機能不全家族とは?影響を受けるとアダルト・チルドレンになる?原因、相談先や家族の立て直し方をご紹介

2017/07/07 更新
機能不全家族とは?影響を受けるとアダルト・チルドレンになる?原因、相談先や家族の立て直し方をご紹介のタイトル画像

機能不全家族とはストレスが日常的に存在している家族状態のことです。主に親から子どもへの虐待・ネグレクト(育児放棄)・子どもに対する過剰な期待などの様々な要因が家庭内にあり、子育てや生活などの家庭の機能がうまくいっていない状態です。機能不全家族が子どもに与える悪影響や、機能不全家族を立て直す方法、また心の限界や命の危険を感じたときの、頼り先をまとめています。

発達障害のキホン
99961 View
目次 機能不全家族とは? もしかして、うちは機能不全家族? 機能不全家族で育った子どもは“役割”を演じている? 機能不全家族が子どもに及ぼす影響とは? 機能不全家族は立て直せるの? 機能不全家族のなかで上手くやっていくためには 「自分を変えたい」と思った時はどうしたらいい? 自分の心の限界・命の危険を感じたら一人で抱えこまず相談を まとめ

機能不全家族とは?

機能不全家族とは、家庭内で弱い立場にある人に対して、身体的または精神的ダメージを与える機会が日常的に存在している家族状態のことをいいます。

機能不全家族においてダメージを受ける存在は、家庭内で弱い立場になりやすい高齢者や子どもである場合がほとんどです。身体的・精神的ダメージには例えば、虐待やネグレクト(育児放棄)といった行為、また家族同士の不仲による対立や生活貧困、子どもに対する過剰な期待などが含まれます。

機能不全家族のもとで育てられた子どもを、俗称で「アダルト・チルドレン」と呼ぶこともあり、高齢者よりも子どもを対象にした議論が盛んに行われています。

健康的に家族という集団が機能していると、子どもは自分に身近な大人や友人を見本に、生きる上で必要なさまざまな能力を身につけていきます。人格を形成していく大切な時期に周りの大人、特に家族から合理的・道徳的な物事の考え方を学んでいきます。

ところが、保護者が偏った考え方を持っているような機能不全家族のなかでは、健全な学びの体得が難しい状況といえます。その原因は子どもの保護者が招いている場合がほとんどです。そういった子ども時代の経験によって、自己認識の歪みや、対人関係が上手くいかないなどの生きづらさを抱えることがあります。
ネグレクト(育児放棄)とは?ネグレクトの判断基準は?もし見つけたらどうする?のタイトル画像

関連記事

ネグレクト(育児放棄)とは?ネグレクトの判断基準は?もし見つけたらどうする?

いわゆる「毒親」と機能不全家族の関係性って?

機能不全を招いている親のことをいわゆる「毒親」と呼ぶことがあります。「毒親」とはアメリカの精神医学者であるスーザン・フォワードが著した『毒になる親』から生まれたインターネットのスラング用語です。

身体的・精神的ダメージを子どもに負わせる親は、そのまた親から同じような経験を受けている場合も少なくないと言われています。

実はダメージを“与える側”と“受ける側”には決定的な境目はないのかもしれません。子どもの頃にダメージを“受ける側”だった人が、結婚して家庭を持ったことをきっかけにダメージを“与える側”になってしまうケースは十分に考えられます。

とはいえ、その連鎖が必ずしも続くとは限りません。連鎖を断ち切り、機能不全家族の影響から逃れて生きることも選択できます。機能不全家族に悩む本人は、家族から影響を受けた自分という事実を受け止めながら「これから本来の自分をつくっていくのだ!」と前向きに思うことが大切です。これからそのヒントを紹介していきます。

もしかして、うちは機能不全家族?

それでは、機能不全家族とは具体的にどのような家族なのでしょうか?

アメリカのセラピストであるジャネット・G・ウォイティッツが著書『アダルト・チルドレン』の中で述べている「機能不全家族」と「機能している家族」の特徴についてご紹介します。

以下にあげた機能不全家族の特徴は、子どもが身体的・精神的にダメージと受け取る可能性のある事象です。これらの事象に対して強烈なトラウマがあったり、強いストレスを日常的に感じていたり、そのようなことがあれば自身の家族が機能不全家族である可能性が高いといえます。ですが、これらの事象が家庭内にあるからといって、必ずしも機能不全家族であることは断定できません。

なお下記は原文を簡単にしたものになります。

【機能不全家族】
・非合理的なルールが強く維持されている
・子どもを守るという親の役割が放棄され、子どもが親のケアをすることがある
・家族もすでに分かっているけれど、公にできない秘密がある(性的虐待など)
・家族のなかに他人が入り込むことに抵抗がある
・暗い雰囲気でほとんど笑いがない
・家族同士のプライバシーがない(個人間の境界があいまい)
・家族から離れることが許されていない
・家族間の嫌なことや葛藤などは否定されて無視される
・変化に抵抗する
・家族は分断され、統一性がない

【機能している家族】
・親子それぞれの基本的なルールはあるが、柔軟に対応しながら家族を運営している
・親としての役割が機能し、子どもは親の役割を受け入れる。役割分担が明確で迷いがない
・家族に他人が入ることを許容する
・ユーモアのセンスが共有され、親にも子にも笑いがみられる
・家族それぞれのプライバシーが尊重され、自己という感覚を発達させている
・家族それぞれが家族であるとの所属感覚を持つが、家族から去ることも自由である
・家族間の葛藤はあって当然とされていて、そのたびに解決が試みられる
・常に変化し続ける
・家族に一体感がある

機能不全家族で育った子どもは“役割”を演じている?

次は機能不全家族で育った子どもが、どのような考え方の特徴をしているのか紹介していきます。

考え方に偏りのある保護者のもとで育てば、少なからず子どもはその影響を受けています。偏った考え方を持っていること自体は悪いことではありません。しかしその考え方がマイナスにはたらき、友人や恋人を傷つけてしまう言動になると、結果的に自分自身が苦しくなる場合があります。

今後自分がどうありたいのかを明確にするためにも、自分の考え方の特性や傾向を客観的に知ることは大切になってきます。

あなたはこんなこと考えてない?アダルト・チルドレンの感情の特徴

・周囲の期待に応えようとしすぎる
・頼み事を断れない
・精神的なしがみつきと愛情が混同することがある
・生活の中に楽しみを見出すことが苦手
・表情が乏しい
・他人に承認されることを渇望する
・自傷行為をしてしまう傾向がある

機能不全家族で育った子どもは、機能不全状態にある家庭の中で生きていくために、自然に自分を演じてしまうことがあります。その役割を背負った子どもは、自分の感情を押し殺したり、傷ついたりしながら生きていることがあります。

例えば、親から頼られ信頼されることによって家族のバランスを保とうとする優等生タイプや、よくトラブルを起こすことで自分の存在を主張する問題児タイプ、自分に関心が向けられることを避けたいために自分の存在を隠そうとするタイプなどがあります。

機能不全家族に育った子どもは、これらのタイプのいずれかを無意識のうちに演じてしまっています。一人っ子の場合は一人で複数のタイプを背負うこともあり、兄弟がいる場合はそれぞれが役割分担をしている場合があります。

機能不全家族が子どもに及ぼす影響とは?

あらためて機能不全家族が子どもに及ぼす影響について説明していきます。

機能不全家族で育つと子どもの人格形成に悪影響を与える

幼児期から青年期にいたっては倫理的、道徳的な考えを身につけたり、良好な対人関係の築き方を学んだりする大切な時期です。また家族からの愛情形成が子どもの自己愛の形成や落ち込みから立ち上がる能力を高めることに繋がります。

しかし、機能不全家族の場合は愛情が受け取りにくい家庭環境が前提にあります。虐待・ネグレクト・過度な期待などに見舞われると、親からの健全な愛情を受け取ることが難しく、倫理的・道徳的に正しいと思われる考え方が分からなくなってしまいます。子どもは前述の役割を演じることになり、自由に人格を形成する機会を失います。

演じたままの人格が板につくと、本来の人格とのズレが生じるため生きにくさを抱えやすくなります。

精神疾患や機能不全家族の連鎖を招く

人格が健全に形成されていない状態だと、人は自分自身を肯定することができずに、些細なことでも深く落ち込みます。過度な落ち込みや自己否定を繰り返すと、うつ病やパーソナリティ障害などの精神疾患に罹患する可能性が高まります。機能不全の家庭環境によって招かれやすい精神疾患は以下の通りです。

・うつ
・各種パーソナリティ障害
・パニック障害 など

上記に限った疾患だけではなく、さまざまな症状や精神疾患を招く可能性もあります。
パーソナリティ障害とは?分類と症状、原因や具体的な治療法、周囲の接し方について徹底解説!のタイトル画像

関連記事

パーソナリティ障害とは?分類と症状、原因や具体的な治療法、周囲の接し方について徹底解説!

うつ病(大うつ病性障害)とは?単なる気分の落ち込みとの違いは?症状や原因、発達障害との関わりまとめのタイトル画像

関連記事

うつ病(大うつ病性障害)とは?単なる気分の落ち込みとの違いは?症状や原因、発達障害との関わりまとめ

パニック障害とは? 突然の動悸やめまいといった症状、原因や治療法、体験談をご紹介のタイトル画像

関連記事

パニック障害とは? 突然の動悸やめまいといった症状、原因や治療法、体験談をご紹介

◇虐待の連鎖が起こる可能性

虐待は子どもから子どもへ連鎖するという話を耳にしたことがあるのではないでしょうか?虐待の世代間連鎖・世代間伝達と呼ばれ、たとえば親から虐待を受けていた人が、自分の子どもを虐待してしまうことをいいます。

虐待を受けていた幼い頃の記憶がフラッシュバックし、乳児との間に問題やストレスを感じてしまい虐待を繰り返してしまうといわれています。

さらに貧困や社会的不利(差別など)、適切な養育方法がわからない、パートナーのサポートが極端に少ないなどの追い打ちが重なることも世代間伝達を促進する要因です。

一方で、過去にシビアな虐待経験がある場合でも、パートナーがサポートしてくれていたり、大人になってから両親との仲が良くなったりすることがあれば、虐待経験の影響は小さくなることが分かっています。ですので、虐待の世代間伝達は必ずしも引き起こされるとは限りません。

◇親子間で起こりやすい、共依存とは?

機能不全家族で育った親子間においては「共依存」が生まれる可能性があるといわれています。共依存とはアルコールや薬物依存の方がお酒や薬物に依存してしまうことと同様に、人間関係に過剰に依存してしまう状態のことを指しています。自己愛や自尊心が低い人などは共依存の可能性が高いとされていて、他者から必要とされる自分であろうと必死に努力する心理的特徴があります。

機能不全家族で育った子どもたちは自由な言動を許されない対人関係を体験するため、自己愛や自尊心が育ちにくい家庭環境におかれています。ですので、たとえば親から暴力をふるわれることがあっても「必要とされたい」という思いから共依存関係に陥りやすい可能性があります。

機能不全家族は立て直せるの?

自分に対する家族の対応に悩んでいたとしても、自分の家族とそう簡単に縁を切ることは難しいでしょう。機能不全家族を子ども自身の力で立て直すことはできるのでしょうか?

結論から言うと立て直せる可能性が高い場合と、立て直しには時間がかかる場合があります。

機能不全を立て直せる可能性が高い場合

自分以外の家族が下記のことを認めたり、理解していたりする場合、立て直せる可能性が高いようです。

・自分以外の家族が機能不全を認めている
・家族を立て直すために助けが必要だと認めている
・家族とは本来どんな状況であればよいのか理解している
・心身ともに健康・健全で行動を起こせる家族がいる
・家族以外にいざとなったら頼れる人がいる

機能不全の立て直しには時間がかかる場合

・家族に薬物・アルコールなどの依存症があり治療が必要
・家族に依存症以外の精神疾患や病気があり治療が必要
・虐待、ネグレクト、性的虐待などが家族内の秘密事項で問題を表に出せない
・親が、完璧主義、過干渉・過保護といった意識に固執している
・家族以外に頼れる人がいない

たとえ機能不全の家族だったとしても家族一人ひとりには役割があり、バランスを取り合って生活しています。家族を立て直すということは、この家族のバランスを一度崩し、再構築していくことです。

機能不全をもたらしている本人が立て直しの必要性を感じていなかったり、共依存関係により本人以外の人が変化に抵抗を示したりする場合、家族を立て直すのは時間がかかります。多くの家族が新しい生活を選ぶことに自信が持てず、現状のままの家族として生きることを選んでいます。

立て直しには、一人ひとりが家族に対してどのような考え方を持っているかが大切です。また病気などのやむを得ない理由があったり、人によっては変化への抵抗があったりします。立て直しに時間がかかりそうな家族の場合は、一人で抱えこまず、専門家の手を借りながら取り組むことをおすすめします。

機能不全家族のなかで上手くやっていくためには

当サイトに掲載されている情報、及びこの情報を用いて行う利用者の行動や判断につきまして、正確性、完全性、有益性、適合性、その他一切について責任を負うものではありません。また、掲載されている感想やご意見等に関しましても個々人のものとなり、全ての方にあてはまるものではありません。
放課後等デイサービス・児童発達支援の求人一覧です。待遇・給与、勤務時間、研修・教育制度、職員のインタビューからあなたにぴったりの職場を探せます。
会員登録後のエントリーで1,000円のAmazonギフトカードがもらえるキャンペーンを実施中!
あわせて読みたい関連記事

あわせて読みたい関連記事

発達障害のキホンを知る

発達障害のキホンを知る

この記事を書いた人

発達障害のキホン さんが書いた記事

PTSD(心的外傷後ストレス障害)とは?原因、症状、治療、PTSDに似た発達障害の症状まで解説のタイトル画像

PTSD(心的外傷後ストレス障害)とは?原因、症状、治療、PTSDに似た発達障害の症状まで解説

PTSDは、つらいできごとがトラウマとなり、さまざまな症状を発症する疾患です。発症すると、そのできごとに関わる人・場所を過度に避けたり、考...
発達障害のこと
255343 view
2018/12/09 更新
子どもの癇癪(かんしゃく)とは?原因、発達障害との関連、癇癪を起こす前の対策と対処法、相談先まとめのタイトル画像

子どもの癇癪(かんしゃく)とは?原因、発達障害との関連、癇癪を起こす前の対策と対処法、相談先まとめ

大声で泣き叫んだり、暴れたりする子どもに困っている…。一旦気持ちが爆発するとなかなか収まらない癇癪ですが、子どもが癇癪を起こす背景には必ず...
発達障害のこと
660241 view
2018/12/07 更新
難病の軽症高額該当で、医療費助成の対象外でも支援が受けられる?制度該当条件などを詳しく解説します!のタイトル画像

難病の軽症高額該当で、医療費助成の対象外でも支援が受けられる?制度該当条件などを詳しく解説します!

難病法には重症度基準が設けられ、病状の程度が一定以上の人は、医療費助成の対象となります。しかし、指定難病の診断を受けていても、治療により症...
身のまわりのこと
4133 view
2018/12/04 更新
放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

コラムに対する投稿内容については、株式会社LITALICOがその内容を保証し、また特定の施設、商品及びサービスの利用を推奨するものではありません。投稿された情報の利用により生じた損害について株式会社LITALICOは一切責任を負いません。コラムに対する投稿内容は、投稿者の主観によるもので、株式会社LITALICOの見解を示すものではありません。あくまで参考情報として利用してください。また、虚偽・誇張を用いたいわゆる「やらせ」投稿を固く禁じます。「やらせ」は発見次第厳重に対処します。