機能不全家族とは?影響を受けるとアダルト・チルドレンになる?原因、相談先や家族の立て直し方をご紹介
ライター:発達障害のキホン
機能不全家族とは学術的な用語ではなく、書籍で使われたことがきっかけで広まった俗称で、ストレスが日常的に存在している家族状態のことを指して使われる言葉です。主に保護者から子どもへの虐待・ネグレクト(育児放棄)・子どもに対する過剰な期待などのさまざまな要因が家庭内にあり、子育てや生活などの家庭の機能がうまくいっていない状態を言います。機能不全家族とアダルト・チルドレンの関係や機能不全家族を立て直す方法、また心の限界や命の危険を感じたときの、頼り先をまとめています。
監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
機能不全家族とは?
機能不全家族とは、ギャンブルや家庭不和などで本来の機能をはたしていない状態の家族のことを指して使われる言葉です。機能不全家族のもとで育てられた人を、「アダルト・チルドレン」と呼ぶこともあります。機能不全家族もアダルト・チルドレンも学術的な用語ではなく、書籍で使われたことがきっかけで広まった俗称です。
機能不全家族においてダメージを受ける存在は、家庭内で弱い立場になりやすい高齢者や子どもである場合がほとんどです。身体的・精神的ダメージには例えば、虐待やネグレクト(育児放棄)といった行為、また家族同士の不仲による対立や生活貧困、子どもに対する過剰な期待などが含まれます。
健康的に家族という集団が機能していると、子どもは自分に身近な大人や友人を見本に、生きる上で必要なさまざまな能力を身につけていきます。人格を形成していく大切な時期に周りの大人、特に家族から合理的・道徳的な物事の考え方を学んでいきます。
ところが、保護者が偏った考え方を持っているような機能不全家族のなかでは、健全な学びの体得が難しい状況と言えます。機能不全家族で幼少期を過ごした人は、アダルト・チルドレンと言って自己認識の歪みや、対人関係が上手くいかないなどの生きづらさを抱えることがあります。
機能不全家族においてダメージを受ける存在は、家庭内で弱い立場になりやすい高齢者や子どもである場合がほとんどです。身体的・精神的ダメージには例えば、虐待やネグレクト(育児放棄)といった行為、また家族同士の不仲による対立や生活貧困、子どもに対する過剰な期待などが含まれます。
健康的に家族という集団が機能していると、子どもは自分に身近な大人や友人を見本に、生きる上で必要なさまざまな能力を身につけていきます。人格を形成していく大切な時期に周りの大人、特に家族から合理的・道徳的な物事の考え方を学んでいきます。
ところが、保護者が偏った考え方を持っているような機能不全家族のなかでは、健全な学びの体得が難しい状況と言えます。機能不全家族で幼少期を過ごした人は、アダルト・チルドレンと言って自己認識の歪みや、対人関係が上手くいかないなどの生きづらさを抱えることがあります。
育児放棄・ネグレクトの判断基準、ネグレクトを見つけたときに周りの大人ができること【専門家監修】
「Toxic parents(毒なる親)」と機能不全家族の関係性って?
アメリカの精神医学者であるスーザン・フォワードは子どもに対してネガティブな行動を繰り返し、子どもの人生を支配するような保護者のことを「Toxic parents(毒なる親)」と表現しました。インターネット等で目にすることのある「毒親」という表現はこちらがもとになっています。機能不全家族などと同様に俗称です。
一概にはいえませんが、毒親に育てられた人の特徴として、自尊心が低い、嫌だと思っても断れない、生活の中に楽しみを見出すことが苦手、他人に認められないことに強い不安を覚える、自傷行為をしてしまうなどの傾向があるといわれています。
一概にはいえませんが、毒親に育てられた人の特徴として、自尊心が低い、嫌だと思っても断れない、生活の中に楽しみを見出すことが苦手、他人に認められないことに強い不安を覚える、自傷行為をしてしまうなどの傾向があるといわれています。
機能不全家族はアダルト・チルドレンの原因になる?
機能不全家族で育った子どもは、アダルト・チルドレンになる可能性があると言われています。
アダルト・チルドレンとは、幼少期に心に傷を負ったまま成長したため、大人になった後も自尊心の低さなどが見られる人に使われる言葉です。アダルト・チルドレン研究の創始者のアメリカの著述家・ジャネット・G. ウォイティッツは1983年に発行した『アダルト・チルドレン―アルコール問題家族で育った子供たち』という著書の中で特徴を以下のように説明しています。
※しかしこのような特徴があるからといって、アダルト・チルドレンであるとは限りません。
アダルト・チルドレンとは、幼少期に心に傷を負ったまま成長したため、大人になった後も自尊心の低さなどが見られる人に使われる言葉です。アダルト・チルドレン研究の創始者のアメリカの著述家・ジャネット・G. ウォイティッツは1983年に発行した『アダルト・チルドレン―アルコール問題家族で育った子供たち』という著書の中で特徴を以下のように説明しています。
※しかしこのような特徴があるからといって、アダルト・チルドレンであるとは限りません。
アダルト・チルドレンの感情の特徴
・周囲の期待に応えようとしすぎる
・頼み事を断れない
・精神的なしがみつきと愛情が混同することがある
・生活の中に楽しみを見出すことが苦手
・物事に心から楽しめない
・他人に承認されることを渇望する
・自傷行為の傾向がある
機能不全家族で育った子どもは、機能不全状態にある家庭の中で生きていくために、自然に自分を演じてしまうことがあります。さらに、その役割を背負った子どもは、自分の感情を押し殺したり、傷ついたりしながら生きていることがあるといわれています。
例えば、保護者から頼られ信頼されることによって家族のバランスを保とうとしたり、よくトラブルを起こすことで自分の存在を主張しようとしたり、自分に関心が向けられることを避けたいために自分の存在を隠そうとしたりすることがあります。
機能不全家族に育った人は、無意識のうちに自分の感情に反する姿を演じてしまい、大人になった後も役割から逃れることができずアダルト・チルドレンになる傾向があると言われています。
・頼み事を断れない
・精神的なしがみつきと愛情が混同することがある
・生活の中に楽しみを見出すことが苦手
・物事に心から楽しめない
・他人に承認されることを渇望する
・自傷行為の傾向がある
機能不全家族で育った子どもは、機能不全状態にある家庭の中で生きていくために、自然に自分を演じてしまうことがあります。さらに、その役割を背負った子どもは、自分の感情を押し殺したり、傷ついたりしながら生きていることがあるといわれています。
例えば、保護者から頼られ信頼されることによって家族のバランスを保とうとしたり、よくトラブルを起こすことで自分の存在を主張しようとしたり、自分に関心が向けられることを避けたいために自分の存在を隠そうとしたりすることがあります。
機能不全家族に育った人は、無意識のうちに自分の感情に反する姿を演じてしまい、大人になった後も役割から逃れることができずアダルト・チルドレンになる傾向があると言われています。
機能不全家族が子どもに及ぼす影響とは?
あらためて機能不全家族が子どもに及ぼす影響について説明していきます。
機能不全家族で育った人の特徴
幼児期から青年期にいたっては倫理的、道徳的な考えを身につけたり、良好な対人関係の築き方を学んだりする大切な時期です。また家族からの愛情形成が子どもの自己愛の形成や落ち込みから立ち上がる能力を高めることにつながると考えられています。
しかし、虐待・ネグレクト・過度な期待などに見舞われると、愛情形成や家族との良好な関係を築くことが難しく、倫理的・道徳的に正しいと思われる考え方が分からなくなってしまうことがあります。そのような環境で育ったことで自由に人格を形成する機会を失ってしまい
本来の人格とのズレが生じることで生きにくさを抱えやすくなると考えられています。
しかし、虐待・ネグレクト・過度な期待などに見舞われると、愛情形成や家族との良好な関係を築くことが難しく、倫理的・道徳的に正しいと思われる考え方が分からなくなってしまうことがあります。そのような環境で育ったことで自由に人格を形成する機会を失ってしまい
本来の人格とのズレが生じることで生きにくさを抱えやすくなると考えられています。
精神疾患や機能不全家族の連鎖を招くことも
機能不全家族で育った人は抑うつ状態になりやすいとも言われています。過度な落ち込みや自己否定を繰り返すと、うつ病やPTSDなどの精神疾患に罹患する可能性が高まる可能性があると言われています。
■虐待の連鎖が起こる可能性
虐待は子どもから子どもへ連鎖するという話を耳にしたことがあるのではないでしょうか?虐待の世代間連鎖・世代間伝達と呼ばれ、たとえば保護者から虐待を受けていた人が、自分の子どもを虐待してしまうことをいいます。
虐待を受けていた幼い頃の記憶がフラッシュバックし、乳児との間に問題やストレスを感じてしまい虐待を繰り返してしまうといわれています。
さらに貧困や社会的不利(差別など)、適切な養育方法がわからない、パートナーのサポートが極端に少ないなどの追い打ちが重なることも世代間伝達を促進する要因です。
一方で、過去にシビアな虐待経験がある場合でも、パートナーがサポートしてくれていたり、大人になってから両親との仲が良くなったりすることがあれば、虐待経験の影響は小さくなることが分かっています。ですので、虐待の世代間伝達は必ずしも引き起こされるとは限りません。
■親子間で起こりやすい、共依存とは?
機能不全家族の親子間においては「共依存」が生まれる可能性があるといわれています。共依存とはアルコールや薬物依存の方がお酒や薬物に依存してしまうことと同様に、人間関係に過剰に依存してしまう状態のことを指しています。自己愛や自尊心が低い人などは共依存の可能性が高いとされていて、他者から必要とされる自分であろうと必死に努力する心理的特徴があります。
機能不全家族で育った子どもたちは自由な言動を許されない対人関係を体験するため、自己愛や自尊心が育ちにくい家庭環境におかれています。ですので、たとえば保護者から暴力をふるわれることがあっても「必要とされたい」という思いから共依存関係に陥りやすい可能性があります。
■虐待の連鎖が起こる可能性
虐待は子どもから子どもへ連鎖するという話を耳にしたことがあるのではないでしょうか?虐待の世代間連鎖・世代間伝達と呼ばれ、たとえば保護者から虐待を受けていた人が、自分の子どもを虐待してしまうことをいいます。
虐待を受けていた幼い頃の記憶がフラッシュバックし、乳児との間に問題やストレスを感じてしまい虐待を繰り返してしまうといわれています。
さらに貧困や社会的不利(差別など)、適切な養育方法がわからない、パートナーのサポートが極端に少ないなどの追い打ちが重なることも世代間伝達を促進する要因です。
一方で、過去にシビアな虐待経験がある場合でも、パートナーがサポートしてくれていたり、大人になってから両親との仲が良くなったりすることがあれば、虐待経験の影響は小さくなることが分かっています。ですので、虐待の世代間伝達は必ずしも引き起こされるとは限りません。
■親子間で起こりやすい、共依存とは?
機能不全家族の親子間においては「共依存」が生まれる可能性があるといわれています。共依存とはアルコールや薬物依存の方がお酒や薬物に依存してしまうことと同様に、人間関係に過剰に依存してしまう状態のことを指しています。自己愛や自尊心が低い人などは共依存の可能性が高いとされていて、他者から必要とされる自分であろうと必死に努力する心理的特徴があります。
機能不全家族で育った子どもたちは自由な言動を許されない対人関係を体験するため、自己愛や自尊心が育ちにくい家庭環境におかれています。ですので、たとえば保護者から暴力をふるわれることがあっても「必要とされたい」という思いから共依存関係に陥りやすい可能性があります。
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