係を築くことが難しく、倫理的・道徳的に正しいと思われる考え方が分からなくなってしまうことがあります。そのような環境で育ったことで自由に人格を形成する機会を失ってしまい
本来の人格とのズレが生じることで生きにくさを抱えやすくなると考えられています。
精神疾患や機能不全家族の連鎖を招くことも
■虐待の連鎖が起こる可能性
虐待は子どもから子どもへ連鎖するという話を耳にしたことがあるのではないでしょうか?虐待の世代間連鎖・世代間伝達と呼ばれ、たとえば保護者から虐待を受けていた人が、自分の子どもを虐待してしまうことをいいます。
虐待を受けていた幼い頃の記憶がフラッシュバックし、乳児との間に問題やストレスを感じてしまい虐待を繰り返してしまうといわれています。
さらに貧困や社会的不利(差別など)、適切な養育方法がわからない、パートナーのサポートが極端に少ないなどの追い打ちが重なることも世代間伝達を促進する要因です。
一方で、過去にシビアな虐待経験がある場合でも、パートナーがサポートしてくれていたり、大人になってから両親との仲が良くなったりすることがあれば、虐待経験の影響は小さくなることが分かっています。ですので、虐待の世代間伝達は必ずしも引き起こされるとは限りません。
■親子間で起こりやすい、共依存とは?
機能不全家族の親子間においては「共依存」が生まれる可能性があるといわれています。共依存とはアルコールや薬物依存の方がお酒や薬物に依存してしまうことと同様に、人間関係に過剰に依存してしまう状態のことを指しています。自己愛や自尊心が低い人などは共依存の可能性が高いとされていて、他者から必要とされる自分であろうと必死に努力する心理的特徴があります。
機能不全家族で育った子どもたちは自由な言動を許されない対人関係を体験するため、自己愛や自尊心が育ちにくい家庭環境におかれています。ですので、たとえば保護者から暴力をふるわれることがあっても「必要とされたい」という思いから共依存関係に陥りやすい可能性があります。
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機能不全家族やアダルト・チルドレンの悩みを相談できる場所
また、もし命の危険や家族のことが原因で自分の心の限界を感じたら、支援を受けたり、一時的に家族から離れたりすることが必要な場合もあります。
相談機関では、自分のことはもちろん、自分のきょうだいが困っているなどの場合も相談することができます。気になっていることや悩みがあれば、一人で抱えこまずに、限界が来る前に相談をしておきましょう。具体的な相談先は以下を参考にしてみてください。
家族や恋人からの暴力・性的接触・ネグレクト(育児放棄)を受けている…
◇児童相談所 ※18歳未満の方はこちらに連絡してください
児童相談所全国共通ダイヤル 189番
最寄りの児童相談所につながります。相談した内容について、秘密は守られます。名前や連絡先を言いたくない場合は匿名でも相談できます。
妊娠している可能性があるけど、病院に行けない…
◇福祉事務所について
家族に自分の性的な画像や動画を撮られ、ネットに載せられてしまった・脅されている…
薬やアルコール依存症に悩んでいる、こころの悩みを抱えている…
住むところがない・仕事を探したい…
◇自立のための相談
まとめ
「家族のことで他人に相談するなんて…」「家族から逃げるなんて…」などと躊躇してしまうかもしれませんが、自分が機能不全家族にいるのではないか、そう感じたら、まず第一に、自分の心身の安全を守ることが最優先です。
そのために、信頼できる相談先を見つけ支援を受けることは、自分のみならず、家族にとっても助けとなる場合もあります。
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